2017-10

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自治体・企業の「東電離れ」加速

■大磯町議会 東電以外から電気を買う陳情を採択
カギ握る発送電分離

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▲朝日新聞 2012年1月15日(日)
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住民基本台帳から無作為に選ばれた市民討議会

■無作為抽出による妙味

「朝日新聞」が今年1月1日から特集記事「カオスの深淵ー壊れる民主主義」を連載。
1月6日最終回の「壊れる民主主義」には、"くじで選ばれ 政治参加"と題して公募による審議会とは違う新しい住民参加の有り様、無作為に選ばれた住民の市民討議会のことが書いてある。

まちの政策について住民が意見を述べられる機会として、公募による市民委員やパブリックコメントがあるが、その手の審議会市民メンバーやパブコメにはいつも同じ顔ぶれが集まりやすいのと利害関係者が動きやすいマイナス面があった。

多摩川のマナー無視のバーベキューを禁止するか否かで、東京狛江の青年会議所が市民討議会を市に提案、市は住民基本台帳から無作為に1500人を選んだ。 この中から希望者47人が参加して住民の意見に加えて国交相や市の情報も受け、半年で4回の討議を行った。その結果は「バーベキュー禁止」。昨年12月 22日、東京都狛江市議会で多摩川河川敷でのバーベキューを禁じる条例案が可決された。狛江市長は「利害関係者のみの意見ではなく、無作為に抽出された市 民の意見だったので行政も動きやすくなった」と語る。

NPO法人「市民討議会推進ネットワーク」によると、こうした市民討議会は全国で200以上の実施例がある。市民討議会が今後12年間のあり方を決める基 本計画案について話し合った東京都三鷹市の市長は、無作為の意義を「出会いの妙味」と表現する。同じ顔ぶれや利害関係者が集まりやすい公募による審議会と は違い、「初対面だからこそ肩書きにとらわれず純粋に話し合える」と話す。

この無作為抽出による討議がいま世界中で広がっている。

無作為の市民会議

▲朝日新聞 2012年1月6日(金)
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震災後高まる危機 立川断層帯

■地震:「首都直下」高まる危機 東日本大震災で地殻変動

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立川断層帯地震の震度分布

東日本大震災の発生から明日で5カ月。マグニチュード(M)9.0の巨大地震は東日本の地殻にかかる力を変え、首都圏を含む一部の地域や活断層で 地震を起こしやすい状態が続いている。専門家が懸念するのは、阪神大震災(M7.3)以上の被害が想定される首都直下地震への影響だ。発生の可能性はどの程度高まっているのか。

中央防災会議は、東京近郊を震源とする首都直下地震について、M7級の18の地震を想定している。なかでも東京湾北部地震(M7.3)では、最悪のケースで死者1万1000人、全壊全焼の建物は85万棟と想定。関東大震災(1923年、M7.9)のようなM8級の地震より規模は小さいが、大きな被害が懸念されている。

大震災後、特に注目されているのが「立川断層帯」(埼玉県飯能市~東京都府中市)だ。政府の地震調査委員会は7月までに、国内106の主要活断層のうち、同断層帯を含む四つの活断層で地震発生確率が高まったと公表した。地殻変動により、地震を起こしやすい力が働いているという。

立川断層帯は長さ約33キロで、予想される地震の規模はM7.4。東京都国立市、立川市などで震度6強以上、23区西部でも震度6弱が想定され、 都内を中心に6300人の犠牲者が出るという国の推計もある。震災前の予想では、30年以内に発生する確率が0.5~2%で、主要活断層の中ではやや高い。今回それが何%上がったかは算出できていない。地震調査委員会委員長の阿部勝征・東京大名誉教授は「階段に例えれば、一段上がったのは間違いない。ただ、何段上がると地震の階に行くのかが分からない」と話す。

一方、地震予知連絡会会長の島崎邦彦・東京大名誉教授は「いつ起きても不思議ではない」と語る。立川断層帯の平均活動間隔は1万5000~1万年で、最後に動いた時期は約2万~1万3000年前。「『満期』に近い状態」(島崎さん)だ。

活断層だけでなく、地下の見えない場所でもリスクは高まっているようだ。東京大地震研究所の石辺岳男特任研究員は、79~03年に首都圏を中心とする3万カ所で起きたM2~4の地震を基に、東日本大震災による周辺の岩盤にかかる力の向きと強さの変化を解析。結果、1万7000カ所に地震が起きやすい力が加わり、起きにくくなった7000カ所を大きく上回った。

元来首都圏の地下構造は北米、フィリピン海、太平洋の3枚のプレート(岩板)が重なる地震の巣だ。地震調査委が大震災以前から公表しているM7級の直下型地震が、今後30年に起きる確率は70%と十分に高い。しかもこの数字は南関東で過去120年に起きた地震から算出した数字で、立川断層帯は含ま れていない。

島崎さんは警告する。「起きたらとんでもないものが足下にある。今対策をとらずにいつやるのか」

▲毎日新聞 2011年8月10日(水)
http://mainichi.jp/select/science/news/20110810k0000e040039000c.html

市民団体「放射能防御プロジェクト」

■首都圏約130カ所で行った放射能土壌調査の結果を市民団体が公表

市民団体「放射能防御プロジェクト」は8日、参院議員会館で会見し、首都圏約130カ所で行った放射能土壌調査の結果を公表した。埼玉県内でチェルノブイリ原発事故での「一時移住区域」(第2区分)に相当する値が出たほか、横須賀市内で同事故での「不必要な被ばく防止のため設けられる区域」(第4区分)にあたる数値が検出されたと発表。首相や関係知事に、詳細な土壌調査や全食品の検査を行うよう要望する。

発表によると、調査したのはメンバーの自宅庭や公園などの土壌で同一方法で採取。メンバーが費用を負担し、同位体研究所(横浜市)に検査を依頼した。

放射性セシウム134と137を合計した最高値は埼玉県三郷市早稲田の植え込みで、1キログラムあたり1万4140ベクレル。横須賀市港が丘の庭では 2236ベクレル(うち137は1185ベクレル)が検出。同市の2009年度のセシウム137年間平均値は4・6ベクレルだったという。県内での調査地点は21カ所で平均は293ベクレルだった。

会見したメンバーの土井里紗医師は「首都圏はチェルノブイリほどの汚染はないと言われてきたが、それを否定する結果が出た。疫学的な研究を待っていては遅い」。紀藤正樹弁護士は「報じられてきた事実を市民グループが調べるまで、行政が何もしないのはおかしい」と指摘した。

▲カナロコ神奈川新聞 2011年8月8日(月)
http://news.kanaloco.jp/localnews/article/1108080024/カナロコ神奈川新聞社8.8
http://live.nicovideo.jp/watch/lv59077021(ニコニコ生放送、タイムシフト視聴できます)

参考:チェルノブイリの区分
148万Bq/㎡~  (第1)居住禁止区域 ただちに強制避難、立ち入り禁止
55万5千Bq/㎡~ (第2)特別放射線管理区域 義務的移住区域、農地利用禁止
18万5千Bq/㎡~ (第3)高汚染区域 移住の権利が認められる
3万7千Bq/㎡~ (第4)汚染区域 不必要な被ばくを防止するために設けられる区域

        セシウム134 セシウム137 セシウム合計 区分
東京都江戸川区臨海町 1571   2122   3693    第3
千葉県松戸市紙敷   3285   3728   7013    第3
千葉県松戸市松戸   1608   1571   3179    第2
埼玉県三郷市早稲田  6642    7498   14140    第3
茨城県取手市藤代   1481   1899   3380    第3

教科書を考える(3)

◇来年度160人余りの生徒が育鵬社の教科書で学ぶ

「静かでない環境下で決定した」。神奈川県教育委員会が2日に県立平塚中等教育学校(平塚市大原)の歴史分野で採択した育鵬社教科書に対しては、歴史認識を巡り採択、不 採択を求める運動が展開された。しかし、審議では歴史認識や教科書の記述に踏み込まず、生徒に多様な情報や視点を提供し考える力を育む学校側の方針を尊重、学校の希望通り決定した。

