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2020-01

女性の一言から運動が始まる 湘南の景観が壊れてる

■街の景観を守るため、自分たちのできること

4年ほど前の2002年、自治会でひとりの若い奥さんが発言したことから、この運動は始まった。
「宅地のミニ開発で鵠沼(くげぬま)の景観が壊れています」
江の島に近い鵠沼松が岡(神奈川県藤沢市)にある自治会「ニコニコ自治会」。一辺約500メートルの四角い風光明媚な地にあり、そこに約530世帯が居住している。
明治時代後期、最初は別荘用地として砂丘が開発された。戦後、江ノ島電鉄(江ノ電)鵠沼駅を中心に住宅街が形成され、次第に、宅地開発の波にさらわれそうになっていた。集会に参加していた住民たちはこの発言に盛り上がった。「街が壊れる、なんとかしなければ」
自治会の役員たちは景観保全運動を推進する方法が分からなかった。そこで藤沢市の都市計画課などに相談した。市から教えてもらったのは、都市景観条例(1988年)に基づき景観形成地区などを目指す方法があるものの、条例には法的拘束力がない、ということだった。
2004年、国が罰則規定などを盛り込んだ景観法を制定した。これを受けて、市は同法に基づき、景観条例を改正しようとしていた。市からは、「景観に関わる住民協定(紳士協定)を自治会で結び、将来、法律につなげる方向を目指してはどうか」との助言を得た。
慶應義塾大学SFC研究所(湘南藤沢キャンパス内)に住民協定作成のため支援を願い、専門的立場から住民アンケートの台本作り、分析、法的検討などの協力を得た。住民運動に、地元の大学と行政が支援するという体制が整った。住民全員を集める大会の開催は現実的には無理なので、全戸アンケート調査を3回行い、住民協定賛成の回答は76%(回収分の89%)の高い支持を示した。2006年6月に「ニコニコ住民協定」が発効した。
住民協定の第7条には、最小敷地規模は165平方メートル(50坪)、胸高(120センチ)、直径15センチ以上の樹木は原則伐採禁止、などと謳われている。
土地を売買したり、建物を建築したりする際、事業者はその土地の制限(高さ制限、道路の有無、風致地区か否かなど)を確認するために市の窓口を訪れる。藤沢市は今年2月から閲覧図書に「ニコニコ住民協定」の区域を明示し、周知し始めている。以来、自治会には2件の問い合わせがあったと言う。開発業者にこの「ニコニコ住民協定」を理解してもらうため、自治会は“よい施工物件”に対しては「感謝マーク」を寄贈する予定になっている。
あくまで紳士協定なので、開発業者と住民が対立した場合、紛争解決に有効な手段にはなりえない。しかし、この協定で住民や市にはいくつかののメリットがあるという。たとえば
●住民側に事前に開発情報が伝わり、突然開発されることがなくなる
● 住民協定の存在によって、開発業者は安易な開発ができない
● 無計画な開発を防止することによって、地域の資産価値が上がる
今後、住民は景観協定や、より法的拘束力のある景観形成地区を目指すと言う。たとえば、芦屋市の六麓荘町地区(ろくろくそうちょう)では、現在、法的拘束力のある地区計画(1戸建て最小400平方メートル)をもっている。藤沢市もこの住民運動を支援する方向だ。ニコニコ自治会の役員は「ひとりでは動けません。大勢の住民が後押しするので運動できるのです」という。
今、湘南地方では伝統的な景観だった黒松林が減ってきている。つい最近も、私の大好きだった、近所の引地川(ひきじがわ)沿いの黒松林が伐採されていた。跡地は整地され、宅地として販売されていた。
この地では苗木が20メートルに育つためには50年もかかる。一度、開発伐採されると黒松林の回復は現実的には難しい。住民が地域レベルで動き、行政を動かしたニコニコ自治会のやり方は、これからの景観保全運動の方法を示唆しているように思う。

▲オーマイニュースインターナショナル 2007年3月30日(金)

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