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2010-10

「土に還る」材料と100年使い続けたいと思える建築

アファンの森ネイチャーセンター
↑アファンの森ネイチャーセンター

■池田武邦氏が設計監修した「土に還る」建築

作家のC.W.ニコル氏が理事長を務める「C.Wニコル・アファンの森財団」の新たな活動拠点となる「ネイチャーセンター」が、黒姫山と飯縄山のふもと (長野県信濃町)で竣工した。同財団が所有する「アファンの森」に隣接して建つ。設計は井口高浩氏(I-PLAN、東京都世田谷区)と土屋誠氏(日本設計)が担当した。設計監修はニコル氏を環境保全活動の師匠と仰ぐ池田武邦氏が務めた。

建物は2棟を連結させた軸組みの木造で、延べ面積398.52㎡。エントランスを入ると、財団のオフィス棟をへて、シンポジウムなどを開くことが できるラウンジホール棟へとつながる。ホールの奥にはニコル氏が25年にわたって再生してきた「アファンの森」が広がっている。床、天井、壁などには地元長野県産のスギ、ヒノキを中心にすべて国産材を使用。接着剤や合板などは一切使わず、極力「土に還る」材料を使用することを基本ルールとした。

この基本ルールを基に材料を一つひとつ選定していった。床は縁甲板、床はムクフローリングや荒板を使った。断熱材は調湿性のある羊毛だ。設計者の井口氏は「羊毛断熱材にも定着のために数パーセントのグラスウール繊維が入っていることが分かったが、グラスウールが良いか悪いかを確定できるような成熟した技術はないだろうという池田先生の判断で羊毛を使うことになった」「新製品でエコをうたったものは山ほどあったが、産地や運搬廃棄物の発生などを含めて環境への負担が一番少ないものを採用している。土に還らない材料は選別して処理できるように考えた」と振り返る。工業系の建材は、ダボで隠されたボルトと屋根を覆うガルバリウム鋼板、倉庫とトイレに設置したアルミサッシ程度だ。

ニコル氏の「財団の活動を長く伝えるために100年もつ建築にしてほしい」という要望に応えるため、事務所棟とラウンジホール棟のコンセプトは若干異なる。オフィス棟は日常的に使うスペースであるため、将来的な機能の変更などを見越して製材した木材を使ってコストを抑えた。ラウンジホール棟の柱や斜梁は、端材のロスを少なくするため丸太を使用した。森とのつながりを強める意味もある。「単に建物として100年間建ち続けられるだけではなく、100年間使い続けたいと思ってもらえる建築を目指した」(土屋氏)

アファンの暖炉のあるラウンジ

○ニコル氏お気に入りの暖炉

建物のシンボルと位置付け、オリジナルで作成した暖炉はニコル氏の要望によるもの。ニコル氏が持っていた英国の暖炉設計の書籍を参考に、ニコル氏にヒアリングしながら仕様を固めていった。ホールには空調設備はなく、冬場は森で間引いた木を炭にして暖を取る。また、ホールに併設するキッチンには、本格的な調理器具を入れた。ニコル氏自らキッチンに立ち、鹿肉などを使った料理をゲストに振る舞う予定だという。

構造設計は岡村仁氏(KAP、東京都新宿区)が手掛けた。多目的ホール棟の架構は、スパンを飛ばして部材を大きくするとムク材の調達コストや期間が必要になるため、小さな部材でも建物に負担が掛からないように合掌の架構にした。施工にも手間が掛かるため、寺院を主に手掛ける宮大工が担当した。

建設地は、冬場には1m以上の雪が積もるため、傾斜地に盛り土して地面を上げることで対応。小径鋼管杭を打ち込んで補強し基礎は最終的にすべて布基礎とした。法面の石は近くの川から取ったものを使った。

△アファンの森ネイチャーセンター
所在地:長野県上水内郡信濃町大井2742-2041
http://kenplatz.nikkeibp.co.jp/article/building/news/20101007/543706/?P=1

▲日経BP社ケンプラッツ 2010年10月12日(火)