審議は、学校側の希望に基づく県教科用図書選定審議会の答申を受けたもの。県教委は先月26日にも審議を行い、判断に必要な資料が不十分として、学校側の選定プロセスが把握できる資料の追加を求めていた。歴史認識を巡る運動があるにもかかわらず、同校が提出した選定理由では構成の工夫を最終的な判断の決め手としていたためだ。

この日追加提出された資料でも育鵬社教科書の歴史観への言及はなかったが、多様な情報収集や意見交換によって生徒自らが学びとる方針を評価した。また、6年間の体系的なカリキュラムなども確認した。

育鵬社教科書の採択は、県内では藤沢市教委に続き2例目。これまでに採択に関する請願計8件が県教委に提出され、この日も傍聴定員15人に希望者97人が集まるなど、関心の高さをうかがわせた。

4日には、今回から全市一括採択によって全国最大の“市場”となる横浜市教委の採択審議が予定されている。同市教委は平成21年の前回、「新しい歴史教科書をつくる会」のメンバーらが執筆した自由社の歴史教科書を市内18区のうち8区で全国で初めて採択しており、採択の行方に注目が集まっている。

▲産経新聞 2011年8月2日(火)
http://sankei.jp.msn.com/region/news/110802/kng11080222470010-n1.htm

◇育鵬社版を巡っては、歴史認識の観点から、神奈川県教委に賛否両論8本の請願が出されていた。採決に先立ち委員から、「歴史は立場により見え方が違う。 各社の教科書を図書室などに置き、生徒や教員、保護者がいつでも見られる環境を作るべきだ」と提案があり、他の委員も「いろんな視点から歴史的事実を理解 するよう先生の工夫も求められる」などと同調。来年度から全教科について、複数社の教科書を両校に置くことになった。

▲読売新聞 2011年8月3日(水)
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/news/20110803-OYT8T00660.htm

◇今田委員長は前々回の05年度、ただ一人、つくる会の教科書を推したが、不採択に。今田委員長を除く委員5人が入れ替わった前回の09年に、市内8区で使うことが決まった。今回は採択方法が変わり、全18区で同じ教科書を使うことになり、全国で最も多い中学校の採択地区となる。

今田委員長は昨年12月、市議会で「自由社版は、他と比べても日本文化の取扱量が多く、質も優れている。横浜の子どもが学ぶのにふさわしいと判断した」と答弁した。

そうした経緯を踏まえ、同市内の市民団体「横浜教科書採択連絡会」の担当者は「これまでの市教委は『つくる会』の教科書を採択するための布石を打つような動きをしてきた。今田委員長が交代していない」と警戒する。国内外で集めた署名約10万6千人分とともに2社の教科書を採択しないよう市教委へ求めた。

藤岡貞彦・一橋大名誉教授(教育社会学)らも7月下旬、市内在住・在勤の弁護士や元外交官ら230人と連名で「戦前日本の植民地支配を美化するなど、異様な歴史観に貫かれている」と、採択に反対する声明を市教委に提出した。

▲東京新聞 2011年8月2日(火)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/kanagawa/20110802/CK2011080202000043.html

◇若者論

「二十代の若者と話す機会があるが、日本に対して誇りを持っていない。教育の大切さを痛感した」(中里委員)、「今の学生は公民的な感覚が低い。自由権を『遊ぶ自由』と言った学生もいた。自分の身の回りしか関心がない」(小浜委員)。
この日の市教委では、歴史と公民の教科書をめぐる議論とともに、一部委員が現代の若者批判を展開。育鵬社版を使った教育で、若者の意識が変化することへの期待を示した。
一方で、同社版を推さなかったNPO理事長の奥山千鶴子委員(48)は「若者が覇気がないなどと言われるのは、経済的なことも影響があると思う。歴史だけではなく、若者をきちんと育てる全体的な取り組みが必要」と反論した。
山田委員も「歴史教科書で、若者の人生観が規定されるとは思わない」と、同調した。
こうした議論を傍聴していた横浜国立大四年の兵庫貴宏さん(23)は「中学の教科書に何が書いてあったかは覚えてないし、そんなに影響があるとは思えない。若者からみて、大人もどうしようもないと、思うこともある」と、委員らの若者論に疑問を投げかけていた。

▲東京新聞 2011年8月5日(金)
 http://www.tokyo-np.co.jp/article/kanagawa/20110805/CK2011080502000022.html

◇都教委:つくる会教科書採択 運動によりひろがる"つくる会"の教科書採択

都教育委員会(木村孟委員長)は28日、都立中学校、中等教育学校、特別支援学校中学部で来年度から4年間使用する教科書を採択した。

歴史は育鵬社の「新しい日本の歴史」。公民は、都立中、中等教育学校10校が同社の「新しい日本の公民」、特別支援学校のうち、聴覚障害、肢体不自由・病弱特別支援学校中学部の20校は自由社の「新しい公民教科書」となった。

自由社の教科書は、自国中心の歴史観を反映した教科書作りのために内外から反発もあったつくる会のメンバーが執筆。育鵬社の教科書はつくる会を脱退したメンバーらが執筆している。

都教職員組合は「育鵬社、自由社版は歴史を歪曲(わいきょく)している。満身の怒りを込めて抗議する」との声明を出した。

つくる会系の教科書が初めて採択されたのは01年。一部の特別支援学校中学部で、歴史に育鵬社の親会社である扶桑社版が選ばれた。都立中、中等教 育学校では、05年4月に初の中高一貫校として都立白鴎高校付属中学が開校した際、歴史、公民で扶桑社版を採択して以来、採用が続いていた。

◇神奈川県藤沢市が育鵬社教科書採択 都立一貫10校も  

神奈川県藤沢市教育委員会は28日、市立中学校19校で来春から使われる歴史と公民について「日本教育再生機構」のメンバーらが執筆した育鵬社の教科書を採択した。来年度から4年間使用する。市町村立中学の育鵬社教科書の採択は、栃木県大田原市、大阪府東大阪市に続いて3番目。

会場には育鵬社の採択に反対する人が詰めかけ、決定の瞬間、野次やどよめきが起きたが、滞りなく終了した。

◇大阪市教委、自由社と育鵬社の教科書は不採択

大阪市教委は26日、市立中学校で来年度から使用する教科書の採択結果を公表した。「自由社」と「育鵬社」は、いずれも社会の歴史、公民で不採択となった。

◇鎌倉:歴史は帝国書院 公民は東京書籍

△育鵬社とは、「新しい歴史教科書をつくる会」の内紛を嫌ったフジサンケイグループが平成19年8月に設立した教科書専門出版社。扶桑社が100%出資。扶桑社版中学校歴史・公民教科書を継承する教科書(平成24年度使用開始)を発行する。
幸福実現党(宗教法人幸福の科学)は、育鵬社の「新しい日本の歴史」「新しいみんなの公民ーこんな教科書で学びたい」を推薦する。


△教科書改善の会とは、育鵬社の中学校歴史・公民教科書の編集・採択を支援するため平成19年7月に発足。正式名称は「改正教育基本法に基づく教科書改善を進める有識者の会」。事務局は日本教育再生機構。代表世話人に屋山太郎氏(政治評論家)、世話人に小田村四郎氏(元拓殖大学総長)、三浦朱門氏(元文化庁長官)、渡部昇一氏(上智大学名誉教授)ら保守の錚々たる文化人が名を連ねる。歴史教科書編集会議座長は伊藤隆氏(東大名誉教授)、公民教科書編集会議座長は川上和久氏(明治学院大法学部長)。

教科書を考える(2)

■教科書を選ぶ:藤沢、平塚中高一貫校、横浜、広がる育鵬社の教科書採択
シリーズ「教科書を考える」

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▲朝日新聞 2011年8月5日(金)
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教科書を考える(1)

