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2020-01

広島・鞆の浦 「学びの場」を壊さないで

■大林宣彦さん 「学びの場」を壊さないで

埋め立て・架橋計画に揺れる万葉の名所・鞆(とも)の浦(福山市)を守ろうと、文化人や学者らが結成した「<鞆の世界遺産実現と活力あるまちづくりをめざす住民の会>を支援する会」。呼びかけ人らはどんな思いでこうした行動に踏み切ったのか。16日に東京で開かれた設立会見での発言を紹介する。

私は鞆の浦と海つながりの尾道で生まれ、子どもの頃はよく船で鞆へ行きました。きれいな海、きれいな島を抜けて鞆の港に入っていく。楽しかったですね。住民の方たちとも、ずいぶん親しくなりました。この地で映画も撮らせていただきましてね、私にとって自慢の海の里なんです。
私は100年前に描かれた鞆の港の絵を見たことがありましてね、その美しさに慄然(りつぜん)としました。もし、当時の鞆がそのままここに残っていれば、「なんと美しい、人々の賢い暮らしが息づいた町だろう」と思われるでしょう。
100年後の子どもたちにとっても、今の鞆は私が感動したように素晴らしく、美しい港だと感謝してもらえると思います。
私はこの問題をチャンスとして、皆さんに考えてほしいと思うんです。私たちにとって便利で快適な文明社会は大事だが、未来に生きる子どもたちにとっては、もっと大事なものがあるはずだということを。
ここまで残った鞆の港は文化遺産と考えるべきで、もはや景観の問題だけではないんです。鞆の皆さんにはご不便をおかけしますが、どうか大切な文化遺産を、未来の子どもたちのために守る努力をしてみようではありませんか。
現実にヨーロッパでは、車が走れないような古い町の中には車を入れず、みんな歩いています。不便といえば不便です。しかし、その人たちの心の中には、この町を守って、未来に伝えるんだという誇りや喜びがあります。
鞆はそういうことを私たちが謙虚に考えられる場所であってほしい。このよき学びの場所を壊してしまうのは本当にもったいない。鞆こそが私たちの未来の資源だと思いますので、どうか(計画を)考え直してほしいとお願いいたします。
普通の市民が(架橋計画中止を求める)訴訟を起こさなければならない事態というのは、僕は大変間違ったことだと思います。私は決して賛成派、反対派のどちらかに準じろという風なことを申しません。
しかし、こういう大事なことは鞆の問題だけでなく、日本の問題であり、世界の問題だと思いますので、できるだけ多くの人たちにこの問題を伝えたい。理想論すぎるかもしれませんが、訴訟に至らないで「鞆の港を守ろうよ」という風になっていくことが私たちの一番の願いなんです。
(おおばやし・のぶひこ:1938年生まれ。「坂のまち」といわれるふるさとの尾道を舞台に、「転校生」(82年)など数々のヒット映画を制作。鞆の浦では石田ひかり主演の「ふたり」(91年)など3本を撮影している。鞆には今も時おり立ち寄っており、昨年10月に設立された鞆・町家エイド基金でも、映画監督の宮崎駿さんらとともに呼びかけ人に名を連ねている。)

■景観保護:広島「鞆の浦」を支援する会発足

万葉集にも詠まれた景勝地、鞆の浦(広島県福山市鞆町)の埋め立て・架橋計画を巡り、映画監督の大林宣彦さんやC・W・ニコルさんらが呼び掛け人となって反対運動を全国に広げる「支援する会」を発足させた。東京都千代田区の弁護士会館で16日、記者会見した大林さんは「映画で撮影した鞆の浦の風景は世界に誇るべき財産。便利さと引き換えに壊してはならない」と訴えた。
鞆の浦は周辺道路が狭く、県と市が砂浜の一部を埋め立て湾を横切るバイパス橋建設を計画。景観保護などを訴える「鞆の世界遺産実現と活力あるまちづくりをめざす住民の会」は、埋め立てを国に申請すれば取り消しを求めて提訴する方針。

▲ 毎日新聞 2007年3月17日(土)

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