2010-06

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シュリンク社会の活性化に有効な処方箋

■全面施行から5年経過した景観法

今から5年前の2005年6月1日に景観法が全面施行され、これを記念して6月1日は景観の日に制定されている。皆さんはご存じでしたか?
現在、景観法に基づく「景観行政団体」(*1)には445団体が移行し、「景観計画」(*2)は231団体で235の計画が策定されている(2010年4月1日時点)。

5年間の推移を見ると、景観計画を策定した団体数は順調に増加し、政令市や中核市では6割以上の団体で、その他の市区町村でも1割を超える団体で景観計画が策定されている。都道府県の景観計画区域に含まれる市区町村を含めると市区町村のほぼ半分の団体で景観計画が運用されていることになる。今後5年間の策定意向を見ると、政令市や中核市はすべてが、その他の市区町村でも500を超える団体が景観計画を策定する予定である。

このように、景観法の制度の活用は順調に進んでいるものの、法律の制定による効果、とりわけ景観計画の策定によるまちづくりの効果がなかなか発現していないのも現実である。というのも、景観計画が策定されたからといって、景観形成に関する方針に沿った建築などの“行為”が発生しなければ、まちなみは変わらないのである。良好な景観が創生できなければ、交流人口の増加や地価の上昇などの経済活性化効果も生じない。また、高さや色の規制によって、まちなみを阻害する高さや色彩などの“おかしな”建築物の新たな出現を予防する効果はあるが、既存不適格の案件に対する即効性はない(一般に建築物の更新サイク ルは20~50年といわれている。*3)。京都市の新景観施策が50年後、100年後の未来を想定しているように、景観法の活用は長期的な視点で見守らなくてはいけない。これに対し、短期的に発現する効果として、住民の景観に対する意識の高まり、地域に対する満足度の向上、コミュニティ活動の活性化などの波及効果が挙げられる。景観まちづくりを進める際には、住民の合意形成は不可欠であり、地域の価値を発見・共有することがその礎となる。このように景観法の活用は、長期的には良好な景観形成が目標となるが、短期的には地域のアイデンティティ確立に大きな効果がある。それゆえに景観法の活用は、まちづくりにおいて重要な役割を担うのである。

一例を挙げれば、三春町(福島県)や小布施町(長野県)はともに人口2万人に満たない小さなまちで、三春町は郡山市、小布施町は長野市、というようにそれぞれ大都市に隣接していながら、ともに景観法の施行以前から連綿と景観まちづくりを進めてきた。その結果、地域のアイデンティティが確立し、良好な景観が集客力や知名度を向上させ、市町村合併を選択することなく、まちの自立を可能としている。これからのシュリンク社会(人口減少社会・低成長社会)において、とりわけ地方都市・中小都市では、これまでのような開発型の施策ではまちの課題を解決することは難しい。景観形成を主眼としたまちづくりはまちの活性化の有効な処方箋になるものと考えられる。

とはいえ、近年、所有者の高齢化や相続、人口減少による担い手不足などの要因により、全国各地で歴史的建造物が急速に滅失し、良好なストック景観が失われつつある。また、伝統的なまちなみにそぐわない電線類や、細街路における通過交通による安全性の阻害など、規制・誘導が政策目的の主な実現手段である景観法の枠組みだけでは解決できないまちづくりの課題も存在するのである。

ここで景観法を補完する役割を担うのが、「地域における歴史的風致の維持及び向上に関する法律(歴史まちづくり法)」である。2008年11月に施行された歴史まちづくり法は、市町村が歴史的風致維持向上計画を策定し、国の認定を受けることによって、法律上の特例措置や各種事業による支援などを受けることができる制度で、2010年4月1日時点で16計画が認定されている(*4)。歴史まちづくり法を適用することにより、歴史的建造物の保存・活用など具体的な事業を通じた地域固有の歴史的資産を活用して市街地の活性化を図ることが期待される。とりわけ、地方都市・中小都市が疲弊していくなかで、景観法による規制・誘導の制度だけではなく、これからは地域固有の資源を活用していくためのポジティブな仕組みを強化していくことも求められる。最近では大学が地方都市に入り込んで、ワークショップなどの手法を用いて景観資源の発掘・再発見やデザイン誘導を試みている例が多く見られるが、先に紹介した小布施町でも、町と大学が協働して東京理科大学・小布施町まちづくり研究所を開設して、まちづくりを進めているところである。このような大学との連携も、景観まちづくりにおける強力な牽引役となることが期待される。


