2008-01

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福岡住環境を守る会 北九州支部開設後、全国集会へ

■2007年 福岡・住環境をめぐる 10大ニュース

1)4月、福岡住環境を守る会結成 10月、北九州支部開設
2)7月、五十嵐(法政大学教授・弁護士)結成記念講演会開催
3)谷で2件、花畑1件、計3件のマンション計画が反対運動で建設断念
4)輝国で清水建設の日影図の誤りを見つけ、計画を白紙撤回させる
5)10月、「あきらめない対策集」「新聞報道の記録」を出版し、話題に
6)景観法や眺望に関し多くの報道がなされ、時代が変わる転換点に入る
7)愛宕浜マンション問題で市議会始まって以来の採決
8)11月、12月全国ネットワークに向け会議を開き第一歩を踏み出す
  来年5月に全国集会を予定
9)承天寺裏のマンション計画が反対運動により計画を凍結
10)福岡市では10月施行の条例で狭い道路にはマンションが建てにくくなった

◇トピックス(大企業編)
●清水建設施工の千葉のマンションが鉄筋不足 契約解除受付け開始
●ベトナムで大成建設施工の橋が落下 130人の死傷者
●竹中工務店施工の東京のマンションで鉄筋の強度不足 工事のやり直し
●積水ハウスの横浜のマンションで耐震偽装が発覚
●建材メーカー、ニチアスの製品偽造 旭化成のへーベルハウスは4万棟の無料修復
●食品偽装は社会問題 建設業界はなぜ 大問題にならない?
●三井不動産が建設中の西高宮のマンションで家屋調査書の偽受領書を作成
この事件で各市議会では各委員が鋭く追及。市は事実に反する内容や業者をかばう答弁に終始。例えば「和解した」の根拠は8人の同意だが、近隣住民だけでも20人。また「謝罪した」と説明したが、建主は出て来ず、代理人を出した。事前にすべき家屋調査も工事中にし、それを担当者の責任にした。まるで船場吉兆のパートに責任を押しつけるのと同類。せめてもの救いは、市議も市も、今の紛争予防条例は改正する必要があると明言したこと。
●遂に刊行! 自費出版本「あきらめない!マンション紛争対策集」

▲まちづくりNEWS 2007年12月17日(月)福岡・住環境を守る会

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農村風景が残る地域にもマンションや住宅開発が進む

■築200年の古民家の行方は? 茅ヶ崎市浜之郷

築200年ほどと推定される古民家が、神奈川県茅ヶ崎市にある。樹齢約200年の3本の柿の大木、庭に咲く白花タンポポ、オカトラノオ、ミズヒキなどの懐かしい草花が、心地よいホッとする空間を建物とともに作っている。
敷地は約900平方メートル、延べ床面積約240平方メートルで、2階は蚕(かいこ)部屋だった。古民家があるのは、相模川が氾濫したときの土砂が堆積した、周囲より高く古くから集落があった浜之郷地区。源氏が関東地方へ進出したときに最初に建てたともいわれている鶴嶺(つるみね)八幡宮が近くにある。いまは、マンションや住宅開発の波が押し寄せている。
この家に住むのは、江戸時代に名主を務めた尾坂家20代目の尾坂芳彦さん(74歳)夫妻。玄関を入ると、石のように硬い、でこぼこした土間がある。移築した古民家の土間にはない迫力だ。緑色に変色している部分は、こすっても取れないコケだそうだ。コケの湿気が梁(はり)のためには良いのだという。見上げると、すすで黒々とした、縦横にはりめぐらされている大小8本の梁が見事だ。
「土間のひびは関東大地震のときの亀裂だと義母から聞きました」と妻の郭子さん(69歳)。建物に被害はなかったそうだが、何と約1メートル、西に移動したという。
第2次世界大戦中には、10年前まであった土蔵が日本軍の弾薬庫として使われた。茅ヶ崎も空襲を受けたので、まさに爆弾を抱えていたわけだが、幸い、米軍の爆撃を免れた。
改造は、あまりされていない。約50年前、茅(かや)葺の屋根を瓦葺にし、約40年前に、雨戸だけだった縁側部分に木製のガラス戸を入れ、約30年前に別棟だった五右衛門風呂を取り壊し、母屋に新しく浴室を造ったくらいだという。
「先代のときに一度、新築の話があったが、私は考えなかった」と、茅ヶ崎郷土会の役員でもある郭子さん。「もったいない」との思いで維持管理してきた。芳彦さんは知り合いの解体業者に相談したことがある。「重機でつぶすのはイヤだ。そんなことをしたら、自分のメンツにかかわる。手作業で解体すべき」と断られたと苦笑する。
都市計画のある研究者は「民家は採光条件の良さから南向きが多いが、尾坂邸は鶴嶺八幡宮に対して正面を向けるために、東を向いています。歴史的見地からも貴重です。間取りも3列3段構成になっていて、2列2段のいわゆる<田の字型>ではなく、珍しいものです。建物だけでなく、建具などの造作物の保存状態も良い」と興味を示す。
6年前から、近くの小学校が社会科の授業「昔の人といまの人の暮らし」で見学に訪れるようになった。二間続きの座敷に130人もの生徒、先生、父兄が入って行われることもあるそうだ。
市民グループが開催するイベントや講習会などにも、場所を提供している。固定資産税・相続税の負担を考えると「息子の代で維持するのは、無理かもしれない。今のうちに、できるだけ多くの人に活用してもらおう」と考えるようになったからだ。
以前、市内の介護施設からデイケアで利用したいという話もあったが、玄関、座敷への上がり段など、段差が大きいことから立ち消えになった。市の文化財や重要建築物等には指定されていない。市の関係者によると、財政事情が厳しく、今ある文化財の維持管理だけでも大変で、調査の予定もないという。
2006年に介護保険法が改正され、全国的には、住み慣れた自宅のような小規模の介護施設が増え、人気もあるようだ。最近はバリアフリーの工事や浴室・トイレなどの改築をして、古民家を活用する例も珍しくなくなってきた。地域の文化財もリサイクルする時代になったようだが…。
東京から電車で約1時間の湘南茅ヶ崎は、海側だけでなくJR東海道線北側の農村風景が残る地域もマンションや住宅開発が進んでいる――。

▲JANJAN 2007年12月16日(日)

マンション紛争運動は私たちの当然の権利

■あなたの隣に突然!マンション建設 どうしたらいいの?

儲けることしか考えていないマンション建設業者は、私たちの住宅地にずかずかと入ってきて、日照・眺望・涼風・緑を奪います。こういう勝手な建設は許せません。良好な住環境を守るために、まずあなたから行動を起こしましょう。マンション紛争運動は、私たちの当然の権利です。勝手な建設を許したら私たちの人生だけではなく、子や孫にまでも影を落とします。
本来、住環境を破壊する迷惑マンションの建設は役所が規制すべきです。が、残念ながら役所にはそれを規制する法の強制力がありません。その上法律は住民の住環境を守るどころか、逆に業者には都合よく建てやすいように作られています。この理不尽な現実は、私たち市民が変える以外に手はありません。
そこで、個別のマンション紛争をみんなで一緒に闘い、これからのまちづくりを変えていこうと、2007年(平成19年)4月に、市民が集まってできた団体が「福岡・住環境を守る会」です。この会にはマンション紛争中の団体と個人、すでに闘いを終えた経験者や私たちを応援してくれる弁護士・建築家・学者の方々が参加しています。
私たちはマンションすべてに反対ではなく、良好な住環境を壊すような建て方に反対しています。
マンション紛争で悩んでいる方、闘いを終えてその経験を活かしたい方、上記の趣旨に賛同の方、是非この守る会に参加してください。一緒により良いまちをつくりましょう。

◇私たちの自費出版本、「マンション紛争対策集」(3000円)は貴重なマニュアル本です。詳しいお問い合わせは、下記まで。
福岡・住環境を守る会
〒812-0044 福岡市博多区千代4丁目31―7 九県前ビル2階
TEL:092―641-2541(FAX兼用)
E-mail:f-zyukankyo@y9.dion.ne.jp
HP:http://www.k5.dion.ne.jp/~jukankyo/

▲福岡・住環境を守る会 2007年12月14日(金)

