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2010-10

SLAPP訴訟:あなたも訴えられるかもしれない

■住民運動の口封じに使われる 日本のSLAPP訴訟の現実

<第18回> あなたも訴えられるかもしれない ~SLAPP訴訟を考える~
by どん・わんたろう 2010年9月22日

◇8歳の子どもが訴えられる。しかも、国に。そんなことが実際に起きた。

沖縄県東村の高江地区。米軍のヘリパッド(ヘリコプター離着陸帯)建設が計画され、騒音や事故の危険を心配する住民たちが反対の座り込みを展開してきた。それが工事の「通行妨害」に当たるとして、08年11月、15 人の住民が国から妨害禁止の仮処分を申し立てられた。その中に、反対団体代表の8歳の娘が含まれていたのだ。

もちろん、8歳の子どもが特定の意図を持った通行妨害行為をするわけはなく、後に訴えは取り下げられる。しかし、那覇地裁は昨年12年、残る14人のうち共同代表の2人に妨害禁止の決定を出した。今は、この2人に対する本訴訟が同地裁で進行している(詳しくは、マガジン9「ぼくらのリアル★ピース~比嘉真人さん」)。

住民側の弁護士は、反対運動に参加した人はたくさんいるのに地元住民ばかりを選んでいること、8歳の子どもまで対象にしていることなどから、「市民運動の萎縮を狙った恫喝だ」と主張する。実際、仮処分の申し立てでは、現場にいたことすらない人が入っていたり、妨害行為の証拠がなかったりと、かなり杜撰な内容だったという。

この間、政権交代があり、住民たちは民主党政権に、仮処分の申し立てを取り下げるように、また、本訴を起こさないように要請してきたが、自民・公明政権の時と対応は変わらなかったそうだ。「民主党政権が、司法を利用した住民弾圧を自ら選択した」と批判する。

このケースのように、強い立場にある者が、相手の「口封じ」を目的に起こす訴訟を「SLAPP(スラップ)訴訟」と呼ぶ。Strategic Lawsuit Against Public Participationの略だ。

国や企業から訴えられれば、普通の市民は何よりびっくりする。受けて立つにしても、弁護士を頼んだり、裁判所に通ったりするだけで、金銭的、時間的に相当な負担である。国や企業に太刀打ちするのは、至難の業だろう。もちろん、精神的な負担も大きい。何も悪いことをしていなくても、「運動やめます」と白旗を掲げてしまった方が楽に違いない。それこそ、SLAPP訴訟の目的なのだ。

そんなSLAPP訴訟が、日本でも増えているという。自らも被告にされた経験を持ち、アメリカなどの取材も重ねているジャーナリスト・烏賀陽弘道さんの話を聞く機会があった。

烏賀陽さんは、雑誌に載ったコメントが信用を傷つけたとされ、オリコンに5千万円の損害賠償訴訟を起こされた。雑誌の出版社に対してではなく、烏賀陽さんだけがターゲットにされた。1審は敗訴、2審で実質勝訴したものの、提訴から33カ月を費やし、弁護士費用や収入減で990万円の損害を被ったという。ス トレスで不眠症にもなったそうだ。

山口県・上関では、原子力発電所の建設に反対する住民4人が、敷地造成工事を妨害したとして中国電力から約4800万円の損害賠償訴訟を起こされた。ほかにも、内部告発、マンション建設反対、労働組合結成など、憲法で保障された権利を行使しようとして訴えられるケースが相次いでいる。「米軍基地、原発など、深刻で議論が分かれる社会問題に対する意見表明が、すべて潰されようとしている」と烏賀陽さん。言論や社会活動に携わる市民にとって、他人事ではない。

どうすれば良いのだろう。

烏賀陽さんによると、アメリカでは 28州・地域にSLAPP訴訟を規制する法律があるそうだ。カリフォルニア州の反SLAPP法では、訴えられた側は裁判所に「SLAPPだ」と動議を出せる。裁判所は、1)公的な問題を巡る意見表明が背景にあるか、2)提訴に実効性があるか(法廷に持ち込む価値があるか)、との観点から審理し、長くても半 年以内に結論を出す。SLAPPと認定されれば、訴訟は棄却される。

さらに画期的なのは、SLAPPと認められた場合、訴えられた側の弁護士費用は、訴えた側が払うことだ。SLAPP訴訟の抑止につながり、弁護士も資金に乏しい住民側の代理人になってくれるという(詳しくは「週刊金曜日」8月27日号)。

烏賀陽さんは「裁判を起こす権利はあっても、法制度を『悪用』する権利はない。SLAPP訴訟によって、発言をためらうことになれば、民主主義の敗北と言える。日本でも被害者の救済を急がなければならず、反SLAPP法が必要だ」と強調していた。

