2017-08

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分譲マンションに初の蓄電池システム導入

エコマンション

■太陽光パネルと蓄電池で電力を“地産地消” 

エコに対する一般消費者の意識の高まりを受けて、大手デベロッパーが分譲するマンションでも、エコに配慮した取り組みが見られるようになってきた。

伊藤忠都市開発は、現在分譲中(2011年3月入居開始)のクレヴィア二子玉川(東京都世田谷区)で、分譲マンションとしては初めて蓄電池システムを導入した。総戸数51戸、5階建ての屋上には太陽電池モジュール10.8kWを搭載し、共用部照明の電力を賄う。使用する照明には、より省電力なLED(発光ダイオード)を導入することで、照明消費電力のほぼすべてを太陽光発電で賄い、CO2排出をゼロにする計画だ。

ところが、太陽光発電を照明用の電力に充てるには問題がある。発電するのは日が差す日中であるのに対して、肝心の照明に電力が必要とされるのは夜間だという点だ。この問題を解消するのが大容量のリチウムイオン電池だ。昼間に降り注ぐ太陽光によって発電した電力を蓄電池に蓄え、夜間の照明に利用する。共用部の電力消費を低減し、居住者は1戸当たり月々1200円程度の管理費負担が軽減される。

・低炭素交通社会システムの実証とも連携

このほか、共用部照明で使い切らない余剰電力は、マンション住民がシェアする電気自動車の充電用に供される。

設置する蓄電池は、伊藤忠商事が車載用に開発しているリチウムイオン電池だ。このプロジェクトでは新品の電池を使うものの、将来は車載用のリチウムイオン電池の二次利用先として、機能がいくらか劣化してもシステム上は問題の少ないマンション向けへの活用を見込んでいる。

二次利用においては、電池システムの使用状況の“履歴・カルテ”を作成することで電池の信頼性を保証する必要もある。今回のプロジェクトには、電池の利用状況と劣化状況のデータを収集するという役割もある。

伊藤忠商事は、民間企業十数社やつくば市と共同でクリーンエネルギーを活用した低炭素交通社会システムの共同実証プロジェクトを、2010年5月から実施している。クレヴィア二子玉川は、この共同実証プロジェクトで開発されたシステムをマンション向けでも実証するプロジェクトという位置付けだ。将来的には、二次利用先として市場全体の2割の新築マンションへの導入を目指している。

・住まいながら「無理なくエコ」を実現

伊藤忠都市開発の経営企画部広報室の小泉繭子さんは「当社では、エコロジカルな未来へ向けて、無理せず、住んでいるだけでエコに配慮できるような住宅を提供していく“モットエコ(Make Original Tomorrow with ECO)”を推進しており、クレヴィア二子玉川は、その第1号物件に位置付けています」と、社を挙げてのプロジェクトであることを強調する。

“モットエコ”を支える三つの取り組みは、「つくる(創エネ)」「ためる(蓄エネ)」「へらす(省エネ)」だ。

このうち、「つくる(創エネ)」「ためる(蓄エネ)」は、先に紹介した太陽光パネルと蓄電池だ。

残る「へらす(省エネ)」についてもいろいろな工夫を試みている。ガス給湯機には高効率給湯機「エコジョーズ」を採用し、浴槽には、沸かして長い時間経っても湯温が下がりにくい保温浴槽を採用するなど、省エネに配慮している。また、複層ガラスや節水型のトイレを採用し、エネルギー使用のモニターを設置してエコの“見える化”も実施している。

長く住み続けることができるよう長寿命にも取り組む。部屋と部屋の間に設けた収納棚をさまざまに変更できる“KATASU”という収納システムだ。住む人の成長やライフスタイルの変化に対応する。「マンション居住者へのアンケートを踏まえて、収納面についても工夫することもエコにつながるのではと考え、導入した。入居後も簡単に変更できる。家具を買い換える必要がないので資源のエコにつながるし、変更が容易なことで長く住み続けられるサステナブルな家を実現できる」のだと、小泉さんは説明する。

・接続した家電製品の待機電力を一括OFF

小さな試みであるが、接続した家電製品の不要な待機電力を一括で切ることができる「エコなスイッチ」が目を引いた。

これは、各部屋に設けられたコンセントに色分けされたところに差した家電製品について、玄関先の「エコなスイッチ」ひとつで、元から完全に遮断する。いうなれば局所的にブレーカーを落とすのと同じような仕組みを採用している。

毎日出かけるとき、あるいは長期に家を空けるときの活用が考えられる。誰もが気軽に使うことができるようなエコの仕組みを取り入れることで、住まい手のエコ意識が自然と高まる。

このほか、モニタリングにより住まい手の声をキッチンの企画にも取り入れることで、使いやすく心地よさを追求したという。

例えばレンジの上部だけでなく、コンロ前の壁や、引き出しの底板、レンジフードの整流板などにホウロウを使用し、掃除を簡単にする。シンク前のデッドスペースを有効に活用した包丁差しを設けるなど、住まい手本意の住宅づくりに心がけている。

小泉さんは、「エコへの取り組みはもとより、住まいの細部にもこれまで以上に配慮し、より快適な暮らしを送ってもらえるよう心がけています」と、開発に当たっての取り組みを説明する。

▲日経BP社 ケンプラッツ 2010年7月2日(金)

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