官民共同の「まちづくり会社」

■まちづくり会社への出資求める

大津市は13日、来年度から取り組む「中心市街地活性化基本計画案」と、同計画案の核となる官民共同の「まちづくり会社」への出資を求める説明会を明日都浜大津(同市浜大津4丁目)で開いた。JR大津駅周辺や浜大津かいわいなど、停滞している中心市街地の再生に向け、市民らの理解を求めた。
説明会には、市内外の事業者や地域住民ら約120人が参加。計画策定に携わった市都市再生課と大津商工会議所の担当者や識者らが、計画案策定の経緯や今後のスケジュール、事業メニューについて説明した。
また、湖岸でのオープンカフェや町家の利活用などの事業を担うまちづくり会社についても説明し、「行政、企業が力を合わせて進めていく会社。多くの参加を募りたい」と出資を呼び掛けた。
まちづくり会社は、中心市街地活性化法に基づく、国から民間への支援策の調整役も果たす。資本金3000万円のうち1000万円を市、500万円を商議所が出資、残りを民間企業や市民から出資を募り、来年1月23日の設立を目指している。

▲京都新聞 2007年12月14日(金)

丸山古墳のそばに高層マンション

■丸山古墳のそばに高層マンションが 市長も反対

世界文化遺産の暫定リストに登録されている橿原市の前方後円墳、丸山古墳(国史跡)近くに高層マンション建設が計画され、地元住民が「景観を損なう」と反対している問題について、橿原市の森下豊市長は、12日の市議会本会議で「世界遺産登録の障害になりかねない」として、高さ31メートルの現行計画に反対する考えを市側として初めて示した。森下市長は今後業者と話し合いの場を持ち、高さ抑制などの計画変更を求めるとしている。
マンションは「パナホーム」(本社、大阪府豊中市)が丸山古墳の西約150メートルに計画。10階建てで計155戸の入居を予定している。
建設予定地は近鉄岡寺駅前の商業地域で、現行計画でも法的な高さ制限(31メートル)はクリアしている。同社は現在、市に建築確認を申請するため、最終準備を進めている。
しかし、反対派住民は「丸山古墳近くに高層マンションができれば、歴史的景観が大きく損なわれ、世界遺産登録の妨げになる」として、今年5月、当時の安曽田豊市長に対し約3000人分の署名を添えて建設反対の要望書を提出。対して市は、計画自体に法的な問題はないことから、これまで静観してきた。
12日の本会議で、森下市長は「世界遺産暫定リストに登録された後にもかかわらず、あの場所に高層マンションを建てるのは許せない。市として正面から取り組む」と明言。本会議終了後には「10階建てではなく、景観を阻害しない高さまで抑えてもらうなど、業者側に市の思いを早急に伝えたい」と話した。
森下市長は、初当選した10月の市長選に際し、住民側が各候補者に出した質問状にも「マンションは景観を大きく損なう可能性があり、今の計画での建設は反対」と回答していた。
森下市長の見解表明を受け、反対派住民の細井保宏さん(56)は「市長が選挙前の約束を実行してくれることは喜ばしい。市と業者との協議など、今後の行方を見守りたい。近鉄岡寺駅前を世界遺産の玄関口として整備してほしい」。
パナホーム広報宣伝部は「市長に実情を説明したいので、話し合うため日程調整している。市長の見解を直接聞いていないので、現時点では計画変更などについて何とも言えない」としている。

▲MSN産経ニュース 2007年12月13日(木)

市内全域を景観計画区域に指定

■地域のまちづくり考えるツールに

座間市はこのほど、景観計画と条例の素案をまとめた。建築物新築に緩い制限を設け、「特定景観計画地区」指定を受ければより厳しい制限設定も可能になる。同時に景観に寄与する建造物・樹木の市指定や、景観形成に貢献した人・事業者への表彰制度を新設し、景観づくりにつなげたい考えだ。
座間市景観計画・条例(素案)では、市内全域を「景観計画区域」とし、高さ15メートルか建築面積1平方キロメートルを超える建築物を新築する場合、特定届出が必要となる。けばけばしい色には変更命令が、周囲と統一感のない外壁突出等には勧告が出される。
地域住民がより厳しい基準を定めたい場合、「特定景観計画地区」指定を受ければ可能となる。住民数人で考え始めたまちづくり案を、地域内3分の2以上の住民の同意が得られた段階で市に提出できる。先行して地元住民らで自主的に協定策定している鈴鹿長宿地区では、延べ床面積10平方メートルを超える建築物新築に届出が必要とし、高さ制限を設けるなど町並みの維持形成に努めている。特定景観地区指定はこれを制度化できるもので、市では「今はマンション等が建った後に景観悪化の苦情が出ている状況。事前にその地域ならではのまちづくりを地元住民自身が考えるツールとして、計画・条例を活用してほしい」と話している。
このほか、地域のランドマーク的な建造物や樹木を「景観重要建造物」「景観重要樹木」として指定したり、景観形成に貢献した住民や事業者を「景観賞」表彰して景観づくりにつなげることにしている。

▲タウンニュース 2007年12月7日(金)

竹中工務店またミス

■建築中のマンション コンクリート強度不足

竹中工務店(大阪市)が東京都世田谷区に建築中の高級マンションの一部で、設計とは異なる強度不足のコンクリートが使われていたことが7日、分かった。
同社は強度不足が判明した棟の構造計算をやり直し、東京都に報告。10月、はりの高さや幅を大きくする補強工事をした。入居予定者には事業主の不動産会社が文書で説明したという。
竹中工務店のマンションをめぐっては、11月に東京都港区で建築中の超高層マンションで鉄筋の強度不足が発覚、一部の階を解体することが決まったばかり。
竹中工務店によると、問題のマンションは世田谷区太子堂三の「グランドヒルズ三軒茶屋」(来年3月完成予定)。今年5月にコンクリートの強度確認をした際、A―D棟の4棟(9-13階建て)のうち、B棟一階の床とはりのコンクリート強度が86%しかないことが判明した。
一階部分の設計基準強度はほかの3棟よりも大きかったが、誤って強度の同じコンクリートを使ってしまったという。
このマンションは経済誌の「首都圏マンションランキング」で一位になっていたといい、竹中工務店広報部は「お客さまにご迷惑、ご心配をおかけしたことをおわび申し上げます」とコメントした。

▲東京新聞 2007年12月7日(金)

マンションも限界集落化する

■住民と建物、二重に高齢化

4年後の2011年、築30年以上のマンションが100万戸に達するという。建物の老朽化が心配になるが、専門家は「住民高齢化による管理組合の機能不全の方が深刻」という。「いま手を打たなければ、廃虚化する」と警告している。
「理事会役員のなり手がなく困っている」「住人の高齢化に配慮した管理規約をつくりたい」
23日、東京都千代田区で開かれたフォーラム「高齢化社会におけるマンション管理」。110人が参加した会場からは、切実な質問が相次いだ。
戦後ベビーブーマー向けの分譲マンション建設ラッシュから30年。一通りの大規模改修を終え、建て替えや再開発が理事会の議題にのぼるところが多い。
だが、マンション管理士の木村孝さんは、「建て替えは現実的とはいえない」と断言する。「今年都内で建て替えに踏み切ったマンション10数棟は、すべて建築戸数を増やしている。増えた分を分譲し、その売り上げを建築費に回したが、同じ対応をとれるのは多くない」という。
さらに、同じくマンション管理士の今川守さんは、「老朽化は建物だけの問題ではない。住民の高齢化も深刻」と指摘する。65歳以上人口が半数以上になった集落は、「限界集落」と呼ばれ共同体の維持が困難な状態とされるが、今川さんは「ほっておけばマンションも限界集落化する」と警告する。
国土交通省の「マンション総合調査」(03年度)でも、1999年度に51%だったマンション居住世帯主で50代以上の割合は60%に増加。逆に、30、40代の割合は減少し、住民の高齢化を示している。
築年数を重ね、住民が高齢化した「限界マンション」の問題は、建物自体のハード面よりも「管理組合が活動維持できなくなる」(今川さん)点にある。同調査の「マンションのトラブル」の項目でも、99年度調査で2%台だった「管理組合運営」が2003年度には15%に増えた。
東京マンションフォーラムの高野道代事務局長は「認知症の人が現れ、管理組合が立ち行かなくなる。独居が増え、孤独死も深刻な問題」と高齢化の弊害を挙げる。
対策について、前出の木村さんは「建物自体は50年以上持つ。今のうちに、60、70年後も住めるマンションに育てる手だてをとるべきだ」と事前の対応を呼びかける。
新築時の状態維持を目的とした従来の修繕計画を見直し、「若い世代にも魅力的なマンションの姿を維持し、入居を促す」ことを提案する。防犯やバリアフリーなど時代に見劣りしない設備を整えるためにも、「年金生活になってからの積立金上積みは困難。現役中の見直しが肝心」と念を押す。
だが、最新設備を設けるのは資金的にも難しい。今川さんは「そこを埋めるのがソフト面。マンション内のコミュニティーづくりも重要な柱」と話す。「マンション内に住民交流のためのクラブをつくったところもある。日ごろの意思疎通があれば、難しい問題も理事会の話し合いでスムーズに解決する」
マンション問題評論家の村井忠夫さんは「人間と同じで、高齢化が突然やってくるわけではない。どんな住人がいるか事前に把握し、建物の状態を調査し、管理組合を再点検すること」とアドバイスする。高齢者の理事会離れについても「もう年を理由に役員を辞退できる時代ではない」と指摘している。