■教科書を選ぶ:藤沢、平塚中高一貫校、横浜、広がる育鵬社の教科書採択
シリーズ「教科書を考える」

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▲朝日新聞 2011年8月1日(月)
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地震確率高まる 三浦半島断層群

■三浦半島断層群:地震確率高まる 東日本大震災後の地殻変動で

政府の地震調査委員会(阿部勝征委員長)は11日、神奈川県・三浦半島にある活断層「三浦半島断層群」が、東日本大震災後に続く地殻変動の影響で、地震を起こしやすい状態にあると発表した。従来公表していた30年以内の地震発生確率6~11%は高まったが、具体的に何%上昇したかは試算できていない。

同県葉山町・横須賀市・三浦市に集まる長さ6~22キロの断層群。地震の規模はマグニチュード(M)6・6以上と想定され、国内の主要断層でも発生確率の高いグループに分類。断層群の中心に位置する武山断層帯の平均活動間隔は約1600~1900年に対し最後の活動は約2300~1900年前とみられ「満期」の状態に近い。

同委員会は牛伏寺断層(長野県)、立川断層帯(埼玉県、東京都)、双葉断層(宮城・福島県)でも大震災後に発生確率が高まったと公表済み。阿部委員長は「日本のどこで起きてもおかしくないという心構えが必要だ」と話した。

▲毎日新聞 2011年7月12日(火)
http://mainichi.jp/select/wadai/news/20110712ddm041040166000c.html

歴史と公民教科書 原子力の記載事項で比べてみよう

■教科書選定 どこがどう違う? 原子力の記載事項で比べてみよう

神奈川県では藤沢市がすでに市立中学校19校で来春から使われる歴史と公民で育鵬社の教科書を採択している。注目が集まる全市一括採択で全国最大の市場となる横浜市の採択審議は4日。鎌倉市は、「新しい歴史教科書をつくる会」主導の自由社とつくる会系の育鵬社は歴史、公民とも総合評価は1つ星で選ばれなかった。また平塚市は平成24年度使用の中学校用教科用図書として歴史は帝国書院、公民は教育出版を採択した。ただし、県立平塚中高教育学校(大原)は歴史で育鵬社の教科書を採択している。

○慰安婦について取り上げている記載事項:全教科用図書において該当する記載事項なし
○強制連行について取り上げている記載事項:公民教科書で自由社の教科書のみ記載なし


広く浸透する日本の原発"安全神話"は、長い時間と大金をかけてメディアはむろんのこと、コマーシャルや学校教科書から吹き込まれてきたことが、今回の福島第一原発の災難でよく理解されるところとなった。では、来年度から4年間使われる中学校と中高一貫校の歴史と公民教科書にはなんとあるか、特に今なら、原子力と自然エネルギーの記載事項で比べてみるのがわかりやすくていいかもしれない。

○エネルギー問題についての記載事項

東京書籍:
P165 世界では、温暖化防止のために、温室効果ガスの排出の少ない太陽光などのエネルギーの利用促進、省エネルギー技術の開発促進などの対策が進められている。
P166 現在では原子力、天然ガスなどの導入が進められ、エネルギーなどの供給源の多様化が図られている。
P167 原子力は海外から安定的に燃料を供給でき、わずかな燃料で多くのエネルギーを取り出せる。また、燃料を繰り返し利用でき、発電時に二酸化炭素を排出しない。しかし、放射性物質を扱うため、事故が起きたときの被害は大きく、厳しい安全対策が求められている。また、放射性廃棄物の最終処分場をどこにするかという課題も残されている。
P167 地球温暖化など環境への影響が少ないクリーンなエネルギーとして、太陽光発電、
風力発電、バイオマス発電などの再生可能エネルギーへの期待が高まっている。一方、太
陽光発電や風力発電などは電力の供給が自然条件に左右されることや、コストが高いことなどが課題としてあげられる。
P167 エネルギーの確保と環境への配慮を両立するかが、今後の課題となっている。

教育出版:
P184 わたしたちの生活は大量の資源・エネルギーを使った大量生産と大量消費の上に成り立っている。しかし、それらの資源・エネルギーは埋蔵地も産出地もかたよっていて、産出量にも限りがある。
P184 発電の際の二酸化炭素の発生が少なく、安定した電力供給ができるエネルギーの開
発が進められている。その中心となっている原子力発電は日本でも発電量の30%を占めている。一方で、いったん事故が起きると重大な被害が発生することや、放射性廃棄物(使用済み核燃料など)の処分に慎重な対応が必要なことなど、課題も残されている。
P185 現在、安全で持続可能な新しいエネルギーが求められていて、世界各国で太陽光、風力、波力、水力、地熱、バイオマス(生物資源)などを利用した、再生可能エネルギーの開発が進められている。

清水書院:
P149 廃棄物を資源として再生利用し、再生品を使用(リサイクル)するだけではなく、資源エネルギーの使用量をそもそも減らし(リデュース)、そしてくり返し再使用する(リユース)という3Rの実践が必要である。
P151 かつて公害のあった熊本県水俣市では、1992年に日本ではじめて「環境モデル都市づくり宣言」をおこなった。ごみの減量・高度分別、新エネルギーの積極的な活用、環境学習の機会の提供などを市民とともに実行している。
P169 先進国を中心に利用されている原子力発電はCO2を出さずに巨大なエネルギーを生み出すことができる。しかし、いちど事故がおこれば大きな被害が生じる危険性がある。放射性廃棄物の処理の問題もあり、安全に利用するために、よりいっそうの対策が求められている。
P169 環境への負荷が小さいクリーンエネルギーとして、太陽光、風力、バイオマスなどを利用した再生可能エネルギーの開発も進められているが、まだ経済的な効率において石油や石炭をおぎなえるようになっていない。

帝国書院:
P198 原子力発電は二酸化炭素の排出量が少なく、総発電量の中ですでに大きな割合をしめているが、事故や放射能への不安から、原子力発電の建設に対しては根強い反対運動がある。
P198 「地球にやさしい」発電方法とし 、風力発電をはじめ、太陽光、太陽熱、地熱、バイ
オマスなどの自然エネルギーを利用した発電方法の技術開発・改良が進められ、実用化もされている。しかし、それらへの期待が大きい反面、発電の効率が悪いなど大きな課題が残されている。

日本文教出版:
P201 わが国では、温暖化の原因となる二酸化炭素の排出が比較的少ない原子力発電が発電量の約3割を占める。安全性に対する疑問や、放射性廃棄物の処理の問題もあるが、国は対策に取り組んでいる。いっぽう、風力発電や太陽光発電、ごみ発電など新しいエネルギー源の開発も進んでいるが、現状では発電量が少なく大きな費用がかかるなどの課題がある。
P209 省エネルギーに努め、クリーンエネルギーの開発も行われている。

自由社:
P173 原子力発電や新エネルギーの導入拡大に努めている。原子力発電では安全性の高い技術を確立し、すでに全発電量の3分の1をまかなっている。また、太陽光や風力などを利用する自然エネルギー発電の普及を急いでいる。同時に、海外での油田権益の確保に努めたり、領海内の海底で発見されたメタンハイドレードの利用実用化を急ぐなど、エネルギーの確保に努めている。
P173 わが国は、国際エネルギー機関(IEA)を通して、安定した需給のための協力を進め、また発展途上国への資源開発や省エネ・省資源の技術協力を進めている。

育鵬社:
P178 日本のエネルギー供給は原子力発電が約3分の1を占めている。原子力発電は地球温暖化の原因となる二酸化炭素をほとんど出さず、原料となるウランをくり返し利用できる利点がある。そのため、石油等を輸入にたよる日本では重要なエネルギー源となる。今後は安全性や放射性廃棄物の処理・処分に配慮しながら、増大するエネルギー需要をまかなうものとして期待されている。
P179 自然エネルギーや燃料電池などの新エネルギーの開発とともに、産業活動や生活で消費している資源・エネルギーを効率よく利用することによって、省資源・省エネルギーを徹底していく必要がある。
P179 「クリーンエネルギーの開発」太陽斯う発電を取り入れた住宅、風力発電のための大型風車、次世代エネルギーの主役として期待される燃料電池で動く自動車など、新しいクリーンエネルギー開発への取り組みを紹介。