(*1)景観行政団体:景観法に基づく制度を活用できる団体のことで、都道府県、政令市、中核市および都道府県の同意を得たその他の市区町村。

(*2)景観計画:景観法に基づく重要な制度で、対象区域を定めたうえで景観形成に関する方針と建築などの行為の基準を設定し、区域内の建築などの行為に対して届け出・勧告制度を適用することにより、良好な景観を形成しようとする仕組み。1つの団体が複数の計画を策定しているケースもある。

(*3)屋外広告物についてはこの限りではない。

(*4)歴史的風致維持向上計画が認定された市町村:京都市、金沢市、高山市などの誰もが認める著名な市町村以外に、甘楽町(群馬県)、桜川市(茨城県)、佐川町(高知県)など、全国的にはあまり知られていない固有の歴史的資源を活用してまちづくりを進める事例も見られる。

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▲三菱総合研究所 Thinking TODAY 2010年6月10日(木)
 社会システム研究本部 主任研究員 椿 幹夫
http://www.mri.co.jp/NEWS/column/thinking/2010/2019363_1805.html

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6メートルの「自由の女神像」周囲の景観と不調和

■函館・元町「自由の女神」!? 高さ6メートル 市など「景観乱す」

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函館市元町の二十間坂の上に設置された自由の女神像。右手奥はカトリック元町教会

歴史的建造物が立ち並ぶ函館市元町の二十間坂の上に、函館市内の海産物販売業者が高さ6メートルの「自由の女神像」を設置、函館市は9日、市都市景観条例に基づき、届け出を指導した。市は「女神像が周囲の景観と不調和」として今後、撤去を含む是正を求める方針。業者側も応じる意向を示している。

女神像を設置したのはカニ卸問屋のマルキタ北村水産(北村暢一社長)。8日の元町店(函館市元町17)オープンに合わせ、敷地内に繊維強化プラスチック(FRP)製の「二十間坂の女神」を設置した。

この一帯はハリストス正教会やカトリック元町教会、函館山ロープウェイ乗り場などがある観光エリアで、市は都市景観形成地域に指定、歴史的建造物の保存や道路整備などに努めている。5日の女神像設置後、市には「地域の景観にそぐわない」などの苦情が相次ぎ、9日には地元町会から撤去を求める要望書が出された。

都市景観形成地域での「工作物」の設置は届け出が必要だが、女神像は届け出されておらず、市は9日、同社に対し文書で指導した。市は女神像が「周囲の景観に不調和」とみており、今後、届け出を受けた上で、撤去も含め是正について協議する方針。

北村社長は「店の2階を無料で市民に開放するのでその象徴として造った。地域の人たちと話し合いをした上で、市が決めたことには従う」と、是正に応じる意向を示している。

▲北海道新聞 2010年6月10日(木)


景観保全や歴史的環境形成の支援事業「廃止」

■景観保全支援など6事業「廃止」 国交省「行政事業レビュー」

国土交通省は8日、予算の無駄を有識者が公開で話し合う「行政事業レビュー」の最終日となる4日目の会合を開いた。4事業を審査し、景観保全や歴史的環境形成の支援事業(2010年度予算で8億5000万円)を「廃止」と判定した。4日間合計で18事業を審査し、6事業を「廃止」判定とした。

▲日本経済新聞 2010年6月8日(火)

=応援します!黒部丘マンション反対運動= 扱うのは合法か否かだけ 問われる審査会

■開発審査会のあり方を考えるシンポジウム

開発審査会のあり方を考える会がシンポジウム「開発審査会・建築審査会のあり方を考える-委員選任・会の役割を中心に-」を2010年1月11日に東京都港区の建築会館で開催した。開発審査会のあり方を考える会は東京都開発審査会の委員不再任問題を契機に結成された。委員不再任問題は東京都開発審査会委員であった稲垣道子氏が1期のみで再任されず、不再任の理由も説明されなかった問題である。