▲東京新聞 2007年11月28日(水)

県内マンション着工件数減少

■県内マンション新築着工件数 法改正響き大幅減少

マンションを中心に、県内の新築住宅着工件数が大きく減少している。国土交通省によると、県内のマンション着工件数は今年3月に3307戸あったが、9月には174戸と激減。一戸建て住宅などを含む住宅着工総数も4月には9876戸あったが、9月には4103戸と半減した。6月に施行された改正建築基準法で建築確認の審査が厳しくなったことが背景にあり、建設業界への影響は深刻だ。
◇審査の長期化
2005年11月に発覚した姉歯秀次・元一級建築士による耐震強度偽装事件を受けて、改正された建築基準法のポイントは2点あった。
一つは着工後に間取りなどを変更する場合、建築確認の再申請が必要とされたことだ。県建築指導課によると、改正前と違って図面の段階で完全なものを求められるため、改正直後には申請がほとんどなかったという。
もう一つは、高さ20メートル以上のマンションなどの大型建築の場合、建築確認をする自治体や民間の検査機関とは別に、外部の判定機関が構造計算書を計算する「二重チェック」の導入だ。
審査の厳格化に伴い、審査期間も改正前は21日以内だったのが、35日以内に延長された。また二重チェックの必要なマンションなどは最長で70日かかり、書類の内容によってはさらに延長されるという。
この影響で建築確認が遅れ、着工件数が全国的に減少したため、国交省は今月14日、手続きの一部を緩和した。だが二重チェックする専門家の不足や、改正法に基づいて建築物の構造計算を算出する新ソフトの開発が遅れているのが現状だ。
同省建築指導課は「国交相の認定を受けた新ソフトを使えば、審査は35日以内で済むが、年内に発売される予定はない」としており、審査の長期化が改善される見通しはたっていない。
◇建設業界
「法律が改正される前は2カ月程度でマンションの建築確認が下りたが、いまはその2倍か半年近くかかりそうだよ」と、横浜市内で多くのマンション建設を手がける大手業者はため息をつく。
この業者によると、8月以降、建築確認が下りない未着工のマンション建設工事がたまっているという。着工できない場合、下請けに出す関連工事も進まない。マンション建設の下請けが多い同市内の水道設備業者は「今年前半は仕事が多かったが、8月以降はめっきり減った」と嘆く。
一方で、来年初めにはたまっていた建築確認申請が一斉に認められ、工事が集中することが予想される。だが中小建設業者は「鉄筋を組む職人は少ないので、認可が下りても工事は進まないだろう」と指摘する。
一般的にマンション建設は着工から完成まで、階数プラス3カ月の期間がかかるといわれているが、この業者は「当分プラス6カ月」と話し、こう不安を明かした。
「建設業界全体が悲鳴を上げている。うちも含めて中小の業者は目に見えて仕事が減った。来年には着工件数が回復するだろうが、それまで持ちこたえられるかどうか」

▲東京新聞 2007年11月28日(水)

建築紛争当事者の交流会・戦略会議

■マンション建設反対運動連携の第一歩 

市民や地方議員、都市計画や法律の専門家で構成される「耐震偽装から日本を立て直す会」という集まりがある。この会が主催した交流会・戦略会議、「市民による都市改革~2007年的状況から2008年への展望」が、2007年11月24日、東京都千代田区の神保町区民館で開催された。
この交流会は、各地で個別に行われているマンション建設反対運動を連帯させ、抜本的な都市改につながる運動に発展させるためのシナリオを描くことを趣旨とする。マンション建築紛争が各地に広がる中で、個別に反対運動を行っているだけでは、限界があるという問題意識が出発点だ。
ある日突然、地域の景観を破壊するマンション建設計画が持ち上がり、マンション建設反対運動が組織されるが、誰もが初めての経験であり、いわば素人集団である。
それに対して業者は、経験面でも物的人的リソースも豊富である。加えて、近隣対策屋と呼ばれる住民折衝を専門に請け負う業者まで登場している。そして、何らかの妥協がなされるか、マンションが建設されてしまうと、多くの場合、反対運動は解消してしまう。その結果、反対運動で得たノウハウは、他の反対運動で活かされない……。このような状況に対する危機感が、この交流会の背景にある。
事務局によると、電子メールでの案内しかできなかったとのことだが、この日は、遠く福岡から来た方も含め、マンション建築紛争に取り組む市民、地方議員、建築家らが多く集まった。話し合われたテーマは、大きく2つ。「構造偽装問題」と「中高層マンション問題」である。
第1部の構造偽装問題では、上村千鶴子氏と日置雅晴弁護士が報告した。
まず最初に、上村氏が構造偽装問題の現在の状況について報告した。
姉歯秀次元建築士による構造計算書偽装物件のうち、水平保有耐力0.5以上の分譲マンションでは2007年10月30日現在、改修工事がなされているものは1件(グランドステージ東陽町)しかないと説明した。それ以外は計画策定中となっているが、取り残されてしまっている状態である。
また近時の建築着工減少については、住宅の契約率も下落し、在庫が残っている状況から生産調整時期にあるとし、建築業界から悪玉視されているような建築基準法改正の悪影響によるとは限らないのではないかと指摘した。
会場からは、福岡でサムシングの偽装問題にとりくむ幸田雅弘弁護士が「地方の非姉歯物件はもっと酷い状況」と指摘した。
非・姉歯物件は、偽装の追及自体が停滞しているが、マンション名公表による資産価値低下を恐れる管理組合・購入者自身が、調査に消極的であることも一因となっている。マンション住民自身が、問題解決の足枷になっている状況である。
これは次のテーマ「中高層マンション問題」で、「景観を破壊する高層マンションでも購入者がいるから企業が建てるのではないか」 という消費者に対する問題意識と共通する。
続く、日置弁護士は、建築基準法改正の評価と課題について報告した。確認検査機関が、違法な建築確認を出したとしても処分の対象にならない点が問題として指摘された。
第2部の中高層マンション問題では、幸田弁護士、稲垣道子氏、野口和雄氏、五十嵐敬喜・法政大教授が発表した。
最初に福岡から来た幸田弁護士が、福岡市の状況について報告した。福岡でマンション紛争と戦う10数団体が連携し、「福岡・住環境を守る会」を発足した。訴訟では従来の日照権やプライバシー権に加え、風害や圧迫感についても被侵害利益として主張していきたいと説明した。
稲垣氏は建築紛争を紹介し、建築紛争の構図について説明した。地域で守られるべき価値が、共有されているか否かが建築紛争の帰趨に大きな影響を与えると主張した。
野口氏は、各自治体の対応について類型別に整理された。様々な制度があるものの、努力義務にとどまる限り、不動産業者は無視して建設を進めてしまう現実がある。不動産業者が従うような実効性のある規制が課題である。
現状で最も実効的なものとして、真鶴町まちづくり条例(美の条例)を挙げた。ここでは基準に合致しない建物は公聴会、議会の議決を経て水道契約を拒否することで、事実上の着工拒否が可能になる。
五十嵐教授からは、真鶴町まちづくり条例が優れているとの主張がなされた。水道供給の制限は思い切った規制であるが、議会の議決等の適正手続きを踏んでいる。真鶴町の条例は1993年に可決されたが、今でもこれが一番良いということは、日本の都市政策の停滞を物語っているとの辛辣な指摘もなされた。
最後に「2008年への展望」と題して、今後のシナリオが検討されたが、残念ながら時間切れで議論が尽くされなかった。

