2017-10

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建築紛争当事者の交流会・戦略会議

■マンション建設反対運動連携の第一歩 

市民や地方議員、都市計画や法律の専門家で構成される「耐震偽装から日本を立て直す会」という集まりがある。この会が主催した交流会・戦略会議、「市民による都市改革~2007年的状況から2008年への展望」が、2007年11月24日、東京都千代田区の神保町区民館で開催された。
この交流会は、各地で個別に行われているマンション建設反対運動を連帯させ、抜本的な都市改につながる運動に発展させるためのシナリオを描くことを趣旨とする。マンション建築紛争が各地に広がる中で、個別に反対運動を行っているだけでは、限界があるという問題意識が出発点だ。
ある日突然、地域の景観を破壊するマンション建設計画が持ち上がり、マンション建設反対運動が組織されるが、誰もが初めての経験であり、いわば素人集団である。
それに対して業者は、経験面でも物的人的リソースも豊富である。加えて、近隣対策屋と呼ばれる住民折衝を専門に請け負う業者まで登場している。そして、何らかの妥協がなされるか、マンションが建設されてしまうと、多くの場合、反対運動は解消してしまう。その結果、反対運動で得たノウハウは、他の反対運動で活かされない……。このような状況に対する危機感が、この交流会の背景にある。
事務局によると、電子メールでの案内しかできなかったとのことだが、この日は、遠く福岡から来た方も含め、マンション建築紛争に取り組む市民、地方議員、建築家らが多く集まった。話し合われたテーマは、大きく2つ。「構造偽装問題」と「中高層マンション問題」である。
第1部の構造偽装問題では、上村千鶴子氏と日置雅晴弁護士が報告した。
まず最初に、上村氏が構造偽装問題の現在の状況について報告した。
姉歯秀次元建築士による構造計算書偽装物件のうち、水平保有耐力0.5以上の分譲マンションでは2007年10月30日現在、改修工事がなされているものは1件(グランドステージ東陽町)しかないと説明した。それ以外は計画策定中となっているが、取り残されてしまっている状態である。
また近時の建築着工減少については、住宅の契約率も下落し、在庫が残っている状況から生産調整時期にあるとし、建築業界から悪玉視されているような建築基準法改正の悪影響によるとは限らないのではないかと指摘した。
会場からは、福岡でサムシングの偽装問題にとりくむ幸田雅弘弁護士が「地方の非姉歯物件はもっと酷い状況」と指摘した。
非・姉歯物件は、偽装の追及自体が停滞しているが、マンション名公表による資産価値低下を恐れる管理組合・購入者自身が、調査に消極的であることも一因となっている。マンション住民自身が、問題解決の足枷になっている状況である。
これは次のテーマ「中高層マンション問題」で、「景観を破壊する高層マンションでも購入者がいるから企業が建てるのではないか」 という消費者に対する問題意識と共通する。
続く、日置弁護士は、建築基準法改正の評価と課題について報告した。確認検査機関が、違法な建築確認を出したとしても処分の対象にならない点が問題として指摘された。
第2部の中高層マンション問題では、幸田弁護士、稲垣道子氏、野口和雄氏、五十嵐敬喜・法政大教授が発表した。
最初に福岡から来た幸田弁護士が、福岡市の状況について報告した。福岡でマンション紛争と戦う10数団体が連携し、「福岡・住環境を守る会」を発足した。訴訟では従来の日照権やプライバシー権に加え、風害や圧迫感についても被侵害利益として主張していきたいと説明した。
稲垣氏は建築紛争を紹介し、建築紛争の構図について説明した。地域で守られるべき価値が、共有されているか否かが建築紛争の帰趨に大きな影響を与えると主張した。
野口氏は、各自治体の対応について類型別に整理された。様々な制度があるものの、努力義務にとどまる限り、不動産業者は無視して建設を進めてしまう現実がある。不動産業者が従うような実効性のある規制が課題である。
現状で最も実効的なものとして、真鶴町まちづくり条例(美の条例)を挙げた。ここでは基準に合致しない建物は公聴会、議会の議決を経て水道契約を拒否することで、事実上の着工拒否が可能になる。
五十嵐教授からは、真鶴町まちづくり条例が優れているとの主張がなされた。水道供給の制限は思い切った規制であるが、議会の議決等の適正手続きを踏んでいる。真鶴町の条例は1993年に可決されたが、今でもこれが一番良いということは、日本の都市政策の停滞を物語っているとの辛辣な指摘もなされた。
最後に「2008年への展望」と題して、今後のシナリオが検討されたが、残念ながら時間切れで議論が尽くされなかった。

住環境を破壊するマンション建設を、止めさせられる実効性ある法規制が必要という点で共通の認識が得られたと思われるが、それを実現するための具体的な方策については今後の課題となった。特に市民に何ができるか、何をすべきであるかという点は未解決である。
また、第1部で構造偽装問題を取り上げ、偽装物件購入者が置き去りにされていると指摘されたにもかかわらず、偽装物件購入者にとっての解決策が出なかった点も残念である。
そもそも偽装物件購入者の視点に立っていないのかもしれないが、偽装物件の購入者をはじめとする欠陥住宅の被害者とも連携すれば、不動産業者の手口を知るという意味でノウハウの蓄積にもつながると思われる。
課題は残ったものの、建築反対運動を一過性のもので終わらせてはならないという熱意が感じられる交流会であった。日本のまちづくりに期待が持てるようになった1日であった。
私が本交流会に参加した経緯は、私自身が消費者契約法により売買契約を取り消したマンションの売買返還を求めて、東急不動産株式会社と長らく裁判を続けていたからだ。裁判の争点の1つが、マンション建設時に東急不動産のために働いていた近隣対策屋と近隣住民との折衝内容であった。
近隣住民と近隣対策屋のトラブルは、マンション建設反対運動で問題となっており、私は近隣対策屋について情報を得るために、マンション建設反対運動を行っている方々と情報交換を行っていた。そのような中で参加を勧誘され、出席した次第である。

▲OhmyNewsオーマイニュース 2007年11月28日(水)

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