以上中学校、中等教育学校の前期課程用 教科用図書調査研究の結果(平成24・25・26・27年度用)より
http://www.pref.kanagawa.jp/cnt/f6670/p323985.html

■平塚市 校舎屋上にフェンス設置で増額補正

「平塚市教育委員会平成23年6月定例会会議録」より津波関連部分抜粋
開会:平成23年6月23日(木)

平成23年度平塚市一般会計(教育関係)補正予算について

教育総務課長:小学校施設管理事業では津波対策の一環として港小学校の校舎の屋上にフェンスを設置するための工事費740万7千円を増額補正する。

中学校費については1目学校管理費中学校施設管理事業では津波対策の一環として太洋中学校、浜岳中学校の校舎屋上にフェンスを設置するための工事費1,573万4千円を補正する。3目学校建設費中学校体育館耐震補事業では、県の子育て支援市町村交付金1億4,200万円を耐震補強工事の一部とするため財源充当補正をする。

木村委員:津波対策の一環としての校舎の屋上へのフェンス設置については、これでJR以南のすべての学校の校舎にフェンスが設置されるのだろうか。

教育施設課長:学校でも校舎が1棟しかないところには既に設置してある。学校の校舎によっては設置がされていないところに設置を行うもので、補正予算がつけば、これでJR以南のすべての学校の校舎にフェンスが設置されることになる。

木村委員:それを聞いて安心した。いざというときの避難について、基本的には避難する時間がない場合には急いで屋上に避難ということで確認はとれているのだろうか。

教育総務課課長代理:現在津波対策、防災について、県の防災の総合計画的によりハザードマップの作成が進んでいるところと聞いている。それを受けて市の津波対策も考えられる。それに先立つ形で市では、東海大学の協力を得て実際にどのくらいの津波が平塚市の市街地域に来るのかシミュレーション的にやってみようということで予算を確保した。その結果を踏まえ、市や教育委員会の中でも対策を考えていく。理念上ではまだ具体的にJR以南の地域で、学校やそれ以外の高いビル等の避難所指定は交渉段階の形だと思う。協議の結果を経ないと地域の皆さんにも公表等できない。現状では各学校が避難所の指定を受けているので、もし発令があれば学校に集まると思う。もちろん児童生徒は最優先で屋上に避難するという形で計画をしている。

木村委員:東海地震も起きるのではないかとされており、気になっている。3月の震災で津波警報が発せられた時、学校はどうやって対応したらいいのか悩んだと思う。一刻も早く避難のマニュアルなど整備をお願いしたい。いつ何時どんなことが起きるか分からない時代なので、早く学校で津波警報が出た時のある程度統一され、さっと動けるようなマニュアルを作成してほしい。

川之辺委員:フェンスのことで聞きたい。浜岳中学校は生徒数が700人以上で23クラスある。道路の方からみると大磯寄りはフェンスがあり、茅ヶ崎寄りはないように見える。裏の方は見えないので分からないが、予算が取れれば設置していただけるということで大変よろしいことだと思う。設置した後、平塚で一番多い生徒数の学校で、全員が避難できるスペースがあるのだろうか。また、それだけの数の生徒が屋上にあがって、耐震上問題はないのだろうか。

教育施設課長:生徒が占めるスペースについて、試算はしてあり、概ね平米5人程度である。浜岳中は生徒数716名で、これから施工するフェンスの面積を含め、とりあえず十分に生徒のスペースは確保できる面積である。学校の場合、地域の避難場所でもあるので、避難される方が学校にもいらっしゃるという想定はできるが、生徒については今回のフェンスの設置で現状では問題ないと考えている。

質疑の結果、全員異議なく了承された。

食もエネルギーも自律分散型の地域づくりを

■イタリアの村づくりから学ぶ

食もエネルギーも自律分散型の地域づくりをーーイタリアの村づくりから学び考える

○全文は下記サイトにあります。↓
http://www.gakugei-pub.jp/higasi/i001mu.htm
○緊急インタビュー「震災・原発事故とまちづくり」
http://www.gakugei-pub.jp/higasi/index_i.htm

話し手:宗田好史(京都府立大学准教授)
聞き手:前田裕資(学芸出版社)
2011年4月1日

<イタリアの村づくりから考える>
 
前田:
 つい先日もイタリアに行っておられましたが、帰っきた途端、日本は未曾有の大災害に見舞われてしまったわけですが、今回お書きいただく「イタリアの村づくり」は、こういう災害に遭いながらも日本がどう変わっていくかという点でもかなり参考になるかと思いますが。
 その点、いかがでしょうか。
宗田:
 農山漁村で「文化的」といって景観保全を進める背景には、イタリアではもともと「農村観光」とか「スローフード運動」のような農業の進化と食の革命や「オーガニック革命」と言われる新しい生活価値観と結びついていると考えます。それを本に書こうと思っていたのですが、それ以上に農村の変化は地域の再編という意味を持っていると気付きました。
 日本でもエネルギーの世界で「スマートグリッド」が言われていますが、地域では自然エネルギーに加え、農村と都市の関係というものをスマートグリッドの考え方で整理していくとこうなるだろうということをイタリアでは示しています。日本で「地産地消」と言われていることを、イタリアの現状ではより総合的な地域計画の課題として考えていることがよく分かりました。それが本書を書く大きな動機です。

○イタリアの伝統的な農村のあり方
 イタリアは半島ですが、日本と同じように海に囲まれた国です。だから、どの地域も山と海にはさまれているんです。したがって、山と海の幸をどう食として、あるいはエネルギーなど様々な資源として活用するかを昔の閉じた社会の中では常に考えていたのです。
 そこに伝統の食が生まれ、伝統の文化や町並み、景観が育まれていったということが言えます。ですから地域の美食、美酒というガストロノミックの捉え方で地域の魅力を見つけていこうとすることは一番人々に分かりやすく、景観や伝統文化で地域 の良さを再生することより、もっと大きく五感に強く訴えかけるインパクトがあると思います。
 それをイタリアの農村観光を進めている人たちは、根底に捉えていることが今回のイタリア行きではよく理解できました。
 昔は、例えば羊飼いたちは夏になると山に出かけて牧草を食べさせ、冬になると集落に降りてきて、土地を耕し、乳を搾りながらチーズを作る生活でした。また、夏は豊富な水産資源が海から上がりますから、それを加工して、川や道を軸として山と 海がそれぞれ豊かな食材を地域の人たちに供給してきました。もちろん地域の農業、林業は近海を豊かにし、海から上がった資源も肥料として土地に戻ってくるという循環を繰り返してきました。
 乳製品を生かす調味料や食材をうまく加工していくことで独特の風土、気候に合った味わいがチーズになり、ワインになり、水産加工品になってきたわけです。それが料理として花開くのです。このことを農村観光では、もっと強く前面に打ち出していこうとしているのです。