住環境を破壊するマンション建設を、止めさせられる実効性ある法規制が必要という点で共通の認識が得られたと思われるが、それを実現するための具体的な方策については今後の課題となった。特に市民に何ができるか、何をすべきであるかという点は未解決である。
また、第1部で構造偽装問題を取り上げ、偽装物件購入者が置き去りにされていると指摘されたにもかかわらず、偽装物件購入者にとっての解決策が出なかった点も残念である。
そもそも偽装物件購入者の視点に立っていないのかもしれないが、偽装物件の購入者をはじめとする欠陥住宅の被害者とも連携すれば、不動産業者の手口を知るという意味でノウハウの蓄積にもつながると思われる。
課題は残ったものの、建築反対運動を一過性のもので終わらせてはならないという熱意が感じられる交流会であった。日本のまちづくりに期待が持てるようになった1日であった。
私が本交流会に参加した経緯は、私自身が消費者契約法により売買契約を取り消したマンションの売買返還を求めて、東急不動産株式会社と長らく裁判を続けていたからだ。裁判の争点の1つが、マンション建設時に東急不動産のために働いていた近隣対策屋と近隣住民との折衝内容であった。
近隣住民と近隣対策屋のトラブルは、マンション建設反対運動で問題となっており、私は近隣対策屋について情報を得るために、マンション建設反対運動を行っている方々と情報交換を行っていた。そのような中で参加を勧誘され、出席した次第である。

▲OhmyNewsオーマイニュース 2007年11月28日(水)

マンションに強度不足鉄筋 竹中工務店

■部分解体、工事やり直し

大手ゼネコンの竹中工務店(本社大阪市)が東京都港区で建設中の27階建てマンションで、強度不足の鉄筋が使われていたことが20日、分かった。同社は8、9階部分を解体し、工事をやり直す。報告を受けた東京都によると、建設途中の一部の階を取り壊してやり直すのは珍しいという。都は、設計監理などに問題がなかったかどうかなど同社に説明を求め、再発防止を図る。
同社によると、このマンションは港区東麻布の桜田通り(国道1号)に面した、東京タワーの約200メートル南西の1340平方メートルの敷地に建設中。2005年11月に着工し、08年8月に完成予定だった。
都によると先月25日、マンションの8階と9階のはりの部分に、設計と違う規格の鉄筋が使われていることが分かった。はりは、組み立てた状態で納品され、使われていた鉄筋は、太さは設計で指定した規格と同じで、一見すると同じだが強度が2割程度落ちるという。鉄筋に付いている規格を示す目印に、同社の検査担当者が気付いた。
誤って使ったのは、上層階よりも強度が少なくて済む、地下1階に使う鉄筋。工事現場の敷地内で請負業者が、はりに使えるよう加工しているが、その際に上層階の鉄筋と間違えたとみている。
工事は、すでに9階部分まで進んでいたが、同社は8、9階部分を取り壊して工事をやり直すことに決定。今月12日、都に電話で経緯を連絡した。都は同16日、同社の担当者を呼び出し、詳しい説明を求めた。
竹中工務店広報部は、「国土交通省、都、港区から、やり直し工事の指導を受けた。今月末ごろ近隣住民の方々向けに説明会を開く。完工予定はずれ込むが、時期は未定」と話していた。

▲東京新聞 2007年11月20日(火)

景観破壊か、個人的価値観の押しつけか

■景観破壊か、個人的価値観の押しつけか

「まことちゃん」などの作品で知られる漫画家、楳図かずおさんが東京都武蔵野市に建築中の自宅をめぐり、周辺住民2人が、外壁を赤白の横じま模様にしないよう求めた訴訟の第1回口頭弁論が14日、東京地裁(畠山稔裁判長)であり、楳図さん側は「住民による主観的、個人的価値観の押し付け。景観利益は侵害しない」として、争う姿勢を示した。
外壁の完成予定は12月8日と明らかにした。
訴状によると、楳図さん宅は3月に着工され、外壁が楳図さんのトレードマークの赤白の横じまになる予定。屋根には小さな煙突状の塔が置かれ、作品のキャラクター「マッチョメマン」の目をイメージした2つの丸窓ができるという。
住民側は「周囲の住宅と著しく調和を欠き、景観を大きく破壊する」と主張。窓から見下ろされることから「プライバシーの侵害」として、窓の目隠しを求めている。
住民は今年7月、東京地裁に工事差し止めの仮処分を申し立てたが、「特別な景観を有する地域ではなく、法律上保護に値する景観利益は認められない」と却下されたため、提訴した。

▲デイリースポーツ 2007年11月14日(水)

開発業者の「ただ乗り」許さぬ

景観は「共有財産」 全国で相次ぐ規制の波

大枝山(おおえやま)をはじめ沓掛(くつかけ)の山々が背後に控える京都市西京区桂坂地区──。本能寺の変に際して、明智光秀が駆け抜けた間道、唐櫃越(からとごえ)にも近い高級住宅街である。ここに降ってわいたマンション建設計画を巡って、住民と開発業者の間で激しい対立が繰り広げられている。マンション予定地には幼稚園が建てられるはずだったが、今年に入り、幼稚園の建設計画は頓挫。マンション建設計画が持ち上がった。開発主体は中堅マンションデベロッパーの日本エスコンとさくら不動産。3414平方メートルの敷地に5階建て高さ15メートルの建物を建てる。この高さが住民の反発を買った。
マンション計画を知った桂坂の住民は「桂坂マンション対策会議」を発足、反対運動を始めた。
成人の住民の80%近くに当たる6千人の反対署名を集め、京都市に申し入れ書を提出したのは9月28日。10月19日には、朝5時にボーリング調査を強行しようとした業者側の動きを察知、約200人の住民が集結し、建設予定地で建設反対を訴えた。現在も、ホームページ上で予定地を監視している。
この街を開発したのは、2001年に特別清算された旧セゾングループの不動産開発会社、西洋環境開発である。分譲が始まった1985年以降、住民は厳しい建築協定を設けることで、街の景観を維持してきた。
住宅の大半は2階建ての戸建て住宅だが、それは建築物の高さは10メートルまでという決まりがあるため。屋根もフラットではなく、傾斜していなければならない。外壁は道路との境界線から1.5m以上離す。幹線道路沿いの家々は外壁の外側に植栽を施す──。宅地を購入する際には、こういった建築協定の締結を購入者に求めてきた。
◇法的に問題はないのに…
桂坂のほとんどのエリアは、高い建物が建てられない「第1種低層地域」に指定されている。だが、問題となっているマンション建設地の用途地域は「近隣商業施設地域」。容積率の面では、5階建てのマンションを建てても法的な問題はない。「法律的には問題がないはずだが…。今後は行政の指導にのっとって進めていきたい」と、日本エスコンも困惑を隠さない。
もっとも、同じ近隣商業施設地域にあるスーパーマーケット、イズミヤは住民に配慮して、平屋建てに抑えている。近隣の京都大学桂キャンパスも景観に配慮した作りになっている。
統一感のある街並み。石塀に沿うように植えられている草花。地域住民が一体となって景観の維持に腐心してきた結果だ。そういった活動を無視した開発計画が反対運動につながった。
「近隣商業施設地域は地域住民の利便性を高めるための場所という位置づけ。そこに住居を建てるなら、周りと同じ低層であるべき」と桂坂マンション対策会議の田中守会長は訴える。業者が開発許可申請を京都市に出した段階で、開発差し止めの仮処分など法的措置を求める。マンション建設によって、「景観」という地域の共有の財産を侵害される、と住民は一歩も譲らない。開発業者に押し寄せる「景観」という名の逆風。それは、具体的な規制という形で全国に広がっている。

▲日経ネット 2007年11月13日(火)