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都市の新鉱脈は「生物」

■92億円を稼ぐ緑化施設を語る、亘信二・南海電鉄社長

建築研究所住宅・都市研究グループの加藤真司上席研究員は、10月末に発表予定の論文で驚くべき調査結果を記している。大阪・ミナミのランドマークとなっている「なんばパークス」の屋上緑化が、年間で約92億円の売り上げを稼ぎ出していると試算したのだ(詳細は日経アーキテクチュア2010年 10月11日号の特集「都市の新鉱脈は『生物』」)。

南海電気鉄道が100%出資していた子会社の南海都市創造(10月1日に南海電鉄に吸収合併)と高島屋とが事業主となって整備したなんばパークス。斜面に沿うような階段状の屋上緑化が特徴だ。約1万1500㎡の屋上公園内に、約5300㎡の緑化が施されている。

大きな経済効果を生んでいるなんばパークスを持つ南海電鉄の亘信二社長に、なんばパークスが生み出している経済効果や生物多様性の面での効果、同施設の運営方針などを聞いた。

○想定外の集客効果

――なんばパークスの集客効果などをどのように評価しているか。

亘:商業施設なので、人に集まってもらう憩いの場になるようにした。「厳しさ」から「癒やし」へ時代が変遷するなかで、緑を取り入れるというコンセプトになった。
なんばパークスの屋上緑化は段丘状だ。四角いビルの上に設けるような一般的な屋上緑化とは異なる。これが集客面では効果的だった。下から緑が見えるからだ。道路から緑が見え、近寄ると中に入って行ける。そうやって緑が人を引き寄せてくれる。
うれしい誤算もあった。なんばパークスを建設した際に見込んでいた客層はいわゆるF1層(20~34歳の女性)だった。ところが、緑化を設けたことでシニア層が施設の開業当初から散歩に来てくれた。施設には当初想定していた顧客層よりも幅広い人が訪れてくれたのだ。
1期工事はF1層をターゲットにしてテナントを展開したが、2期工事では、シネコンやおもちゃ屋なども設け、緑の効果で広がった顧客ニーズに応えている。

○維持管理要員を案内役に

――施設の費用対効果をどのようにみているか。

亘:四角い建物にしていれば、初期投資は少なくて済んだだろう。段丘状の施設はある意味、効率の悪い建て方だったかもしれない。それでも、こうして選んだ緑化は、集客面でそれを補って余りある効果をもたらしている。
維持管理にはコストをかけている。周辺に緑あふれる商業施設はなく、それだけの値打ちがあると考えている。維持管理費を抑える工夫もしている。集客による売り上げ効果は、維持管理費以上のものだ。
なんばパークスを維持管理しているスタッフは、花の名前や育て方を教えるなど、顧客とコミュニケーションを図ってくれている。そうやって、なんばパークスの顧客満足度を高めているのだ。

○海外からの観光客への対応も進めたい

――なんばパークスの緑化は生物の生息環境としても効果を上げているという調査結果が出ている。

亘:なんばパークスで様々な生物が観察され始めているという調査結果は、施設にとってプラスだと思う。色々な鳥や虫が来るということは、それだけ自然に近いという証だ。非常にうれしいことだ。
どうしても虫が嫌という人もいると思う。それでも子どもなどにとっては、コミュニケーションの道具になったりする。全体としてみれば、顧客も評価してくれていると思う。
海外の観光客には、もっと来てほしい。ただ、現状はわれわれがパークスに外国の人を呼び込んでいるのではなく、中国の人などが関西に来てくれた結果、施設を訪れている。
なんばパークスの施設内の案内では、中国語などへの対応がまだ不足している。なんば駅の中は中国語やハングルの表示を整備したが、それ以外はこれからだ。
植物の紹介などの表示にも、そうした対応を検討していきたい。こうした取り組みによって、海外からの観光客をさらに増やせるのではないか。

▲日経BP社ケンプラッツ 2010年10月11日(月)

生物多様性が付加価値となるマーケットが存在する

■都市開発に生物の視点を、清水建設×住友信託銀行

都市をつくるための資金を供給する金融機関と実際に現場で建設事業を担う建設会社。日経アーキテクチュア2010年10月11日号の特集「都市の新鉱脈は『生物』」の企画の一環として、異なる立場でまちづくりを担う企業で都市開発と生物多様性を両立しようとするキーパーソン2人に、将来の都市建設の方向性などを議論してもらった。