シンポジウムでは最初に稲垣氏が「東京都開発審査会における委員不再任問題の報告」と題して経緯を説明した。稲垣氏は東京都の担当者に不再任理由を尋ねたが、「任命権者(都知事)の問題である」との回答のみであった。そのために石原慎太郎・都知事に要望書を送付したが、回答はなされていない。

猪瀬直樹副知事への面談などから浮かび上がった理由は「2回に渡って一度決まったことを覆す発言をした」であった。稲垣氏は1回については思い当たる点があるとする。その時は委員会で納得の上、審理し直した。これを不再任理由とすることは審査会運営への干渉であると批判した。

続いて水口俊典・芝浦工業大学名誉教授が開発審査会・建築審査会の問題点と論点を整理した。審査会では合法であるか違法であるかを判断するだけでなく、 社会的公正や地域環境保護の観点から不当性がないかも審理する努力をすべきなどと指摘した。

パネルディスカッションでは柳沢厚・C-まち研究室代表、浅野聰・三重大学大学院助教授、日置雅晴弁護士、稲垣氏がパネリストとして開発審査会や建築審査会の問題点を発言した。

柳沢氏は事前明示基準の功罪として、基準が杓子定規に適用され、現地の具体的な状況を斟酌していない実態を問題視した。

浅野氏は地方都市の状況を説明し、審査請求の件数が少ない地方都市では事前予防が重要と主張した。

日置氏は浅草の高層マンション建設問題など様々な問題を紹介した。裁決が審査請求人の問題意識(高層マンションによる住環境破壊)に応えられていないケースも多い。

稲垣氏は自治体には人口増・税収増をもたらす開発を歓迎する傾向があり、その自治体が乱開発を抑制する責務を負っているところに難しさがあるとした。

コメンテーターの福川裕一・千葉大学大学院教授は、審査会委員を専門家とする前提を疑問視した。外国では事務局がバックアップするものの、必ずしも専門家が判断していないという。この指摘に対しては水口氏から密室で運営されている審査会の運営のままで、市民が参加しても市民的常識が反映されるとは限らないとの意見が出された。一方で司会の内田雄造・東洋大学教授は専門家よりも市民の方が不当な計画に声を挙げるため、市民がいる方がいいと主張した。

このシンポジウムでは近隣住民の立場で建築紛争に取り組む参加者も多く、会場からは大船観音前マンションや地下室マンション、二子玉川東地区再開発など実際の紛争を踏まえた生々しい話も登場した。多くの近隣住民は近隣対策業者への住民対応丸投げに象徴される不動産業者の不誠実な姿勢に憤りを抱いているが、それを糾弾する場が現行制度には欠けている。「違法でないから問題ない」という現状を肯定しない審査委員がいることを心強く感じた。

▲JANJAN 2010年1月12日(火) by 林田力

=応援します!黒部丘マンション反対運動= 周辺住民が東京地裁に提訴

■2棟の構造「実際は9棟」 マンション周辺住民が提訴

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神奈川県平塚市で建設中のマンションの模型

神奈川県平塚市で建設中の5階建てマンション(全357戸)をめぐり、2棟の構造として建築確認を出した検査会社「都市居住評価センター」(東京)に対し、周辺住民8人が3日、「実際は9棟を組み合わせた違法建築だ」として取り消しを求め、東京地裁に提訴した。

訴状などによると、マンションは大手ゼネコンなど3社を建築主として3月に着工し、工期は1年程度を予定。センターは3月までに、上から見ると「E」形の2棟が向かい合った構造として建築確認を出した。

原告側は、実際の構造は西棟が字画どおりの4棟、東棟は横棒部分3棟に加え、縦棒部分がさらに2分割された2棟 の5棟で、それぞれが渡り廊下でつながるため計9棟と数えるべきだと主張。

2棟とすることで、階段設置などの防災面や日照などの規制が適用されなくなるとして「居住者や周辺住民に危険を及ぼす可能性が大きい」としている。

▲共同通信 2010年6月4日(金)

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