ド派手看板、ミナミの心

■風景をつくる 京都は抑制、風情守る

小雨交じりの10月下旬の夜9時。若者やサラリーマンでにぎわう大阪・ミナミの戎橋で、グリコのネオン看板をじっと見続ける男性がいた。
映像制作会社に勤める織田雄一さん(22)。人の波を避けながら、5分ほどグリコネオンを凝視した後、手にしていた点検報告書に「異常なし」とチェック印を入れた。
織田さんは、ネオンを制作し、維持管理している朝日電装(大阪府豊中市)から委託を受けたグリコの看板点検係。他の社員らとローテを組んで、午後8―9時ごろ、ネオン管が切れていないかなどのチェックに出かける。
◇毎日欠かさず
縦約20メートル、横約10メートルで、約4460本のネオン管が使われた巨大看板に、365日、土日も欠かさず“看板守(もり)”の目が注がれる。
関西で生まれ育った織田さんにとって、グリコネオンはなじみ深いものだったが、「毎晩チェックしている人がいるとは思わなかったし、まして自分がそれをするとは」と話す。
朝日電装の塚脇義明社長は「グリコネオンは観光名所として記念写真の背景になるし、ネオン管1本でも切らすわけにはいかない」。異変があればファクスで知らせてもらい、翌日にはネオン管を取り換える。
1935年(昭和10年)から続くグリコネオンに、「景観」のまなざしが向けられたのは2003年。大阪市が同年、初めて選定した「指定景観形成物」12件の1つに選ばれた。だが、他に選ばれたのが大阪城天守閣や四天王寺、中之島の中央公会堂などであることを考えると、「異質」な感は否めない。
◇生活に寄り添う
選定の際、都市景観委員として指定の後押しをした京都大の小林正美教授(人間環境設計論)は「文化的、歴史的な価値が高い建造物だけでなく、身近な生活に寄り添って、育てられ、いつの間にか欠かせない風景になっているものも評価したかった」と話す。
「会社の愚痴で深酒し、ふと見上げてみると、看板の中に、一生懸命走っている人がいる。それを見て、自分も明日は仕事頑張ってみようかなと思ったりする。そんな大阪人の人生に刻み込まれた<情景>がグリコの看板にはある」と小林教授は言う。
大阪歴史博物館の船越幹央学芸員も「近世からの粋を大阪文化の神髄と考える人は、こうした<コテコテ>が大阪代表となっている現状に違和感を持つだろう」とした上で、「ミナミにはアジア的空気もあり、派手な華やかさに多くの人がなじんでいるのでは」。
しかし、昨今の行政施策では、看板の扱いはどちらかといえば「景観阻害物」。大阪でも「にぎわい創出」を狙いに規制が緩和された道頓堀地区を除くと、看板は抑制の方向にある。
京都市はさらに徹底した規制施策を打ち出している。9月からの「新景観政策」では、7年後までには屋上看板を全廃させるほか、一般的な看板でも大きさや色に細かい規定を設け、「古都の風情」を守る方針だ。
仮に、グリコのネオンサインを京都にも設置しようとしたとする。設置が認められる地区でも、大きさは20分の1以下に縮小され、「色もかなり地味なもの」(都市景観部)になる。
全国的にも厳しい制限を課す京都では、規制を先取りした動きも出ている。三菱東京UFJ銀行の店舗看板は大阪などでは「赤字に白」だが、京都では「白地に赤」と反転させ、落ち着いたイメージに。この「京都仕様」を「市内の全店舗の屋外看板で使っている」(広報部)。このほか、看板の色を地味にするケースや、周囲の色彩と統一性を持たせたものもある。
古都の風景の中に、看板を溶かし込もうとする京都。一方で、派手な原色の看板に風景的な意義を見いだそうとする大阪。「大阪は歴史的街並みなども少ない。だからこそ、景観は新たにつくられ、育てられてもいい。グリコネオンはいわばモデルケース。文字通りの<トップランナー>であってほしい」。小林教授は、そう話している。

▲日経ネット関西版 2007年11月5日(月)

エリアごとに細かく高さ制限

■「裏原宿」は20メートル

東京都渋谷区は11月1日、建築物の高さを一定以下に制限する高さ制限の「素案」を発表した。雑居ビルが並ぶJR渋谷駅周辺には指定はないが、素案には恵比寿周辺は高さ60メートル、「裏原宿」と言われる神宮前3~5丁目近辺は高さ20メートルと、エリアごとに細かく高さ制限が記されている。
「総合設計制度」。敷地内にオープンスペースを設けるなど、良好な街作りに貢献する大規模プロジェクトに対して、容積率や高さ制限を緩和する制度のことだ。東京の都心部では、総合設計制度によって容積率を増やし、超高層建築を建てるケースが少なくない。
開発業者にとっては使い勝手のよい制度。大規模再開発を促す効果もある。だが、周囲の建物よりも高い物件が建ってしまうことが多く、近隣住民と紛争になる例が最近では後を絶たない。高層物件に関する地域の不満を耳にしていた渋谷区は、2006年9月から高さ制限の導入を検討してきた。

▲日経ビジネスオンライン 2007年11月3日(土)

無電柱化計画に着手

■横浜市 無電柱化計画に着手

横浜市道路局は、電線類の地中化を推進するため、事業に対する基本的な考え方や整備方針などを盛り込む「横浜市無電柱化計画」の策定に着手した。環状2号線の内側など都市部を中心に進めてきたこれまでの事業範囲を拡大する場合の課題を整理するとともに、景観への対応や歩行者の安全確保、地球温暖化対策など、新たな視点からの検討も加える。郊外部にある駅周辺の道路など、電線類地中化に対する要望の多い地域での事業化に向けた調査も進め、2008年3月までに同計画をまとめる。
同市の電線類地中化事業は、1986年に国土交通省が策定した「電線類地中化計画」を受けてスタートした。
第1期(86~90年)から第3期(95~98年)までの同計画以降、「新電線類計画」(99~03年度)などを経て現在、04~08年度を期間とする「無電柱化推進計画」を展開。主に環状2号線の内側にある都市部の緊急輸送路の歩道などで事業を実施中だ。
07年度は、主要地方道山下本牧磯子線(磯子区)の延長200メートル、市道浜町矢向線(鶴見区)の延長140メートルなどで地中化事業を進めている。
電線類の地中化には▽電線共同溝(C・C・BOX)▽雑線類共同収容溝▽キャブシステム▽共同溝―などの手法があり、同市では07年度末までに合計188・3キロメートルの電線類を地中化することを目標にしている。
安全で快適な通行空間の確保や都市景観の向上、都市災害の防止、情報通信ネットワークの信頼性の向上などさまざまな効果が期待できるため、今後も一層の推進が求められてる。
しかし、都市部などでは事業の進捗に伴い、地中化に適した十分な幅員のある歩道が減少しているほか、事業化までに多くの時間や事業費が必要になることなどから、対象個所の選定が年々難しくなってきている。
一方、これまで優先度の低かった都市部以外の地域では、景観の保全や安全な歩行空間の確保といったニーズが強く、今後、こうしたエリアで電線類地中化を進めていくことが効果的と見られている。
このため市は7月、新たな無電柱化計画の策定に向た調査業務を東電タウンプランニング(東京都新宿区)に特命で委託した。委託金額は850万円。
地域の拠点となる郊外部の駅周辺の道路を含め、どのような地域で事業を行うかについて、基本的な考え方などを盛り込んだ計画を07年度末までにまとめる。財政的な視点や、地中化に適した道路の選定、温暖化対策や景観など新たなニーズへの配慮などを踏まえて検討を進める。

▲建通新聞 2007年10月31日(水)