1人は住友信託銀行企画部の金井司CSR担当部長、もう1人は清水建設地球環境部の岩本和明部長だ。


――都市に生物多様性の考え方を取り入れていくことは可能か。

岩本:非常に難しいテーマだ。密度を上げて効率よく活動するために、世界の半分の人口は、陸地面積の3%に相当する地域に集中している。そうした都市においても、社会は生物多様性を実現しようとする流れにあり、都市のあり方自体を見直すべきだという意見も出てきている。

金井:既にでき上がっている都市を変えていくのは至難の技だ。都市ではコストも余分にかかる。環境に配慮する建物では、必ずコストの壁に突き当たる。コストの壁を打ち破るためには、不動産価値自体が高く評価される市場の創造が必要で、当社はそれを研究してきた。
通常の建物は、竣工した途端に価値が低下し始める。他方、生物多様性に配慮した建物では、時間の経過に伴って生態系の回復が進み、建物の劣化を相殺する。このような視点を付加価値の算定に取り込めないかと思う。

岩本:コストという視点では、建物は消費財よりも条件が厳しい。一般の消費財では、環境配慮のために5%の上乗せが認めてもらえると言われる。しかし、例えば100億円の建物に5億円の上乗せというのは、現在の経済情勢を考えると非常にハードルが高い。
緑化面積に応じて容積率を割り増すようなアイデアもあるが、このやり方にも課題がある。生物多様性の視点で考えると、建設後にその多様性をどのように維持しているのかが重要だからだ。

○生態系に配慮した緑化が生産性向上に


――生物に配慮した不動産は市場で評価を受けないのか。

金井:生態系など環境に配慮した不動産への投資を好む投資家は、間違いなく現れてきている。例えば、恐らく世界で2番目に大きい資金を持っているノルウェーの政府系ファンド。ここが債券に投じてきた2兆円を不動産に切り替えると発表した。対象は先進国の優良物件だ。
このときの評価には環境と社会、ガバナンス(ESG)の視点を取り入れている。われわれが市場に呼び込みたいのは、購入時は割高でも長い目では投資に見合うと考え、サステナブルな不動産を求めるこうした長期投資家だ。

岩本:東京近郊の斜面林が残った場所で、当社がマンションを建設した際に、近隣住民が林の保全を強く主張した。地元の人などと協議して残すことを決めたところ、そのマンションは売れ行きが好調だった。緑をはじめとした生物多様性が付加価値となるマーケットが存在すると感じた。

金井:ある大手住宅メーカーからこんな話を聞いた。「山林に近い場所で住宅を分譲したところ、普通は南の道路側の家から売れるのに、この分譲地では山林側から売れた」。これまでと違った価値観が出てきていると思う。
オフィスについても生物環境に対する潜在ニーズを示すデータがある。住信基礎研究所が東京と大阪のオフィスで働く565人に対してアンケート調査したところ、緑地空間の存在が創造性に影響すると感じている度合いが強いことが分かったのだ。
しかも、単なる緑化ではなく、生態系を守るような緑化にすることに賛成する人が76%に達した。同じ緑でも鳥や蝶が飛んで来る方が、生産性向上に寄与する度合いが大きいと推察できる。

○これからは予測技術が重要に

――生態系に配慮した開発を促すために必要なことは何か。

岩本:これからは尺度が必要になってくる。例えばCASBEE(建築環境総合性能評価システム)では、生物多様性に関連した評価項目が1つ含まれているが、充実させる余地はある。今後は、生物多様性に特化した評価指標も求められるだろう。
CASBEEでは、各種の環境対策を俯瞰(ふかん)した総合点を算出している。高得点だからといって生物多様性への対策が評価されているとは限らない。

金井:資産運用の世界にコアとサテライトという考え方がある。コアは安定的な運用で、ヘッジファンドなどはサテライトに相当する。総花的指標としてCASBEEを、生物多様性に着目した指標としてHEP(ハビタット評価手続き)を、それぞれ用いる。CASBEEに、売りにしたい部分の環境指 標を組み合わせることも一案だ。
当社では、建築コンサルティング業務に環境の視点を取り入れることも行っている。09年に携わった東京都品川区内のビル建設では、1階外構に地域生態系に配慮した在来種を植え、HEPに基づき日本生態系協会がつくった指標であるJHEPの第三者認証を取得するアドバイスを採用してもらった。