○伝統のあり方が失われた現在
 ただそれがなぜ今は失われているのか、なぜ再生しないといけないのかと言うと、地域開発の名の下に鉄道もやがて高速道路網に変わっていって、全国的な物流が広がり、最近ではより安い製品をより高く買ってくれる市場に届けるというグローバルマーケットの仕組みが出来てしまったからです。
 そこでは、小さく生産していた漁港の加工品や乳製品が大量生産の仕組みの中に取り込ま れてしまうのです。南で作った牛乳も北で作った牛乳も、全く同じ水準の同じ成分のものでなければ工業製品として全国に流通できないという仕組みになってしまったのです。牛乳だけでなく、チーズ、ワインもそうです。牛乳は今、原乳を遠くのローマやミラノの大都市に運んで、大きなミルク工場で混ぜられてスーパーの単一の牛乳に化けているというわけです。つまり、地域の色を消してしまうのです。
 同じように、農業生産品もイタリアでは協同組合とかコンソーシアムという形をとりますが、農業指導の名目の下に同じ時期に種まきをして同じ肥料を与えて、同じ時期に収穫します。「高投入高収入」というやり方で、資材や肥料をたくさん投入し て収穫を得るという構図が近代農業なのです。これはオーガニック農業が批判している大量生産方式の規格製品化された農産物です。
 この「高投入高収入」という農業の構図は、多くの工業製品と同じように一定の品質が保証されかつ安い値段で消費者に届けるという仕組みでもあります。ただ、そのやり方を選んだことで、地域の特色、地域の文化が消えてしまった。この構図では、都市しか生きられない、多様な地域は生き残れないということになってしまったのです。今、こうした構図を脱却し、地域が自立するための農業や漁業の取り組みを取り戻していこうという考え方が現在の「脱フォーディズム」の村づくり、風景づくり、文化づくりにつながっています。そうした動きの一端が「地産地消」であり、地域独特の食文化として表そうとしているんです。これが別の意味での「スマートグリッド」の考え方なんです。

○スマートグリッドの考え方
 地域の中で自己完結的にほとんど全てのものが調達できること。さらにエネルギーも再生可能エネルギー、例えば太陽光とか水力とかを使うこと。そんな考え方が強く意識されていて、環境保全型農業に熱心な農家では、牛の畜舎の上にソーラーパネルが乗せ、畑の横の小川に水力発電のダイナモが回っています。地域固有の味とクリーンな農産物を追求するからです。
 こうなってくると、大きな送電線に代表される、エネルギーや流通の大ネットワークの中に閉じこめられなくても、自立した地域の再生の可能性が広がると考えられます。イタリアの農村では、今そういう流れが生れています。
 今、我われは震災に遭って高速道路網、鉄道網がずたずたになり、その先にあった工場が被災してしまったことで、日本の生産システム全体が狂おうとしています。あるいは、原子力発電所の事故の影響で福島県の農業が大被害を受けようとしている。全国4位の生産量を誇る福島県産の米は市場で大きな部分を占めていますから、それだけでも影響があるでしょう。果物・野菜の生産地でもあり、首都圏だけでなく関西の大型スーパーの流通を支えていた部分もあるのです。
 今回の災害によって、長年にわたって品不足が起き、買い占めという現象が起きるでしょうが、その影響を抑えるために地域での地産地消を進め、食と農のスマートグリッドが自立しながら支え合うという構図をどう作っていくかが課題だと思います。決してエネルギーだけの問題ではなくて、もっと大きな意味での循環、生産-消費の意味として日本でも見直されてくるだろうと思っています。
 こういう考え方の見直しが追い風となって、地域の自立が進み、同時に地域の文化や景観が見直されていくという大きな流れになっていくのではないでしょうか。今まで文化財保護の方面では残っている棚田が名勝だから残すとか、この森林が美しいから残すべきだということを、そこだけ切り取って残すという取り組み方をしていました。それがなかなか普及しなかったのも、そこにあった生活と生産が全国的、グローバルネットワークの中に位置づけられていて、そこと切り離さなければ残せなかったという事情があったからなんですね。それをもっと根底から考え直して、生業と生産を自立的なものに変えていくことで、地域の文化の意味が大きく変わっていくのではないでしょうか。
 おそらくそこに、今回私がイタリアで見てきたものを生かす方法があると考えます。イタリアは原子力発電所を持っていませんし、エネルギーも自立型で行こうと国策として取り組んでいますから、そのことと結びついています。もともと中央集権的でない地方分権的な自立的な地域のあり方を大事にしているからこそ、個性的な文化や景観が残っていることともつながっているのです。そういう大きな国土政策を課題として、農業観光が位置づけられていると思いました。

○イタリアのアグリツーリズムがもたらした変化
 今回私がアグリツーリスト(農村観光協会)に行ったのは15年ぶりだったのですが、前にこの研究をした時にお世話になったアグリツーリスト本部のロ・スルドさんと再会しました。15年前にはイタリアでもまだアグリツーリズムは今ほど盛んではなく、普及しかかっていたところです。だから彼らの研究は、どんな人が農村観光に来るかが中心で、大学出の高学歴の人たちや、中高年の所得階層の高い人たち、また特に食に関心のある人たちが農村観光を支えているということを調べていました。
 今ではイタリアのアグリツーリズムは全国の観光市場の27%を占めるところまで来て、 もうありとあらゆる人が農村観光を楽しんでいます。中にはホテル代が安いとか、たまたま手近だったからという理由もあって、アグリツーリズムが持っていた本来の魅力は失ってしまったかもしれないけれど、これだけ国民に農業や農村を感じてもらうようになったのです。観光に出ようと思ったらその4分の1は農村に行くわけですから、イタリアにとってもこれは大変な変化ですよね。
 そして、我われはそこに至る15年、20年の変化をどう見るかという議論をしたわけですが、二人で話して気づいたことは、都市と農村の格差がなくなったということです。イタリアでも長い間、都市は豊かで農村は貧乏という図式がありました。ところが、この20年で「むしろ農村の方が豊か」ということを都市の人が感じるようになったのです。つまり都市の環境の悪いところで暮らすよりも、本当は農村で過ごせたら良いなとみんなが思うようになったということなんですね。
 もうひとつの変化もあります。実は農村の中にも地主がいて小作がいて、貧富の格差はありました。所有する土地の多寡で格差が生まれていたのだけれど、そこをアグリツーリズムで農業が土地にだけに縛られることの制約から解き放したのです。つ まり、土地がなくても美味いレストランで生計が立てられるとか、上手に民宿を経営できれば所得は大きくなるなど、土地だけあってのんびり農業をやるだけではなくて、もっと上手に2次産業、3次産業の部分で農村を豊かにしていく才覚で、誰でも出来るようになったのです。
 同時に、このアグリツーリズムの他に、テッラノストラ、ツーリズムヴェルデというそれぞれ政治的背景を異とする全国的アグリツーリズム組織があるのですが、この3組織が異口同音に言うのは「成功は女性の力だ」ということです。アグリ、つまり農業は男性がやって、ツーリズムは女性が中心になった。それによって、実は農村女性の解放ができたというんですね。
 今まで農村の女性は、どうしても農業しかなかったら、亭主や農場主に指示されるままの単純労働力と家事しかできなくて、低い地位でしかなかったのです。ところがツーリズムが農村に入ってきてから、女性の才覚が現金収入に直接つながるようになったのです。銀行や農業団体からお金を借りて、部屋を綺麗にして美味しい料理を出すとか。だから奥さんがやる気を出して上手に経営していくなら、土地は狭くてもアグリツーリズムは栄えるんです。
 むしろ、最近では農業収入よりアグリツーリズムからの収入の方が多くなってきたという状況があります。それが分かれば女性は頑張りますし、全体として村の文化意識や市民意識を変えていく状況になってきつつあります。ついには遅れていたイタリアの農村の中でも、都会では当たり前になっていた男女共同参画が急速に進んでいるようです。このことが農村の中に残っていた男女格差の問題も解消してしまった。
 だから、私はロ・スルドに「我われが学生だった70年代にはまだ学生運動の残り火が あって、その頃社会思想としてあったマルクス・レーニン主義でどう社会問題を解決していくか、民主化をどう進めるかを考えていたけれど、あの頃、想像していた形とは違うかもしれないけれど、このアグリツーリズムを通じて農村の民主化はかなり進んだよね」と言いました。
 農村の地位は随分良くなったし、農民の社会的な地位も随分良くなりました。アグリツーリズムはそれに大きな貢献をしましたし、産業革命以降続いてきた都市への人口集中も止めることにも成功しました。都市と農村の所得格差も解消され、大地主と小作農の格差もだいぶ平準化されてきました。むしろ大地主が消えて、小規模な農家が多角的な経営をしながら都市に住む普通の市民以上の所得を得る形になってきていると言えるでしょう。だから、被雇用者の労働者として働く以外のいろんな多様な生業のあり方を示すことに成功したと言ってもいいでしょう。
 結局、大量生産大量消費型の規格化された農業は、それが農協とかコンソーシアムであっ ても、組織が号令をかけて集団労働を農民に強いていたということで、それを合理性と言っていた。アグリツーリズムはそうした農業のあり方からも脱却して、 社会主義的な農業モデルというのは崩壊してしまったんです。より自立的で、多品種少量生産の農業として、地域と一緒に自分も自立出来るという道を開いてきたのです。これは大きな意味では、農村の民主化の流れに重要な一歩を記したことじゃないでしょうか。
 これでイタリアにおける農村の貧困問題はだいぶ良くなりましたよね。そういう話をロ・ スルドさんと交わしました。ただ、ロ・スルドさんによると、昔からあるイタリアの南部問題、つまり南部の貧しさはそうそう簡単には解消できないということでした。ローマやフィレンツェから車で1、2時間で行ける農村観光は良いけれども、シチリアまで行くのは大変です。アグリツーリズムにも条件的な有利、不利はあるのです。そこはこれからの課題でしょうが、日本企業も参加したJVがシチリアとイタリア半島を結ぶ橋を受注したこともあるし、これからは少しずつ 良くなる傾向にあるのかなとは思っています。
 あとは、シチリアを含むイタリアの南部はギリシア文化から続く大きな歴史があるので、 そこをうまく生かす方法を見つけられたらと思います。とにかく地域の大きな政策転換につながる意味が、アグリツーリズムにはあるという話を聞けたのが、今回のイタリアで得た大きな収穫だったと思っています。