「まち変える」京の100年計画

■風景をつくる 「まち変える」京の100年計画

京都市の中心市街地に建つ中古の分譲マンション。7月に7千万円近い値を付けていた住戸が先月、1500万円も値下げされ、不動産関係者らを驚かせた。11階建ての最上階。京都市の新景観政策で、高さ制限が31メートルから9月以降は15メートルに引き下げられた地区だ。「眺望のよさ」が売り物の物件だった。
◇高層物件値崩れ
「景観条例で、新築のマンションは高さが抑えられ、1戸当たりの分譲価格が高くなる。そんな思いから既存のマンションへの需要が高まり、平均で2、3割も値を上げた」(長谷工アーベスト)。ところが、最近になって事態が急変。買い手がつかず“たなざらし”になったり、値下げに踏み切る物件も少なくない。
「将来同じ高さで建て替えができないなど、より丁寧な説明義務が不可欠になったことが影響している可能性もある」と不動産会社「アールエスティ」の天野博代表は話す。
あるマンションは昨年9月に1坪(3.3平方メートル)当たり約160万円だったが、3月に2割ほど値上げされ、最近再び約1割分下げられた。景観政策をめぐる様々な思惑や混乱がこの1年で中心部のマンション価格を乱高下させている。
京都市が導入した新景観政策では、「山並みの眺望」や「歴史的な京町家などとの調和」を目指し、市街化区域の約3割で高さ規制が引き下げられた。「景観を阻害する高いビルやマンションが建つことを抑制したい。50年、100年かけ、建て替えが進めば進むほど街がよくなっていく」(市都市景観部)という考えだ。
◇650棟「不適格」
この景観政策に危機感を募らせる人たちもいる。「既存不適格」と呼ばれるマンションの住民だ。9月以前に建てられたビルやマンションは「違反状態」のまま、制度の適用からは除外される。だが、将来建て替える際は、現状の高さでは再建できない。こうした「既存不適格」は、分譲マンションだけで市内に650棟。31メートルから15メートルとなる地区では、10―11階建てが5階程度になる。
同市下京区の無職の男性は6月、自分のマンションが既存不適格と知った。3年前、退職金も使って手に入れた。「でも、子どもには残してやれないかも」
同じような不安を持つマンションの住民や管理組合が7月に「不適格マンション管理組合懇談会」を結成。33団体・個人が集まった今月10日の会合では、「建て替えても住民の半分はマンションに残れない。建て替えの住民合意ができるのか」
「将来、売ろうと思っても既存不適格では買い手がつかないのでは」などの声が相次いだ。
これに対し、市側は「既存マンションの住民が不安を持たないように、アドバイザーを派遣する制度や建て替えの低利融資も用意している」としている。
しかし、住民らは「老朽化で資産価値が下がれば、建て替えできないマンションを捨てる住民も増え、スラム化や治安悪化があるのでは」など心配の種は尽きない。「今は、参加団体を増やし、将来どんなことが起こりうるか研究している段階。必要があれば、行政に様々な要望もしていきたい」と同会。
誰かに「痛み」が押しつけられるのではなく、良好な景観をつくり上げるにはどうしたらいいのか。
◇街の価値上げる
京都大大学院の高田光雄教授(都市環境工学)はこう指摘する。「街の将来像を地区単位で決め、魅力的な景観の街を作れば、資産価値は下がるどころか、むしろ上げられる。管理組合もこれからは、どうすればマンションの価値が高められるか考える“経営”の感覚を持つべきだ」
また、京都工芸繊維大の中川理教授(建築史)は「景観政策を進める途上で起きる様々な問題はきちんと検証し、必要な対策を取ったり、見直したりして、よりよい景観政策にしていくべきだ」としている。
1千年の都で始まった100年計画の景観施策。全国からの注目が集まる中、行政や住民らの知恵が試されている。
◇景観重視、手旗指示で造林
今回の景観政策で重視された京都を囲む山々の眺望景観。その景色は遷都の昔から変わっていないと思われがちだが、意外にもそうではない時代があった。
京都精華大の小椋純一教授(植生景観史)によると「室町時代の終わりから江戸期にかけ、薪炭材などの燃料や食料を取るため大文字山などは“酷使”され、山肌が露出したり、低木ばかりの光景がみられた」という。
山とのかかわりが変わったのは明治以降。とりわけ嵐山と東山地区は「風致地区」として保護や計画的植林も進んだ。しかし、東山ではその途上の昭和9年(1934年)に室戸台風が襲来、多くの樹木がなぎ倒された。
復旧の際、編み出されたのが「手旗造林」という手法。林野庁京都大阪森林管理事務所に残る資料などによると、鴨川河川敷や市街地の数カ所に旗を持った職員や市民が立ち、山中の作業員に「どこに植えたら景観がよくなるか」を合図。こうして約20ヘクタール分を手旗造林で整備した。
京都大大学院の中嶋節子准教授(都市環境史)は「当時の状況を調べると、行政や市民がどういう山の景色を理想とし、景観を大切に考えていたかがよく分かる」と話している。

▲日経ネット関西版 2007年10月29日(月)

周囲の景観を破壊する

■赤白塗装の中止求め周辺住民が提訴

漫画家楳図かずおさん(71)が東京・吉祥寺に建築中の自宅をめぐる問題で、近隣住民2人が24日までに、「周囲の景観を破壊する」として、赤白横じま模様の塗装を中止するよう求める訴訟を東京地裁に起こした。住民2人は建設差し止めの仮処分を申請していたが、12日に却下の決定が出た。

▲時事通信社 2007年10月24日(水)

景観問題を問う初の訴訟

■市の風景条例の実効性が問われる

石垣市吉原地区で計画されている高層マンション建設問題で近隣住民が景観法に基づく風景計画や風景づくり条例などに違反するとして、県を相手に建築確認処分の差し止めを求めた行政訴訟の第1回公判が23日、那覇地裁(大野和明裁判長)で行われた。全国でも初めてとなる景観問題を問う訴訟は今後、景観法に基づく風景計画や風景づくり条例などに違反することが建築確認の関係法規の中にどのように位置づけられるかが今後の争点となり、同条例の実効性が問われてくる。
訴状によると、事業主は今年6月に7階建て賃貸マンション建築計画(高さ約25メートル)について建築基準法に基づく建築確認申請書を県に提出。これに対し原告側は風景づくり条例違反のほか、建築基準法違反、市自然環境保全条例違反、農振法違反などを主張している。
この日の公判では原告の吉原公民館長の川上博久氏が「建築確認処分は近隣住民の生活を守るためのものであり、景観という日常生活に密接に関係した利益が酌み取られないとは絶対に思えない」
「この裁判を起こした最大の理由は住民の景観条例に対する思いをないがしろにしようとしていることにある」と訴えた。
これに対して県は、建築確認を裁量性が無く法律通り行う行為(覊束行為)として、建築基準関係規定に適合性の判断以外は行わないことを説明する答弁書を提出。その中で「石垣市風景づくり条例は建築基準関係規定ではなく、行政庁がその処分をすべきではないことが明らかであるとは認められない」と主張した。
公判後、県庁で行われた会見で原告側代理人の井口博弁護士は「建築確認処分において景観条例に違反していることを審査の対象にすべきであるということを争う初めての裁判であり、市の風景条例の実効性が問われている」と述べ、現在、事業主側の事情で保留されている建築確認が行われた後も、建築確認の無効を求めていく見解を示した。
また、川上氏は「陳述人、または証人として石垣市長にも法廷に立ってほしい」と述べ、同条例の実効性確保に向けて石垣市長にも出廷を要請する方針を示した。第2回公判は12月11日に行われる。

▲日本最南端の新聞社八重山毎日新聞 2007年10月24日(水)

都市の重要文化財を巡る景観論争

■東大赤門周辺の環境を守れ 

東京大学(東京都文京区)の顔といえば国の重要文化財(重文)の赤門だ。この赤門が面する本郷通り沿いに23階建て高層マンションの建築が計画され、地元商店街や住民が反対運動を展開。
江戸の歴史文化を継ぐ景観を守れと、14階建て以下への変更を求めている。

▲東京新聞 2007年10月8日(月)

国公有地は今後売却せず積極的に緑化すべき

■緑の復権 都市再生を 原科幸彦・東工大教授に聞く

都市開発と緑の保全をどう両立させるのか。私たちは何をすべきなのだろうか。国際影響評価学会次期会長で、日本不動産学会常務理事を務める原科幸彦・東京工業大学教授(61)に聞いた。