岩本:生物多様性の尺度の設定という点では、HEPはベースの考え方になる。ただ、様々な尺度があるのも事実だ。当社では、GPSと生物多様性に関する保有データとを組み合わせ、建設地の緑化計画などが周辺地域の生物多様性に与える影響を「見える化」できるシミュレーション技術を開発している。
これまで、生物環境に配慮した取り組みの成果は、運用段階で確認するしかなかった。これをシミュレーションによって計画段階で顧客に示すことが、これからは重要になってくる。

金井:生態系の破壊を別の場所で取り戻すオフセットにも注目したい。開発一辺倒でなくなった日本では、特に重要性が増すからだ。このオフセットの中核プレーヤーは建設会社だと思う。

岩本:オフセットでも、シミュレーション技術が大切になる。例えば、川の流域のある部分で開発を進めた場合に、開発する場所とそれを代替する場所との質を均衡させていくことが必要だ。こうしたときに、生物多様性に対する精度の高いシミュレーション技術があれば、理解してもらいやすくなる。

▲日経BP社ケンプラッツ 2010年10月11日(月)

70年の定期借地権を等価交換する方式で実現

赤城神社マンション

■赤城神社の運営難を救った70年定借マンション

東京・神楽坂にある赤城神社の境内で三井不動産レジデンシャルが開発していた「パークコート神楽坂」が8月20日に完成した。マンション建設と併せて実施していた本殿の建て替えも終え、9月17日から20日にかけては竣工を祝う式典などが行われた。赤城神社が抱えていた資金難や老朽化といった問題の解決と、マンション開発を同時に実現したプロジェクトは、次のようなスキームで実現した。

採用したのは、70年の定期借地権を等価交換する方式だった。赤城神社の土地に三井不動産レジデンシャルが70年の定期借地権を設定する。その対価で、赤城神社側は本殿の建て替えや地域貢献施設・カフェテリアの整備を行う。

三井不動産レジデンシャルは、定期借地権付きのマンションを開発・分譲する。マンションの入居者は赤城神社に対して地代を支払う。地代は専有面積1㎡当たり184円だ。70年後に土地は赤城神社の所有に戻り、マンションを取り壊して森を再興する予定。同社が首都圏で神社の建て替えと分譲マンションの一 体開発をするのは初めてとみられる。

赤城神社は、隣地で営業していた赤城幼稚園の収入を主な資金源として運営していたが、少子化の影響で2008年に閉園を余儀なくされた。奉納や寄付も減少しており、神社の運営難が差し迫った課題となっていた。また、1959年に竣工した社殿は老朽化し、建て替え時期が迫っていた。

「神社の運営のための安定した収入を確保したい」「建て替えの原資がない」「土地は売却しない」「いずれは神社の森を再興したい」「地域の活性化に寄与したい」といった要望を三井不動産に相談するなかで、「定期借地権を使って幼稚園の跡地にマンションを建てるという結論に至った」(赤城神社宮司の風山栄 雄氏)という。

▲日経BP社 ケンプラッツ 2010年9月27日(月)


足立区とURの環境共生のまち

足立区UR1

■全国初、足立区とURが子育てと高齢者の支援で連携

大きな空の下、広々とした緑地帯が続く。水が輝き、心地よい風が吹き抜ける。

ここは東京都足立区の荒川河川敷。岸辺一帯の地盤を高くした「スーパー堤防」に、巨大な「街」が出現しつつある。都市再生機構(UR)が足立区と協力し、環境共生の街として開発中の「ハートアイランドSHINDEN」。広大な工場跡地に、完成すれば約3000戸の住宅が誕生する。

その中の一画、完成間近の「ハートアイランド新田四番街」(11月入居予定)。工事中のフェンスには、こんな文字が並んでいた。
「キッズルーム建設中!」

足立区とURが手を組んで今年12月にオープンさせる注目の施設だ。その中でどんな取り組みが始まるのだろうか。

○賃貸住居をグループ保育、集会所を学童保育に

「増える子育て世代のニーズに応えるために、複数の支援サービスを柔軟に組み合わせて運営していきます」と、足立区子ども家庭課・市川保夫氏。
 
「例えば、幼稚園は午後2時頃には終わるので、園の時間外の朝夕に子どもを預かる『送迎ステーション』として、キッズルームを活用します。民間幼稚園と連携して延長保育に取り組む例は、全国でも珍しいのではないかと思います。また、一時保育サービスや育児相談なども行い、地域の親子が気軽に交流したり情報交換したりする『親子ひろば』としても活用していきます」

