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2020-04

「土に還る」材料と100年使い続けたいと思える建築

アファンの森ネイチャーセンター
↑アファンの森ネイチャーセンター

■池田武邦氏が設計監修した「土に還る」建築

作家のC.W.ニコル氏が理事長を務める「C.Wニコル・アファンの森財団」の新たな活動拠点となる「ネイチャーセンター」が、黒姫山と飯縄山のふもと (長野県信濃町)で竣工した。同財団が所有する「アファンの森」に隣接して建つ。設計は井口高浩氏(I-PLAN、東京都世田谷区)と土屋誠氏(日本設計)が担当した。設計監修はニコル氏を環境保全活動の師匠と仰ぐ池田武邦氏が務めた。

建物は2棟を連結させた軸組みの木造で、延べ面積398.52㎡。エントランスを入ると、財団のオフィス棟をへて、シンポジウムなどを開くことが できるラウンジホール棟へとつながる。ホールの奥にはニコル氏が25年にわたって再生してきた「アファンの森」が広がっている。床、天井、壁などには地元長野県産のスギ、ヒノキを中心にすべて国産材を使用。接着剤や合板などは一切使わず、極力「土に還る」材料を使用することを基本ルールとした。

この基本ルールを基に材料を一つひとつ選定していった。床は縁甲板、床はムクフローリングや荒板を使った。断熱材は調湿性のある羊毛だ。設計者の井口氏は「羊毛断熱材にも定着のために数パーセントのグラスウール繊維が入っていることが分かったが、グラスウールが良いか悪いかを確定できるような成熟した技術はないだろうという池田先生の判断で羊毛を使うことになった」「新製品でエコをうたったものは山ほどあったが、産地や運搬廃棄物の発生などを含めて環境への負担が一番少ないものを採用している。土に還らない材料は選別して処理できるように考えた」と振り返る。工業系の建材は、ダボで隠されたボルトと屋根を覆うガルバリウム鋼板、倉庫とトイレに設置したアルミサッシ程度だ。

ニコル氏の「財団の活動を長く伝えるために100年もつ建築にしてほしい」という要望に応えるため、事務所棟とラウンジホール棟のコンセプトは若干異なる。オフィス棟は日常的に使うスペースであるため、将来的な機能の変更などを見越して製材した木材を使ってコストを抑えた。ラウンジホール棟の柱や斜梁は、端材のロスを少なくするため丸太を使用した。森とのつながりを強める意味もある。「単に建物として100年間建ち続けられるだけではなく、100年間使い続けたいと思ってもらえる建築を目指した」(土屋氏)

アファンの暖炉のあるラウンジ

○ニコル氏お気に入りの暖炉

建物のシンボルと位置付け、オリジナルで作成した暖炉はニコル氏の要望によるもの。ニコル氏が持っていた英国の暖炉設計の書籍を参考に、ニコル氏にヒアリングしながら仕様を固めていった。ホールには空調設備はなく、冬場は森で間引いた木を炭にして暖を取る。また、ホールに併設するキッチンには、本格的な調理器具を入れた。ニコル氏自らキッチンに立ち、鹿肉などを使った料理をゲストに振る舞う予定だという。

構造設計は岡村仁氏(KAP、東京都新宿区)が手掛けた。多目的ホール棟の架構は、スパンを飛ばして部材を大きくするとムク材の調達コストや期間が必要になるため、小さな部材でも建物に負担が掛からないように合掌の架構にした。施工にも手間が掛かるため、寺院を主に手掛ける宮大工が担当した。

建設地は、冬場には1m以上の雪が積もるため、傾斜地に盛り土して地面を上げることで対応。小径鋼管杭を打ち込んで補強し基礎は最終的にすべて布基礎とした。法面の石は近くの川から取ったものを使った。

△アファンの森ネイチャーセンター
所在地:長野県上水内郡信濃町大井2742-2041
http://kenplatz.nikkeibp.co.jp/article/building/news/20101007/543706/?P=1

▲日経BP社ケンプラッツ 2010年10月12日(火)

写真はクリックすると拡大版でご覧になれます

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