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2020-04

鎌倉らしさ 小さな自然を守ろうとの女性たちの声に支援の輪

■鎌倉市・深沢中学校沿いの緑の回廊 保全への祈り

神奈川県鎌倉市の深沢中学校南側で、野村団地と呼ばれる大きな住宅地沿いにある斜面山林がまた消えようとしている。藤沢から鎌倉に入る道沿いの自然景観が破壊され、わずかに連なっていた「みどりの回廊」が分断される危機に瀕している。
鎌倉市では、数年前から斜面緑地の開発が問題になっている。最も顕著な例は、七里ガ浜東の西武不動産の団地から鎌倉山に登る斜面緑地で、「七里ガ浜ダム」と地元の人が自嘲するほどの高いコンクリート擁壁がそびえたつことになった。ほどなく稲村ガ崎の斜面緑地などに次々と開発計画が持ちあがって、平成14年には全国に先駆ける形で、風致地区内における斜面緑地保全のための条例(条文)がつくられた。
しかしながら、当時は条例の規制を担保する上位の法例がなかったために、相当の例外規定ができて、実質的には緑の景観に配慮さえすれば、斜面マンションを建てることが可能だった。その後、県の風致地区条例が改正され、さらに建築基準法の改正もなされて、近年では次々に斜面地条例というものが鎌倉市の近隣市で生まれたため、先鞭をつけたはずの保全条例も色あせてきていたところだった。なんといっても風致地区以外に適用されないのが難だった。
昨年12月の議会で、ついに鎌倉市も建築基準法第52条第5項の規定を適用し、工業専用地域以外の都市計画区域全般で、地盤面(1階の建つ水平面)について「建築物が周囲の地面と接する位置のうち最も低い位置における水平面とする」ことを条例化した。この規制と高さ制限、容積率の制限などを組み合わせれば、見上げるような人工地盤をつくられる心配がないし、山に張りつくように建つ地下室マンションをつくられる心配もなくなる。
もっとも、この条例だけでは、さらに悪質な山切りが行われる可能性はある。斜面地規制を理由としたわけではないが、山切りで失われた緑地の典型的ともいえる例が、深沢中学校に近い住宅周辺の問題の斜面緑地である。
場所は梶原1丁目の深沢中学校沿いで、もともとは相当深い斜面山林が残されていた。野鳥がさえずりカブトムシやクワガタが繁殖する貴重な自然の生態系を守っていたところ。そこが無残に削られた。事業地だけでなく隣接の国有地まで崩落したために、この山の開発には危険性が伴うことも危惧されている。表土の多い崩れやすい地質と考えられているからだ。
それでも、「畑の小道」と地元の人が呼ぶささやかで美しい小さな自然が崖の上に残った。生産緑地が帯のように続いているためである。近隣の人は、なんとか畑を続けてもらいたいと願っている。ここが緑地として残り、深沢中学校からずっと上ってくる山道(通学路)を囲む山林が保全できれば、梶原から常盤や北鎌倉へと広がる豊かな山林に連なる「緑の回廊」が、辛うじて消えずにすむのだ。
近年は近くの鎌倉山も乱開発にあい、だいぶ見る影がなくなっている。それでも、藤沢から鎌倉への幹線道路沿いに、周囲にずっと緑の斜面が続くのが鎌倉らしさと思われてきたものだ。その斜面は緑の壁となって鎌倉中心部を取り巻いているので、世界遺産都市に推薦されている古都鎌倉の面目を保っていたような気がする。
そんなとき、小さな自然を守ろうとする女性たちの声が静かに上がってきた。それを支援するように、深沢中学校沿いの「畑の小道を取り巻く自然」は、周辺の自治会や同じ住宅地の人々、緑と景観を愛する鎌倉の人々の間で保全の必要性がささやかれるようになっている。それは小さな自然に違いないが、緑の回廊をつなぐ最後の命綱であり、中学校に通った子供たちにとっては故郷の原風景である。そして、鎌倉市らしい景観を保つためには欠かせない斜面山林でもある。それがみすぼらしい景観に変わっていくことだけは避けなくてはならない。
子供たちが郷土を誇りに思うようになるのは、教育によるものというより、自らが育まれた郷土の環境を大人がよりよく守っていく、その実践を学ぶことによると考えられるからである。それは子供をこの地で育てている母親たちの願いでもあった。

▲JANJAN 2007年2月

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