ところで、日本のSLAPP訴訟は新聞でほとんど報じられていない。特に、沖縄・高江や上関原発のケースは、現地ではともかく、東京の新聞紙面には全くと言っていいほど載っていない。記事にならず、市民が知らないままなら、国や企業は「嫌がらせの訴訟を起こしている」というイメージダウンを受けない。結果的にマスコミがSLAPP訴訟を許容してしまっているのと同じで、責任は重い。多くは望まない。事実関係だけで良いので、問題意識を持って、まずは伝えてほしい。

△マガジン9(憲法と社会問題を考えるオピニオンウェブマガジン。毎週水曜日更新。)
http://news.livedoor.com/article/detail/5025838/
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景観の恩恵を受ける利益 法律的に保護されない

■浅草の景観訴訟 住民ら敗訴 

東京・浅草の浅草寺の近くに建設されている超高層マンションについて、浅草寺と周辺の住民が「歴史的な景観が損なわれる」と主張して、高さ制限などを緩和した東京都の許可を取り消すよう求めた裁判で、東京地方裁判所は、「地域の住民が景観の恩恵を受ける利益は法律的には保護されない」と判断し、訴えを退けました。

この裁判は、雷門などで知られる浅草寺の西側およそ400メートルの一画に建設中の、地上37階建て、高さ133メートルの超高層マンションをめぐり、浅草寺と周辺の住民5人が「歴史的な景観が損なわれる」と主張して、高さなどの制限を緩和した東京都の許可を取り消すよう求めたものです。

判決で、東京地方裁判所の川神裕裁判長は「浅草寺周辺の景観は歴史的環境として価値を持っていることは否定できないが、都市景観を守ることは、いくつかある目標の1つにすぎない。景観法などを考慮しても地域住民が景観の恩恵を受ける利益まで法律的に保護すべきとは言えない」として訴えを退けました。

判決について、原告の住民は「台東区のまちづくりの基本計画では、現場の地域には高層マンションは建設すべきではないとしているのに、判決はこの計画を単なる努力目標としてしかみなしておらず不当だ。浅草の景観を守ることは国民全体の利益となるので認めてほしかった」と話しています。

一方、東京都は「開発許可は市街地の整備に資するとした都の判断が全面的に認められたものと考えている」と話しています。

▲NHKニュース 2010年10月15日(金)

△東京・浅草寺、景観訴訟で敗訴

東京・浅草で建設中の高さ約130メートルのマンションをめぐり、景観などの住環境が悪化するとして、浅草寺と周辺住民5人が東京都に対し、建築物の高さ制限や容積率などを緩和できる「総合設計許可」の取り消しを求めた訴訟の判決で、東京地裁は15日、訴えを全面的に退けた。

総合設計許可は建築基準法に基づき、500平方メートル以上の敷地に一定以上の空き地を設けた建築物について、市街化環境改善への見返りとして容積率や高さ制限などの緩和を認める制度。

川神裕裁判長は、建設地から100メートル以内に住む4人の請求は「計画は総合設計許可の要件を満たしており、都の許可に裁量権の逸脱はない」として棄却。

約200メートル先に空き地を所有する浅草寺と、建設地から最も離れた住民1人については「日照や通風の影響は認められない」として原告適格を認めず、訴えを却下した。

▲山陽新聞 2010年10月15日(金)

△浅草寺敗訴、超高層マンション訴訟で都の設計許可認める

東京都台東区に建設中の超高層マンション「浅草タワー」の高さ制限を緩和した都の設計許可が区の計画に反するなどとして、浅草寺と周辺住民が都などに許可取り消しを求めた行政訴訟の判決が東京地裁であり、浅草寺側の訴えが退けられた。

川神裕裁判長は15日、原告である浅草寺側の請求について「棄却する」と述べた。理由については特に言及しなかった。敗訴となった浅草寺側弁護人、神楽坂キーストーン法律事務所の富田裕弁護士は、東京高裁に控訴するかどうかについてこれから検討する方針を示した。

浅草タワーは昨秋に着工して現在2、3階部分の建築が進んでいる。完成は2012年2月の予定。総戸数は693戸(販売は598戸)で6月から販売が始まり、現在247戸が売り出されて約8割が成約している。建築・販売が進んでいる浅草タワーの計画が、訴訟で影響を受けることはひとまずなくなった。

ポールヘイスティングス法律事務所・東京訴訟部代表の高取芳宏弁護士は、この訴訟について「通常このように行政機関の出した許可を覆すのは難しいと言われている」と述べた。背景として「裁判官は行政機関の許可などの判断について権限を超えた濫用的なものでなければ基本的に行政機関の裁量を尊重する」と語った。

○景観利益

建築条件を緩和できる総合設計制度を使う浅草タワーは地上37階になる予定。マンションの高さは5階程度と定めている区の計画に浅草タワーは沿わないとして、浅草寺側が昨秋に総合設計許可取り消しを求めて提訴していた。これに対し東京都側は、景観に影響が出る距離に浅草タワーはないなどと主張して全面的に争った。