運営者は選定中だが、地元NPOが担当する予定だ。広さは85m2、URが無償で提供する。UR居住者に限らず、地域に住む親子が利用できる。

まだある。「ハートアイランド新田四番街」273戸の賃貸住居のうち最大4戸を、足立区の「グループ保育」スペースとして確保し、0~2歳児を預かる(来年2月開始)。スタッフは区の研修を受け認定された家庭福祉員(保育ママ)が当たり、賃貸料は区が負担。

一方、すでに入居している「ハートアイランド一番街」の中に、180㎡の集会所を転用した「学童保育室」が来年4月に誕生する。こちらは小学生が対象で夜7時まで利用可。

キッズルーム、グループ保育スペース、学童保育。
さまざまな年齢層に対応した、切れ目のない柔軟な子育て支援サービスが、「ハートアイランドSHINDEN」の中に生まれる。

○ハード整備から、子育てサービスというソフト提供へ

2010年8月19日、全国初の試みとして、足立区とURは「子育て支援・高齢者支援に関する確認書」を取り交わした。大規模開発による保育需要の増加、既存団地の高齢者世帯増加などの課題をかかえる足立区と、賃貸住宅を都市の福祉拠点として活用したいUR。両者が連携して、これまでの枠を超えた新たな支援を展開するのだという。

足立区とURは、この確認書締結の約1年前から6回の共同勉強会を重ね、支援についての議論を続けてきた。

両者が手を組むことで、いったいどんな効果が生まれるのだろうか。

「一般的なマンションの場合、管理組合の許可を得るなどいろいろなハードルがあるが、URの賃貸住宅なら大家であるURとの密な連携があれば、子育て拠点等を円滑に設置できます。また、親同士が顔見知りになれば交流が生まれ、まちづくりの拠点にもなる。河川敷は今、魚の観察や昆虫採集、魚釣りなど自然体 験学習ができる区の『新田わくわく♡水辺広場』として整備中です。区の親水空間が街と一体化していることも、子育て環境として大きなメリットでしょう」。 同区都市建設部企画調整課・工藤信氏はこう話す。

一方、UR側はどんな狙いを持っているのか。

「賃貸住宅は、社会の変化に適応して変化していかねばなりません。資産価値を上げるという意味においても、子育て世代のニーズに的確に応えるサービスを提供したい。また、地域への貢献や子育てサービスに取り組むことで、公共性を備えた『URらしさ』を表現でき、URの存在意義を伝えることもできます」(UR東京都心支社業務第四部・中村和弘氏)。建物を整備するというハード面のみならず、「UR団地にぜひ住みたい」と思ってもらえるソフトウエアを作り出す試みだという。

○既存団地の空き店舗で高齢者支援

一方、「高齢者支援」についてはどうか。7月末、区内で生きていれば111歳のミイラ化した遺体が発見されて、大きなニュースになった。高齢者の安否確認は、自治体としても喫緊の課題だ。

足立区には、URの賃貸住宅が26カ所、1万3400戸ある。江東区に次いで、都内で二番目に多い数だ。中には昭和30~40年代に建てられ、老朽化のため建て替えが必要な建物もあり、大規模団地の中での高齢化や孤独死も社会問題になっている。

足立区UR2
↑足立区大谷田一丁目団地

そこで、足立区の「大谷田一丁目団地」では、空き店舗を使って高齢者のための相談拠点を展開する。具体的には、足立区が「24時間365日対応の相談サービス」を12月にスタート。国のモデル事業を活用し、介護の専門家を配置する予定だ。ゆくゆくは、高齢者や老いの準備に入る世代のサロン的な空間にしたいという。

一方、URは独自に研修を行い養成した相談スタッフ「生活支援アドバイザー」を配置する(開始は来年4月)。団地のコンシェルジュといったイメージだ。「行政が持つメニューとURのメニューを組み合わせれば、あらゆる相談に応じられる」(足立区福祉部老い支度推進担当・向井功至氏)。