<まちづくりはどう変わるか>

○エネルギーを軸とした地域の自立
前田:
 少し話を変えて、先ほど言われたスマートグリッドの時代になるということは、これからの日本の地域計画あるいは総合計画自体も変えていかないといけないのでしょうか。この辺についてはいかがですか。
宗田:
 前から分かっていたとは言え、ちょうど今日の新聞で管首相が日本のエネルギー政策、環境政策の見直しをするとの記事が掲載されていました。同時に東京電力という会社の国有化も含めた再編が話題に出始めています。
 このことから分かってきたことは、まず「脱原子力」は誰も否定できないことでしょう。原子力発電が一番長く続いても21世紀の半ば頃ぐらいで、それまでには自然エネルギーへの転換が進むと思われます。そのエネルギー転換期を2050年と置くのか2030年と置くのか、もっと早く2020年までになるのかは、ここ半年か1年の間に大きな方向が見えてくるだろうと思います。
 エネルギーの転換とは、要は自然エネルギーにシフトを移すということです。その技術はもう十分成熟しつつあります。経済的に言っても、今後日本の原子力は発電コストがどんどん上がってくることでしょう。そりゃ、こういう事故を起こしてし まった以上、地域に原子力発電所を受け入れてもらうには、地域にとってあまりにリスクが高いことなので、安全対策を含め、今以上にコストが上がると思われます。それに比べて、90年代以降自然エネルギーのコストは着実に下がってきています。おそらく損益分岐点はもう超えているのかもしれない。だから、政治的な決断を待つ待たないにかかわらず、エネルギー転換は必ず起こると思います。
 その中で一番大きなことは、自然エネルギーに変わってくることで地域のエネルギーの地産地消が進むと思うんです。地域の中でより効率的なエネルギー供給の仕方を考えるし、循環をどう考えるかが問題になってくるでしょう。それは、東京一極集中に代表されるような日本の地域構造をより分権的にしていく大きな流れになると思うんです。
 今までは、東京電力・関西電力・中部電力という形で区切られていたネットワークが変 わってくれば、当然産業立地、工業立地にも大きな影響を与えるだろうと思うんです。さらにそれが地域ごと、自治体レベルかもう少し広い県レベルになって、 エネルギー供給と工業生産、あるいはその他の産業へのバランスあるエネルギー供給という話になってくると、随分地域の自立が進んでくるわけです。このことがひいてはエネルギー以外の分野にも影響を及ぼしてくるのです。この転換が地域に大きなインパクトを与えると思います。

○住まい、都市への価値観が変わる
 それから今回の災害をテレビでごらんになって、みなさんも津波の映像にショックを受け られたことだったろうと思います。慣れ親しんできたふるさとの景観が瞬く間に壊されていく状況を見てしまったわけで、あれは阪神淡路の震災の時の壊れてしまった後の映像を見たときとは全く違った力を見せつけられてしまったのです。津波という自然のもの凄い力がすべてをさらっていったのです。それはとてもショッキングな出来事でした。
 ですから、今は都市や住宅に対する信頼というのが、根こそぎ失われたような気がします。新しく造成した土地には住まないとか、住むんだったら昔から人が住み続けている場所を選ぶということが、やがて国民の要求の中に上がってくると思うんです。
 私はイタリアを研究していて、最初はなんでみんな歴史的市街地に住むのか、中世の不便な丘の上を好んで住むのかということが疑問の根底にあったんです。今回の津波の映像を見たら、そりゃあ昔からの場所に住むのは当然だとストンと腑に落ちた気がします。ローマ時代から2千年続いている町、そういう所に住む方が理屈抜きに安全なんです。だから、歴史を見直して古い町にみんなでまとまって住むということが必要になってくるのです。
 また、イタリア人が村を大事にするのも都市は脆弱なものだから、社会基盤が脅かされた瞬間に住みにくくなるのが分かっているんです。だから拠点をひとつ農村に置いておき、いざとなれば農村に逃げられるようにする。
 こういう考え方が都市計画の中でもっと重視されなければならないと、私は思っていま す。今まで分断的に土地利用計画、そして土地利用に沿った形で防災計画や減災計画が行われてきたし、居住地環境整備事業というのはとりあえずどんな新しい ところに町を作ってもコミュニティが維持されるように努力されてきました。しかし、どうしても分断的でした。もう一度地域の歴史に根ざした状況下で、町は将来どうあるべきかという歴史から未来を読むという形にしてこないと、都市づくりが成り立たないでしょう。我われがイタリアで感じていたそれぐらいの都市計画のあり方が、日本でも求められるようになると思いますね。

○安心安全にこだわる消費者の要求にどこまで応えるか
前田:
 エネルギーの自立、分散と同時に、最初にお話しされた農村のアグリツーリズムだけじゃなくて食の安全や自立も求められてくるのではないでしょうか。最近ではかなり意識されてきていると思いますが、さらにその要求は強くなってくるような気がします。それに対して、農業、農村は応えられるか、あるいは都市はどう変わるかということについてはいかがでしょうか。
宗田:
 私も京都府温暖化防止活動推進センターでやっていることですが、今までの農業はフォ-ディズム(と私は呼んでいますが)によるエネルギー消費型農業であって、資源消費型農業の形ですよね。農産物流通のエネルギー消費を減らすためにフードマイレージ削減を提唱していました。でも、マイレージだけでなく、高投入高収益の集約型農業そのものを変えていきましょうというのが地産地消の本来のあり方だと思います。
 重要なのは災害が起きても、そこに食べるもの、飲む水があるということです。取りあえずは災害が起きてライフラインが止まって道路網も寸断され地域が分断されてしまうというときに、身近に食べるものがあるということはとても大事なことです。食べ物を全てインフラに頼って運んでもらえる訳じゃない、地域の食に対する考え方を見直していくことが進んでいくと思われます。
 それと、イタリアに行って驚いたことのひとつに、マクロビオティックが日本以上にイタリアでもブームになっていたことです。実は私もイタリアに行って教わったのですが、マクロビオティックってもともとは日本のものだったんですね。ああいう考え方が日本ではなくイタリアで受けている事実にも驚いたのですが、その根底には地域で暮らすことが文化的にも再評価されている、このことも含めて食の自立=地域の自立ということが進んでいることだろうと思いますね。
 こういう食スタイルの変化がアグリツーリズム以上にじわじわと効いてくるだろうし、いろんな取り組みが出てきたときに農村の魅力は今以上に見えてくるでしょう。農家側がそれをどれだけ分かってくれるかという問題もありますが、農家は美しくなければ美味しくないという消費者の心理をどう捉えるかということ。その一見わがままに聞こえる「美しい村でなかったら食材は美味しくない」という消費者の要求に対して、それを生産者側がどう位置づけ、どう合理的に解決していくかという問題は起こるでしょうが、そこはやはり計画を立てる人間が上手にガイドし ていくかにかかってくると思いますね。

