2017-10

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ド派手看板、ミナミの心

■風景をつくる 京都は抑制、風情守る

小雨交じりの10月下旬の夜9時。若者やサラリーマンでにぎわう大阪・ミナミの戎橋で、グリコのネオン看板をじっと見続ける男性がいた。
映像制作会社に勤める織田雄一さん(22)。人の波を避けながら、5分ほどグリコネオンを凝視した後、手にしていた点検報告書に「異常なし」とチェック印を入れた。
織田さんは、ネオンを制作し、維持管理している朝日電装(大阪府豊中市)から委託を受けたグリコの看板点検係。他の社員らとローテを組んで、午後8―9時ごろ、ネオン管が切れていないかなどのチェックに出かける。
◇毎日欠かさず
縦約20メートル、横約10メートルで、約4460本のネオン管が使われた巨大看板に、365日、土日も欠かさず“看板守(もり)”の目が注がれる。
関西で生まれ育った織田さんにとって、グリコネオンはなじみ深いものだったが、「毎晩チェックしている人がいるとは思わなかったし、まして自分がそれをするとは」と話す。
朝日電装の塚脇義明社長は「グリコネオンは観光名所として記念写真の背景になるし、ネオン管1本でも切らすわけにはいかない」。異変があればファクスで知らせてもらい、翌日にはネオン管を取り換える。
1935年(昭和10年)から続くグリコネオンに、「景観」のまなざしが向けられたのは2003年。大阪市が同年、初めて選定した「指定景観形成物」12件の1つに選ばれた。だが、他に選ばれたのが大阪城天守閣や四天王寺、中之島の中央公会堂などであることを考えると、「異質」な感は否めない。
◇生活に寄り添う
選定の際、都市景観委員として指定の後押しをした京都大の小林正美教授(人間環境設計論)は「文化的、歴史的な価値が高い建造物だけでなく、身近な生活に寄り添って、育てられ、いつの間にか欠かせない風景になっているものも評価したかった」と話す。
「会社の愚痴で深酒し、ふと見上げてみると、看板の中に、一生懸命走っている人がいる。それを見て、自分も明日は仕事頑張ってみようかなと思ったりする。そんな大阪人の人生に刻み込まれた<情景>がグリコの看板にはある」と小林教授は言う。
大阪歴史博物館の船越幹央学芸員も「近世からの粋を大阪文化の神髄と考える人は、こうした<コテコテ>が大阪代表となっている現状に違和感を持つだろう」とした上で、「ミナミにはアジア的空気もあり、派手な華やかさに多くの人がなじんでいるのでは」。
しかし、昨今の行政施策では、看板の扱いはどちらかといえば「景観阻害物」。大阪でも「にぎわい創出」を狙いに規制が緩和された道頓堀地区を除くと、看板は抑制の方向にある。
京都市はさらに徹底した規制施策を打ち出している。9月からの「新景観政策」では、7年後までには屋上看板を全廃させるほか、一般的な看板でも大きさや色に細かい規定を設け、「古都の風情」を守る方針だ。
仮に、グリコのネオンサインを京都にも設置しようとしたとする。設置が認められる地区でも、大きさは20分の1以下に縮小され、「色もかなり地味なもの」(都市景観部)になる。
全国的にも厳しい制限を課す京都では、規制を先取りした動きも出ている。三菱東京UFJ銀行の店舗看板は大阪などでは「赤字に白」だが、京都では「白地に赤」と反転させ、落ち着いたイメージに。この「京都仕様」を「市内の全店舗の屋外看板で使っている」(広報部)。このほか、看板の色を地味にするケースや、周囲の色彩と統一性を持たせたものもある。
古都の風景の中に、看板を溶かし込もうとする京都。一方で、派手な原色の看板に風景的な意義を見いだそうとする大阪。「大阪は歴史的街並みなども少ない。だからこそ、景観は新たにつくられ、育てられてもいい。グリコネオンはいわばモデルケース。文字通りの<トップランナー>であってほしい」。小林教授は、そう話している。

▲日経ネット関西版 2007年11月5日(月)

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