浅草タワーの事業比率(事業総額の出資・利益配分の比率)は三菱地所が7割(子会社藤和不動産を含む)、三菱倉庫が3割。事業総額は非公開。米ゴールドマンサックスが実質的に子会社化して再建しているフジタが施工を手掛ける。高取弁護士は「景観利益は司法で認められてきた利益として存在するが、市民にとって司法の場で具体的に使いやすいものには未だなっていないと評価できる」とも付け加えた。

浅草寺は都内最古の寺院で、年約3000万人が訪れる。世界最大の旅行口コミサイト、トリップアドバイザーが3月に集計した外国人に人気の日本の観光地で浅草寺は米国で5位、欧州5カ国と中国で2位(サイト所在地への昨年のアクセスで集計)と外国人に人気は高い。

▲ブルームバーグ 2010年10月15日(金)

独自条例による土地利用コントロール

■人口減少時代の土地利用計画
土地利用計画を実現するための自治体の独自条例

趣旨:

都市計画にかかわる大学研究者や行政担当者、計画系コンサルタントが参加する土地利用研究会では、その議論の第一歩として『人口減少時代における土地利用計画~都市周辺部の持続可能性を探る』を出版しました。
本セミナーでは、本書の問題意識を解説したうえで、第3部「自治体による都市周辺部への新しい取り組み」の中から、独自条例によるユニークなまちづくりで有名な金沢市の条例による土地利用コントロールと、市街化調整区域における条例による土地利用コントロールに果敢に取り組んでいる兵庫県の事例をご紹介し、地域主権・地方分権のもとで、自治体が独自条例により土地利用計画を実現しうるか、また郊外の持続性を高めることができるかを議論します。

金沢大学 川上光彦&兵庫県 難波 健

主要プログラム:

○問題提起
「人口減少時代の土地利用計画」の成り立ち……川上 光彦
金沢市~独自条例による都市周辺部の土地利用の規制・誘導……川上光彦
兵庫県~市街化調整区域における条例による土地利用コントロール……難波 健
議論の手掛かり~都市計画法は郊外の持続可能性を高められるか
質問/難波 健、回答/川上光彦

議論
司会:前田裕資(学芸出版社、30分)

○日時/場所
2010年11月5日(金曜日)17時半開場、18時~20時頃まで
場所:京都、学芸出版社3階


△参考として:
独自条例によるユニークなまちづくりで有名な金沢市の条例による土地利用コントロール

「金沢市景観計画」(市PDFファイルより抜粋)

第1章 金沢市における景観形成の基本的な考え方
24 第1章 金沢市における景観形成の基本的な考え方

景趣継承区域 (市独自条例に基づく区域)

区分「こまちなみ
~景観形成方針~
まちの歴史を色濃く残した金沢の歴史的な遺産である「こまちなみ」を守り育て、その雰囲気を生かした風格あるまちづくりを推進し、金沢の個性をさらに磨き高めます。
保存区域
1.里見町区域 2.旧新町区域 3.大野町区域 4.旧観音町区域
5.水溜町区域 6.旧天神町区域 7.旧御歩町区域 8.旧蛤坂町・泉寺町区域
9.旧彦三一番丁・母衣町区域 10.金石区域

区分「保全用水
~景観形成方針~
金沢のまちなみに様々な表情を醸しだし、潤いとやすらぎを与えてくれる用水を大切に守り育て、身近な生活環境をより快適で、より安全で、より豊かなものにします。
また、後代に継承するため、緑豊かな自然環境との調和による用水景観の形成、開きょ化の推進、年間通水と定期的な清掃による清流の確保、消雪水路や消火用水源としての利用促進を図ります。
保全区域
1.辰巳用水 2.鞍月用水 3.大野庄用水 4.寺津用水 5.泉用水 6.中村高畠用水 
7.長坂用水 8.小橋用水 9.中島用水 10.金浦用水 11.旭用水 12.九人橋川
13.母衣町川 14.源太郎川 15.勘太郎川 16.小坂用水 17.樋俣用水
18.大桑用水 19.雀谷川 20.沼田川 21.河原市用水

区分「斜面緑地
~景観形成方針~
金沢のまちの緑の背景を形成し、まちなかの貴重な自然となるとともに、斜面の崩壊防止など、さまざまな機能を担い、市民に憩いとやすらぎをもたらす斜面緑地を、動植物の貴重な生息地又は生育地として守ります。
また、都市の防災機能を確保しながら、市民と一体となって豊かなまちの緑として保全します。
保全区域
1.卯辰山丘陵区域 2.小立野段丘台地浅野川側区域 3.小立野段丘台地犀川側区域
4.笠舞段丘台地犀川側区域 5.寺町段丘台地犀川側区域 6.野田山丘陵区域

区分「寺社風景
~景観形成方針~
寺社風景を市民とともに保全することにより、金沢の個性をさらに磨き高めます。
また、歴史的文化資産として後代に継承するため、歴史的・文化的資産の継承 、伝統的まちなみ景観の保全 、緑の保全、憩い空間の創出を図ります。
保全区域
1.寺町寺院群区域 2.小立野寺院群区域

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