○我われは大きな変化にちゃんと対応できるだろうか
前田:
 最後の質問ですが、これから大きな変化が日本で起きていくとき、ある意味それは豊かになることなのか、それとも貧しくなることなることなのか。つまり我慢をしていかないといけないのかと思うのですね。
 おそらく今までの成長を願う人たちはエネルギーをそれなりに回復していって、もう一回経済成長を取り戻そうという議論をするでしょう。あるいは、今話されたような自分たちの生活をもうちょっと地に足をつけていこうという動きも一方であるだろうと思います。我われ日本人はどのようにその変化を受け止めるべきか、また受け止める力があるか。変化をうまくこなせる所に我われは来ているんでしょうか。
宗田:
 もちろんもちろん。その点については、僕はとても楽観しています。よく言われるように 21世紀の日本人は新しいものをほしがらないほどに成熟し、沢山のモノを欲しがらないほどに豊かになりました。これは『デフレの正体』で藻谷さんが書かれ ていることと同じです。否定的に捉えたら、年金生活に入ったから消費を抑えていることかもしれませんが、年金生活に入って貧しくなったという嘆きはあんまり聞かないですよね。逆に孫に何かを買ってあげたとか孫を連れて旅行に行ったという話はよく聞きます。たぶん、みなさん職を離れてからできたちょっとした余裕を、家族や友達との絆を再確認する、人生の成熟に変えることが出来たのだとすると、こんなに成熟したのだから今さら新しいものは要らないということかもしれません。
 例えば仕事をしているからインターネットが必要、でも仕事を辞めたのだったら無理してインターネットを覚えなくてもいいという選択もあると思うのですよ。便利そのものの新しい町よりもうちょっとレトロな町でゆっくり過ごしたい。そういう願いを持つ人たちは確実に増えていますよね。
前田:
 それは若い人たちも含めてですか。
宗田:
 若い人たちについては、僕はそんなに早く成熟せずに次から次へ新しいモノを欲しがって欲しいと思っているんだけれど、そういう成熟した若い人も増えているのかもしれません。それはまた別の心配ですが。
 それはそれとして、今はなんと言っても中高年が人口の中では多いですから、今言った傾向は見えています。必要以上に欲しがらない、本当に必要なものだけをちょっと買うという傾向はあると思うんですね。これをデフレの正体という言い方もある でしょうし、モノが売れずにサービスが求められる時代になった、女性が賢い選択をする時代に移っているという言い方もできるかもしれません。
 それと、今回の震災で大きく出てきたことは、自分のためとか家族だけを考える時代じゃないだろう、自分や家族をさておいて、みんなのために尽くしている自治体の職員さんとか福祉関係の方がクローズアップされたことです。地域の支え合いと一言で言ってしまえばそれまでですが、みんなのために何が出来るかを自分の最大の生き甲斐として考えておられる方がかなりたくさんいた。その立派な行動に我われは本当に胸を打たれているわけですが、日本人の被災時における態度が立派だと世界から誉められることは、考えてみると日本は十分幸せな国になっていて(もちろん、全ての人びとが幸せだと言うつもりではありませんが)、幸せを感じている人たちがいたからこそ自分以外のみんなのためを思う人たちが増えてきたということだと思うんですよね。
 こういう大きな価値観の転換があった。戦災復興からもう60年、70年が経ってしまって、そこから今何を考えるかという状況になってきています。戦後の豊かさの表れというものが、成熟したというか一皮むけた日本人像になっていくと思うのです。そこでワークライフバランスとか絆の再生が求められているのです。そういうところから、日本の新しい形が生まれてくるだろうし、暮らしや仕事の仕方も変わるし、求められる仕事の内容が変わってくると思いますね。今までのような単純労働に黙々と耐える日本人像ではなくて、よりクリエイティブな仕事に従事する人が増えるような日本になっていくかもしれない。小さい仕事だけど光っているとか、小さいけれども多くの人の役に立っていることが仕事のやりがいとして求められる時代になるかもしれない。そういう人々の気持ちの大きな流れをどう生かしていくかが問われてくる時代だと思うんです。
 だから、私は見ていると、日本人はイタリア人の価値観に近づいていっているなという気がしているんですけれど、それは私がイタリア好きだから言えることかもしれません。何かそういうイタリア好き人間が見る日本人像というのは、やがてイタリアのような美しい国を築き上げていくという方向を示していると思いますね。

○これからの計画に求められるものとは
前田:
 最後の最後に、しつこくて恐縮ですが、そういう風に変わっていく中で計画の役割とかはどうなるでしょう。計画って、日本では信じられない存在になってきましたよね。土地利用計画というと権利を制限されるからイヤだという心理が強く働きますし、先生が言われたように「美味しいものは綺麗な農村から生まれる」と言われても、実際はゴチャゴチャとした状態で平気ということがまま起きてしまうのですが、そういう中で計画はもう1回何か役割は担えるのでしょうか。あるいは、今までの計画とは変わっていくことによって、人々にもう1回期待されるものになるのか。そのあたりはどうでしょう。
宗田:
 それは計画がもっと賢くなればいいだけの話ですよ。簡単な話ですよ。さっきから成熟するという話をしていますが、成熟するということは共同化がうまくなるということです。自分1人がやる、つまりみんながバラバラにやるということよりも、みんなで力を合わせてやった方が得だということは、みんな知っています。それを信じられるものが計画なんです。まだ出来てもいないものに対して、みんなで力を合わせようと言える説得力を計画が持つかどうかなんですよ。
 計画を市民、国民が信じてくださらないから、みんな「規制はイヤだ」というわけなんです。規制を受けることによって得る得と失う損を比べたときに、損の方が大きいと見てしまうわけですよ。でも、京都の景観政策のように今は景観政策評価システム研究会が「十分理解されている」と再確認しているところですが、京都の景観政策に異議を唱えた看板屋さんだって不動産屋さんだって一定ルールのもとでみんなでまちを作っていくようになったら、どうも儲かるらしい。京都はより良い町になって神戸、大阪よりも十分魅力のある町になっていくらしいと思っているらしいんですよ。
 そこは時代の変化を着実に知りながら、1人1人のニーズを知ることです。彼らが何を損と感じ、何を得と感じるかをちゃんとモニターした上で、それを計画の中に取り込みながら、優れた説得力のある計画を持ってくることが賢くなるということなんです。それが出来るようになる必要はある。
 そうしたら、用途地域制度なんてものや都市計画制度なんてものは変えたら良いんです よ。今それが変わらないのは、従来のものに代わるより賢いシステムを我われが提案してないからです。そのことを、政治家を含めた国民に理解させてないからであって、そうでないと計画は絶対に進歩しません。
 というのは、人間は1人では生きていけないから。力を合わせた方が必ず得だから。人間社会というのはそういうものじゃないですか。社会がある限り、計画は絶対にあります。人間はより賢くなっていきますから、取りあえずはそこに二人以上の人間がいる限り計画がなくなることは絶対にないでしょう。まして、日本には1億2千万人もの人間がいるわけだから。我われの仕事がなくなることは絶対にないでしょう。
 ただ、問われるのは計画の賢さですよね。賢さというのは、決して誰かがやったことを真似ることでも、あるイデオロギーに従うことでもなくて、今ある現実を冷静に見つめながら、何が起こっているかをちゃんとわきまえることから始まるのだと思いますね。