――東京は世界的に見て、森林が守られている都市なのか。
東京23区よりニューヨークの方が3割以上も面積が広いのに、東京のオフィスビルのフロア面積は2倍以上もある。都市の森にとって、ビルの高層化と広域化はダブルパンチの影響がある。タイムズスクエアだけを見て、ニューヨークの方が開発が進んでいると思うのは錯覚。東京ほど緑をないがしろにしている都市はない。
――どうして問題が深刻化しているのか。
1990年代に入り、建築基準法の中で、容積率がなし崩し的に緩和された。特に大きかったのは2002年、容積率移転を認める「特例容積率適用区域制度」の導入。こうした法律の制定と運用では、地主や開発事業者の立場に立った政治家たちの力が効いてきた。都内の無秩序な高層ビルのつくられ方を見ると、規制緩和こそが都市の貴重な森や緑を喪失させている要因だということが分かる。市民団体も、何でも反対という姿勢はどうか。地域の自然を「環境資産」として地主とともに土地利用を考える協調の姿勢が必要だ。
――開発業者の中には「環境配慮型」の理念を掲げている会社もある。
「環境に配慮します」としていながら、短期的な利益を追求しすぎる。大手も含め、いまだにビル周辺に木々が植わっていればそれでいい、という感覚で事業をしている会社が多いのでは。
――市民団体が自然保全のため地元行政に相談に行くと、「法的に問題ない」と、結果的に業者の事業申請を認めてしまうことがほとんどでは。
法的な枠組み以上の環境配慮を自主的に行うのが、本来のCSR(企業の社会的責任)。現在の環境アセスは、事業実施の直前に行われており、事業に都合の良い結果を出すことになりがちだ。(開発許可へのつじつまを合わせる)いわゆる「アワセメント」では、係争が起きる。地域の小さな事業もアセスの対象とするような、新たな法整備が必要だ。
――都市の森の保全と開発が折り合いを付けるためどうしたらよいか。
行政が土地利用計画をつくるとき、市民が公聴会などに参加し、意見がきちんと反映されることが重要だ。「ヒアリングした」というアリバイではいけない。「意味ある応答」が必要。市民側にも積極的な参加への意志が求められる。
ニューヨークのセントラルパークの面積は、日比谷公園の20倍。地元紙のキャンペーンなどで当初計画の5倍以上の土地が市などにより確保されたが、そこには都市づくりの哲学があった。東京都内の国公有地は、今後すべて緑化すべきだ。そうでないと防災面を含め都市の健全さは回復しない。緑の復権による、真の都市再生が求められる。

◇はらしな・さちひこ 東京工業大学大学院理工学研究科博士課程修了、工学博士。著書に「環境アセスメント」、編著に「地球時代の自治体環境政策」「市民参加と合意形成」など。

▲東京新聞 2007年10月5日(金)

カーボン・オフセットの試み

■港区の整備林 街のCO2山が肩代わり

東京都あきる野市の刈寄(かりよせ)地区。渓流に沿って続くスギやヒノキのうっそうとした市有林で、パワーショベルが作業用の道を造るため急斜面を切り開いていた。この道路工事を含めた森林約20ヘクタールの整備費用約3億円を、東に約60キロ離れた都心部の港区が負担している。なぜ、都心の自治体が山間部の自治体の事業に拠出するのか_。

その目的は、地球温暖化につながる二酸化炭素(CO2)の排出削減だ。港区はあきる野市の市有林整備にお金を出すことで、小中学校を含めた区内の公共施設が排出したのと同量のCO2を削減した、と見なされる。この仕組みは「カーボン・オフセット」(炭素相殺)と呼ばれ、港区はこれを利用して年間182トンのCO2削減を目指す。
きっかけは昨年9月、港区の親子が同市の「横沢入」と呼ばれる森を見学し、同市の親子が港区のお台場干潟を訪ね、相互に環境学習をしたことだった。横沢入は、かつてJR東日本が新駅構想の中で住宅用地として購入。市民グループによる保護運動が起こり、都に無償譲渡された経緯がある。その後、都内で初めて「里山保全地域」に指定された。
港区の今福芳明環境課長は「多摩地区の山林の多くは十分な手入れがされていないため、荒れている。一方、都会はCO2をたくさん出している。都心と森の行政同士、お互い何かできないか考えた」と、カーボン・オフセットを試みた背景を説明する。

あきる野市の面積の約60%が森林。「緑の近くで暮らしたい」という希望も多く、多くの開発業者は宅地開発に熱い視線を注ぐ。一方で、森を守り育てる林業が衰退している現実がある。「安い材木が輸入され、切っても原木市場まで運ぶ搬出費用にしかならない。売れる太い木も山奥に行かないとない」と、都森林組合あきる野支所の田中満さんは嘆く。
港区が費用を出す森林整備ではキャンプ場などの施設はつくらず、カエデやブナなどの広葉樹を植林。せせらぎに生息するホタルも増やし都会の人たちに自然そのものを楽しんでもらう予定だ。
地球温暖化対策の京都議定書で、日本は2008年から12年までの期間中に、CO2を1990年比で6%減らす「国際公約」を負っている。政府は、削減目標のうち3・8%を森林整備などで対応したいとしている。カーボン・オフセットは、目標達成の切り札の一つともいえる。
「現状では森林整備で達成できる見通しは3%弱。厳しい情勢だ」と、環境省の小島敏郎地球環境審議官は言う。その上で、小島審議官はあきる野市と港区の取り組みをこう評価した。
「都心の行政と森を持つ行政の連携に意味がある。温暖化対策だけではない。都会に近い多様な生態系を持つ森を守り育てるという、未来への投資だ」

◇カーボン・オフセット 自ら排出した二酸化炭素(CO2)の量を企業や自治体などが計算し、CO2を吸収する森林を育てることで排出分の埋め合わせをする仕組み。地球温暖化対策のための京都議定書は、荒れた森林の下草刈りや植林をすることで吸収されるCO2の量を、議定書が定める削減目標に算入できると定めている。

▲東京新聞 2007年10月4日(木)

ビオトープは残ったが

■万福寺の森 

「万福寺の森」と呼ばれた里山が、かつては一面に広がっていた。川崎市麻生区、小田急新百合ケ丘駅の北側。灰色のビル群を抜けると、一戸建てや高層マンションが整然と立ち並ぶ扇形の開発地が迫る。造成でむき出しになった土地とこんもりとした森が、開発地の近くに混在している。
「絶滅危惧(きぐ)種のホトケドジョウが生息し、夏にはホタルが乱舞する姿も。都会のオアシスでした」。市民グループ「新百合のホトケドジョウを愛する会」代表の中井さゆりさん(48)がこう懐かしむ“里山”の現在だ。

約37ヘクタール、東京ドーム8個分の森に開発話が持ち上がったのは約17年前。環境アセスメントをへて、2000年に地権者らが開発を進めるため土地区画整理組合を設立。組合は大手不動産会社の支援を受け、翌年着工した。造成は08年の事業完了を前にほぼ終了。今では人家も増え、最終的に約7千700人が生活する見込みだ。
「都市と自然の調和」が開発のコンセプトに掲げられ、区域に占める公園緑地は法が求める6%の2・5倍の約16%。民有緑地などを含めると、約4分の一が公園緑地となり、この開発地のセールスポイントになっている。
「愛する会」は造成を前に、自然が特に豊かな湿地帯の一部を生かした開発を提案。最もわき水の多い0・7ヘクタールの土地をそのまま残してほしいと申し入れた。いろよい返事ではなかったというが、自然のわき水などを生かしたビオトープが設けられ、ホトケドジョウも生息する。中井さんは「一番残してほしい所はなくなってしまったが、質の高いビオトープができただけでも奇跡的」と喜ぶ。
一定の自然が確保された理由について、地元不動産業者は「土地が切り売りされるより、一体的に開発されたことで、緑が多く残った」と分析し、ある地権者は「孫のためにしっかりしたものを残したかった」と、市の開発担当に漏らした。
ただ、ビオトープはマンション敷地内にあり、管理組合が運営する。柵に囲まれ、イベントや環境教育以外、普段は住民も入れない。貴重な生き物が盗まれたり、外来種が捨てられて生態系が壊されたりする恐れがあるという理由だが、気軽に自然とふれあえる里山とは違う。造成後にあらためて植樹された緑地も多く、「昔の雑木林と違い、タヌキなどはいなくなってしまった」と、さびしがる住民も。
「ビオトープや森が今後、どうなっていくか注視したい」と話す中井さんは、「地元住民として、自然との共生に取り組んできたのに、私たちの方がよそ者になってしまった気がする」と、複雑な胸中ものぞかせた。
都内の開発業者によると、企業所有のグラウンドなど大規模開発の余地があるため、新百合ケ丘駅周辺の開発はどんどん進んでいるという。この開発業者は、都市近郊の里山の現状をこう説明した。
「都会の中心部に近い森林ほど、開発業者から見れば絶好の大規模マンションの好適地に映る。私有地なら、開発業者間の奪い合いになっているのが実情だ」