この団地は1374戸、高齢化率は25.1%(65歳以上の比率)。高齢者世帯数は420世帯で、そのうち単身世帯が半分以上を占めるという。行政にとって、こうした大規模な団地で暮らす高齢者一人ひとりと、細やかに接点を作ることは簡単なことではない。

「URを介せば個人情報保護法の壁をクリアできます。URの大家としての機能を活用していただき、例えば、高齢者サービスの情報が必要な居住者にピンポイントでチラシを配布してもらうなど、細やかな情報提供が可能になります」と向井氏。

一方、UR側は足立区と組むことで、「生活支援アドバイザー」の利用者増を見込む。

「生活支援アドバイザーの設置は、URの団地が高齢者にとって従来に増して安心して住める場所になっていくための試みとして、意味があります。また、サービス内容についても、これまでは例えば、介護認定をとるにはどうすればよいか、と相談があっても担当窓口を紹介する程度にとどまっていました。しかし、区と連携すればケアマネージャーなど専門家に即座につなぐことができ、より柔軟で具体的な支援へ結び付いていくはずです」。UR東日本支社住まいサポート業務部・鎌田修氏はこう話す。

URの前身「日本住宅公団」が足立区に初めて団地を建設したのは1962年。それ以来、50年近くの間、区とURとは再開発、建て替えのハード整備を中心に協力的関係を保ってきた。

「その関係を土台に、さらに一歩踏み込んで、子育て・高齢者を支援するソフトウエアについても互いに知恵を出そう、ということです」(工藤氏)

子育て世代が集まり、まちに活発な交流が生まれる。既存の団地が高齢者に安心を提供する場になる。いずれも、人と人とのつながりを新たに創出する工夫がなければ達成できない。「区とURが組むことで、一足す一を、三にしたい」と担当者たちは意気込む。

△写真は足立区に建つ「ハートアイランドSHINDEN」、荒川のスーパー堤防と一体化した都市整備で広大な工場跡地に約3千戸の住宅が誕生
△二枚目の写真は高齢者支援のモデル事業となる足立区大谷田一丁目団地

▲日経BP社 ケンプラッツ 2010年9月27日(月)

宮下公園はみんなの公園ではないと区長

■宮下公園 反対派テントを撤去 渋谷区が行政代執行

大手スポーツ用品メーカー「ナイキジャパン」による東京都渋谷区立宮下公園の整備計画に反対運動が起きて着工が遅れている問題で、渋谷区は9月24日、反対する団体が公園を違法に占拠しているとして、団体が設置したテントなどを強制撤去する行政代執行を実施した。

午前10時、日置康正・区土木部長が代執行の宣言文を読み上げた後、区職員や民間業者ら数十人が、反対団体「みんなの宮下公園をナイキ化計画から守る会」メンバーらの所有するテントなど約80点を取り除き始めた。公園の外では大勢の警察官が警戒。同会の数十人が抗議集会を開き、物々しい雰囲気に包ま れた

区は昨年8月、ナイキジャパンに、通称「宮下NIKE(ナイキ)パーク」とする命名権を10年間にわたって年間1千700万円で売却。同社が数億円をかけてスケートボード場などを備えたスポーツ向け公園に改修整備する契約を同社と結んだ。当初は昨年9月に着工し、今年5月に再開園の予定だった。

これに対し、同会が「公共空間の企業化」「野宿生活者の排除」などと訴え、公園内にテントを張って監視を始めたため、着工を見合わせてきた。

区は今月15日に公園を閉鎖し、同会に対して公園内の所有物の撤去を命令したが、同会は応じなかった。区は21日、行政代執行を24日に実施することを表明。同会などは22日、行政代執行の通知処分の取り消しを求めて、東京地裁に提訴した。

区によると、公園内には行政代執行の対象からは除外している同会以外の路上生活者が4人いるため、全員の退去が決まり次第、着工する見込み。

桑原敏武区長は行政代執行について「けじめをつけるのが私の仕事。区関係者以外の人が集まってきて、『われらの公園だ』というのは筋違い。区民が使える公園にしなくてはならない」と説明している。

▲東京新聞 2010年9月24日(金)
 

大規模再開発事業でもキーワードは「生き物」

■大規模再開発事業でもキーワードは「生き物」

生き物保全

▲朝日新聞 2010年8月25日(水)

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