宗田好史さん略歴:
1956年浜松市生まれ。法政大学工学部建築学科、同大学院を経て、イタリア・ピサ大学・ローマ大学大学院にて都市・地域計画学専攻、歴史都市再生政策の研究で工学博士(京都大学)。国際連合地域開発センターを経て、1993年より京都府立大学人間環境学部准教授。国際記念物遺産会議理事、東京文化財研究所客員研究員、国立民族学博物館共同研究員などを歴任。

全国のお母さんら連帯 この時代を生き抜く知恵袋

■福島第1原発:放射能全国ネット 全国のお母さんら連帯
この時代を生き抜く知恵袋

福島第1原発事故で、放射性物質の子供への影響を心配する母親の不安を解消しようと、情報を共有する全国ネットワークが有志の市民で設立される。12日に東京都千代田区の全電通労働会館で設立集会を開き「行政の対応を待たず、自分たちの力で子供を守ろう」と呼び掛ける。

設立のきっかけを作ったのは、86年に原発事故が起きたチェルノブイリの子供の療養を支援するNPO法人代表、野呂美加さん。野呂さんは福島の原発事故以降「子供への放射線の影響」について各地で講演を続けている。食物や遊び場の安全性について不安なまま声を上げられなかったり、どう行動すべきか分からなくなっている母親が多いことに気付いた。

一方で、自分たちで情報を集め、国や行政に意見する団体も散らばって存在することから「みんながつながれば大きなうねりになるのでは」と顔見知りの母親らに提案、ネット作りが始まった。活動が本格化したのは7月からだが、既に賛同人は400人を超え、登録団体も60近くになっている。

ネットワークでは当面、空間や食物の放射線量を独自に測定するなど、既に各地で活動している団体の情報を集約。長期的な健康被害が懸念される内部被ばくを防ぐ方法や考え方を伝えたり、国や行政に対する個人の声をすくい上げ、陳情などの形で意思表示していく。また、避難場所を見つけられない人へ受け入れ先をあっせんすることも検討中だ。

呼び掛け人の一人、井寺喜香さん(39)は「事故の影響で、母親らの放射線への関心は高まっている。この時代を生き抜く『知恵袋』みたいな存在になりたい」と話している。

(引用元:毎日新聞 2011年7月9日)
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20110709k0000e040031000c.html

子どもたちを放射能から守る全国ネットワーク
http://kodomozenkoku.com/

汚染の拡大は止められない

■今までと違う世界で生きるしかない

汚泥から次々と放射性物質検出

東日本各地の下水処理施設の汚泥から、放射性物質が検出されている。東京都大田区の下水処理施設では、空気中から毎時2・7マイクロシーベルトの放射線量が検出された。0・05マイクロが普通だから、その50倍であり、とても高い。

原発から230キロ離れた場所でありながら、高線量の汚染となったのは、下水処理場の汚泥が濃縮されるからだ。空気中に広がった汚染は下水に流れこんでくるが、下水処理場は水を処理する過程で汚泥を生み、そこに濃縮されている。これから日本中の多くの場所で出るだろう。関西でもそれなりの濃度になると考えた方がいい。

下水処理場で焼却した灰からは、1キロあたり1万ベクレルを超えるセシウムが検出された。すごい量だ。そんなレベルの放射能を取り扱ったことは、私は一度もない。

国は下水処理場の汚泥を建築用コンクリート等の材料として再利用することを進めている。セメントや肥料にするにあたって、「1キロあたり100ベクレル以下になっていれば問題ない」としているが、放射線はどんなに微量でも危険。社会的にどこまで受け入れ可能なのか判断するしかないが、いま出ている汚泥は猛烈な濃度であり、始末の方針を示す必要がある。

国が汚泥の汚染の基準を定めたのは5月で、それ以前の分は既に全国に出回っている。セメントにして道路を舗装したら、放射線が出てくる。1キロあたり100ベクレルのセメントで建物を作れば、汚染物質で覆われた建物になる。キロあたりは小さくても、大量に使えば積算される。

そうした汚染の拡大は止められないが、今や地球上すべてが福島の放射能で汚れている。事故を招いた日本という国は、汚染から逃れられない、という覚悟を決めるしかない。ただし、小学校には使わない、というような配慮はあってしかるべきだ。

江東区の保護者の会が、「東京都の汚泥処理施設近くのグラウンドの土から高い濃度の放射性物質が検出された」と発表した。汚泥処理施設で焼却して処理しているのであれば、煙にのって放射性物質が大気中に出てきて、それが周辺に汚染を広げていることはあり得る。放射性物質が出ているのであれば、焼却は止めるべきで、続けるならば、適切なフィルターなどを設置してから行わないといけない。

汚泥を置いておく場所も、灰を置く場所もない。どうしたらいいか分からない。こんな事故が起きてしまったから、これからは今までと違う世界に生きるしかないと思っていただくしかない。

京都大学原子炉実験所 小出裕章 語録 ピープルズニュース
http://www.jimmin.com/htmldoc/1651.htm

汚泥から高濃度の放射性セシウム検出

■神奈川:下水処理場 放射性物質検出

下水処理場の汚泥から高濃度の放射性セシウムが検出されている問題で、県内の処理場では、汚泥焼却灰の処分や再利用が進まず、敷地内に積まれたままになっている。政府の汚泥取り扱い基準は示されたものの、セメント原料としての再利用が再開されていないためで、保管場所を増設するなどして対応している。

政府が6月16日に示した汚泥に関する当面の取り扱い基準は、放射性セシウムが1キログラムあたり10万ベクレル超の場合は放射線を遮蔽できる施設内に保管、10万ベクレル以下の場合は管理型処分場に仮置き、8000ベクレル以下なら管理型処分場に埋め立てられるとしている。セメント原料として再利用する場合は、セメントにした段階で100ベクレル以下にする必要がある。

県が管理する4カ所の下水処理場(平塚市、茅ヶ崎市、小田原市2カ所)では、焼却灰から1キログラムあたり544~4424ベクレルの放射性セシウムが検出されている。

管理型処分場に埋め立て可能な数値だが、県は「放射性物質を含んだ焼却灰を埋めるには周辺住民の理解が必要」として、現段階では埋め立てを検討していない。今年度中は下水処理場敷地内に仮設テントを設置し、焼却灰を保管する方針で、6月30日現在で4処理場に計約1000トンの焼却灰がたまっている。

▲読売新聞 2011年7月2日(土)
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/kanagawa/news/20110702-OYT8T00301.htm

△放射能汚泥 関東3万トン 

福島第一原発事故の後、各地の上下水処理施設などで汚泥や焼却灰から放射性物質が検出されている問題で、自治体の処理が滞っている汚泥や焼却灰が関東地方の1都6県で少なくとも3万トン余にのぼることが本紙のまとめで分かった。政府は6月に埋め立てなどの基準を示したが業者らから引き取りを拒否されるなど一時保管中の施設の保管スペースは限界に迫っている。

焼却灰が最も多いのは神奈川県で、計2260トンと全体の約36%を占める。このうち横浜市は739トンにのぼり、市の担当者は「これまでは引き取ってくれたセメント業者が引き取ってくれず、汚泥資源化センターで保管している」と説明する。

一時保管場所が満杯になるのは自治体によって異なるが、神奈川県や横浜市によると、仮置きは今後、2カ月程度しかもたない。東京都流域下水道本部(立川市)も「施設によるが、1~2カ月で満杯になる」と話した。

▲東京新聞 2011年7月1日(金)
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2011070190071537.html?ref=rank

平塚・土屋浄化センターから放射性物質

■平塚の下水汚泥 放射性物質検出

平塚の下水汚泥

▽神奈川県の下水処理場における汚泥の放射線物質濃度等の測定結果
http://www.pref.kanagawa.jp/cnt/f215/p330810.html

▲朝日新聞 2011年6月7日(火)

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