◇ビオトープ ドイツ語で「生き物」と「場所」を意味する言葉からできた造語。昔からいた野生の生き物が暮らす地域特有のまとまった場所を指す。日本では、限られた地域に、本来そこにあった動植物の生息環境を復元する試みを意味する場合が多い。各地の公園や河川敷の造成事業、環境学習を行う学校の中などにつくられている。

▲東京新聞2007年10月2日(火)

市街地に緑を増やす

■横浜市 市街地環境設計制度の改正に着手

横浜市は、敷地内に歩道や広場などを設けた場合、建築物の高さや容積率の制限を緩和する「市街地環境設計制度」の改正に向けた取り組みに着手する。
▽緑化の推進▽駐車・駐輪対策▽景観形成▽福祉施設の確保―など、中期計画に盛り込んだ新たな施策に対応する、地域課題の解決に向けた分かりやすい制度・基準に見直し、2008年度の運用を目指す。_
市街地に緑を増やすため、現行制度で「敷地の5%」としている緑化基準を強化し、法令などで求められる緑化率の1・5倍の緑化を義務付ける。また、公開空地内の緑化や屋上・壁面緑化を積極的に行えるよう誘導する。さらに、公開空地として評価する基準を、現行の1000平方メートルから500平方メートルに引き下げるほか、これまで有効係数を低減していた傾斜度20度以上の斜面緑地の評価を引き上げる。
駐車場・駐輪場については、共同住宅の駐車場附置義務台数を緩和し、荷捌きや来客用駐車施設の確保を誘導。駅周辺の放置自転車対策として公共的な駐輪施設を設置した場合も、その面積に応じて容積率を緩和する。
景観面では、建物の色彩規定など、これまで個別に行ってきた協議内容をより具体化できる基準に変更する。
このほか、特別養護老人ホームや小規模多機能型居宅介護事業所、保育園などの福祉施設を導入した建物についても、高さや容積率の緩和を行う仕組みを検討する。
地域課題解決に向けた取り組みでは、商業系・工業系地域での高さ制限に、提案内容に応じた緩和の度合いを設定。都心部以外の商業系地域のうち、駅前の広場空間の整備や歴史的建造物の保全など、地域課題の解決に寄与する提案を行う場合、高度地区で2段階以上の緩和を行う。みなとみらい21地区では、屋上庭園や屋上緑化を公開空地として評価するなどして、緑化を推進する。

▲建通新聞 2007年10月1日(月

身近な里山は常に開発と保全のせめぎあい

■淵(ふち)の森

地元の人が「トトロの森」と呼ぶ「淵(ふち)の森」は、埼玉県所沢市と東京都東村山市の境にある。住宅街にぽつんとある小さな森だが、西武池袋線脇の小道を入ってせせらぎにたどり着くと、山奥に迷い込んだような錯覚にとらわれた。
アニメ映画「となりのトトロ」の監督宮崎駿さん(66)は、この近くに住む。散策しながらごみ拾いをするのが日課だ。9月上旬のある朝、宮崎さんは怒りを込めて話した。
「ここに昔、自転車が100台も捨ててあった。それを片づけて木を植え、きれいな森になった」。森には、カワセミやイチリンソウなど貴重な動植物が息づく。「この大切さを、開発業者だけでなく地主や近隣の人も意外に気付かない」
かつて、宅地開発計画から森を守った地元住民は今春、森の対岸の雑木林に持ち上がった宅地開発計画を知る。宮崎さんは「開発で対岸にコンクリート護岸ができれば流れが変わり、土がえぐられる。景観、生態系すべてに影響する」と指摘。東村山市に公有地化してもらうため、全国に寄付を呼び掛けた。宮崎さんは直筆で領収書を書くなど支援したが、地元の不動産仲介業者は激しく反発した。
「宮崎さんのサインほしさに、詳しい事情も知らず寄付している人もいるはず。13戸の住宅をつくり販売するだけ。駅から3分という土地に住みたい人はいる」
著名な監督が先頭に立った保全運動は新聞やテレビで大きく報道され、9月中旬、業者側は事業撤回の意向を表明した。“翻意”の理由を聞くと「勘弁して。この問題で体調も悪くなった」と、言葉少なだった。
首都圏では、大手開発業者が周到な準備で開発を進め、今回のように業者が計画自体を撤回するのは極めてまれだ。「宮崎駿」というビッグネームは、確かに有効だったといえる。しかし、宮崎さんが会長を務める淵の森保全連絡協議会のメンバーは「所沢市の前市長の中井真一郎弁護士もボランティアで参加。領収書を間違いなく送るとか、いろんな人が協力し、徹底的に闘う姿勢がとれたのが大きい」と強調する。
国は「生物多様性国家戦略」と銘打って、都市近郊の里山を守ることに重点を置くが、身近な里山はその身近さゆえ、常に「開発と保全」のせめぎあいにさらされる。
宮崎さんは森の木漏れ日を見上げながら、こうつぶやいた。
「地球温暖化が進んだとき、何が一番豊かなんだろう。身近な緑が、守られていることではないのか」
都心回帰の住宅事情を背景に、首都圏で進む住宅開発。そのあおりで、昔から残っていた数少ない里山が一つ、また一つと消えていく。しかし、地元の緑を守ろうと、取り組む市民も増えてきた。映画などで人気者の森の妖精“トトロ”がすむといわれる、身近な森。開発と保全がぶつかり合う現場から、近所の自然との共生の道筋を考えた。

◇「淵の森」の保全問題 淵の森は約4600平方メートル。約10年前に宅地開発計画が浮上した際、宮崎駿さんが住民グループの中心となり、自身も3億円を提供し所沢、東村山両市が公有地化した。今年3月に宅地開発計画が浮上したのは、森の脇を流れる柳瀬川の対岸の雑木林約1500平方メートル。宮崎さんらの募金活動には全国から約2500万円が集まった。交渉は一時暗礁に乗り上げたが、業者側が一転して地主との契約解除の意向を表明。約7000万円で公有地化のめどがたった。

▲東京新聞 2007年10月1日(月)

里山の景観を考える

景観への関心を高めるサポーター制の導入

あぜ道に揺れるヒガンバナ、石垣に囲まれた棚田、山々を背にした瓦屋根の民家。こうした日本の原風景を大事にしたいと思う人は少なくないだろう。
三次市で市街地の町並みとともに、山や川、田畑が織りなす風景を守ろうという「景観条例」が今月一日施行された。国の景観法に基づく。中国地方の市町村では倉吉と並び5カ所目。これまで、松江や尾道など、都市部や歴史的な町並みの保全が中心だった。里山にも広げた取り組みに、成果を期待したい。
景観法に基づく条例の目的は、市の規制に法的な裏付けを持たせることだ。例えば、一定規模の建物の新築や改築の際、届け出が義務づけられ、市は自然になじむよう色やデザインなどの制限ができる。さらに、採石で山の斜面を削った場合、植栽するなど、原状回復を促すこともある。
景観の方向性を示すのが「景観計画」だ。全体を8地域に分け、市の8割を占める山地についても、それぞれの特性を反映した整備を考えている。君田地域は伝統的な瓦屋根や石垣を生かし、作木地域は棚田が織りなす田園の保全といった具合だ。細やかな気配りは評価できる。
今後、より積極的に美しい景観を生み出すために、個々の建築物を一層厳しく規制できる「景観地区」などの指定も急ぐという。
2年前に施行された景観法が条例制定のきっかけになった。江戸の町並みを継ぐ商店街もあり、地域住民主導の協定ができるなど、意識の高まりも後押しした。
計画の策定には、市民の思いを反映させるために、アンケートを行った。ワークショップや説明会なども各地で開き、住民の関心を高めながら、地域ごとのニーズや方向性を導き出した。
今後、景観地区が指定されると、自由に家を建てたいといった「個人の権利」とぶつかる可能性もある。行政の思いが独り歩きしないよう、住民とひざをつき合わせて話し合う姿勢が必要だ。
景観への関心を高めるため、市が考えているのは、サポーター制の導入だ。来年度にも募集し研修を行う。住民の目で地域ごとの課題を見つけ、市に提案していくこともできるだろう。
条例を施行しても、すぐに目に見える変化はないかもしれない。だが10年、20年という単位で見れば違いは出てくるはずだ。住民が誇りを持てる古里にしたい。

▲中国新聞 2007年10月1日(月)

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