2017-09

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「まち変える」京の100年計画

■風景をつくる 「まち変える」京の100年計画

京都市の中心市街地に建つ中古の分譲マンション。7月に7千万円近い値を付けていた住戸が先月、1500万円も値下げされ、不動産関係者らを驚かせた。11階建ての最上階。京都市の新景観政策で、高さ制限が31メートルから9月以降は15メートルに引き下げられた地区だ。「眺望のよさ」が売り物の物件だった。
◇高層物件値崩れ
「景観条例で、新築のマンションは高さが抑えられ、1戸当たりの分譲価格が高くなる。そんな思いから既存のマンションへの需要が高まり、平均で2、3割も値を上げた」(長谷工アーベスト)。ところが、最近になって事態が急変。買い手がつかず“たなざらし”になったり、値下げに踏み切る物件も少なくない。
「将来同じ高さで建て替えができないなど、より丁寧な説明義務が不可欠になったことが影響している可能性もある」と不動産会社「アールエスティ」の天野博代表は話す。
あるマンションは昨年9月に1坪(3.3平方メートル)当たり約160万円だったが、3月に2割ほど値上げされ、最近再び約1割分下げられた。景観政策をめぐる様々な思惑や混乱がこの1年で中心部のマンション価格を乱高下させている。
京都市が導入した新景観政策では、「山並みの眺望」や「歴史的な京町家などとの調和」を目指し、市街化区域の約3割で高さ規制が引き下げられた。「景観を阻害する高いビルやマンションが建つことを抑制したい。50年、100年かけ、建て替えが進めば進むほど街がよくなっていく」(市都市景観部)という考えだ。
◇650棟「不適格」
この景観政策に危機感を募らせる人たちもいる。「既存不適格」と呼ばれるマンションの住民だ。9月以前に建てられたビルやマンションは「違反状態」のまま、制度の適用からは除外される。だが、将来建て替える際は、現状の高さでは再建できない。こうした「既存不適格」は、分譲マンションだけで市内に650棟。31メートルから15メートルとなる地区では、10―11階建てが5階程度になる。
同市下京区の無職の男性は6月、自分のマンションが既存不適格と知った。3年前、退職金も使って手に入れた。「でも、子どもには残してやれないかも」
同じような不安を持つマンションの住民や管理組合が7月に「不適格マンション管理組合懇談会」を結成。33団体・個人が集まった今月10日の会合では、「建て替えても住民の半分はマンションに残れない。建て替えの住民合意ができるのか」
「将来、売ろうと思っても既存不適格では買い手がつかないのでは」などの声が相次いだ。
これに対し、市側は「既存マンションの住民が不安を持たないように、アドバイザーを派遣する制度や建て替えの低利融資も用意している」としている。
しかし、住民らは「老朽化で資産価値が下がれば、建て替えできないマンションを捨てる住民も増え、スラム化や治安悪化があるのでは」など心配の種は尽きない。「今は、参加団体を増やし、将来どんなことが起こりうるか研究している段階。必要があれば、行政に様々な要望もしていきたい」と同会。
誰かに「痛み」が押しつけられるのではなく、良好な景観をつくり上げるにはどうしたらいいのか。
◇街の価値上げる
京都大大学院の高田光雄教授(都市環境工学)はこう指摘する。「街の将来像を地区単位で決め、魅力的な景観の街を作れば、資産価値は下がるどころか、むしろ上げられる。管理組合もこれからは、どうすればマンションの価値が高められるか考える“経営”の感覚を持つべきだ」
また、京都工芸繊維大の中川理教授(建築史)は「景観政策を進める途上で起きる様々な問題はきちんと検証し、必要な対策を取ったり、見直したりして、よりよい景観政策にしていくべきだ」としている。
1千年の都で始まった100年計画の景観施策。全国からの注目が集まる中、行政や住民らの知恵が試されている。
◇景観重視、手旗指示で造林
今回の景観政策で重視された京都を囲む山々の眺望景観。その景色は遷都の昔から変わっていないと思われがちだが、意外にもそうではない時代があった。
京都精華大の小椋純一教授(植生景観史)によると「室町時代の終わりから江戸期にかけ、薪炭材などの燃料や食料を取るため大文字山などは“酷使”され、山肌が露出したり、低木ばかりの光景がみられた」という。
山とのかかわりが変わったのは明治以降。とりわけ嵐山と東山地区は「風致地区」として保護や計画的植林も進んだ。しかし、東山ではその途上の昭和9年(1934年)に室戸台風が襲来、多くの樹木がなぎ倒された。
復旧の際、編み出されたのが「手旗造林」という手法。林野庁京都大阪森林管理事務所に残る資料などによると、鴨川河川敷や市街地の数カ所に旗を持った職員や市民が立ち、山中の作業員に「どこに植えたら景観がよくなるか」を合図。こうして約20ヘクタール分を手旗造林で整備した。
京都大大学院の中嶋節子准教授(都市環境史)は「当時の状況を調べると、行政や市民がどういう山の景色を理想とし、景観を大切に考えていたかがよく分かる」と話している。

▲日経ネット関西版 2007年10月29日(月)

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