2009-11

森を復活させないと人間も滅びる

■日本の森が外国人に買われてしまう?

戦後60年、日本の山には人が入らないところがないくらい植林が進んだ。ところがいよいよその木が使えるころになってきたとき、間伐もされなくなり、日光の入らない山肌は、雨が降るたびに土砂崩れ、山崩れが起こって立木が流れても橋げたを壊したり、大きながけ崩れが起きて死者が出たりした。それを自然の猛威とだけ言ってはいられない状況が生まれている。

クマと森をまもるために、もう20年以上活動している日本熊森協会会長・森山まり子さんは、訴えている。
 「日本の森を守ってきたのはそこに住む野性の鳥獣類です。彼らに与えられる小生物も野生動物のえさとして役割を果たし、人間とは離れて生活することができていたのです」
 「奥山には人間がふみこんではならない聖域があります。自然の森を残し、そこに住む全生物と共存しなければ、人間も生き残れません。人間によって破壊された奥山を、クマなど大型野生動物が棲める自然の森に復元していかねばなりません。野性鳥獣と人間の棲み分けをして、森を復活させないと人間も滅びます」

ところがここへきて、日本の山林を外国人が、日本の豊かな水源を狙ってか、ただ同然の山林の買収に乗り出していると、雑誌「THEMIS(テーミス)」(2009年7月号96〜97ページ)の記事を引き、日本熊森協会の「くまもり通信」が伝えている。

林業関係者の間では3年ほど前から、中国人が日本の森林を買収しようとしている、という話しが飛び交い始めていたというのだ。

日本の山林は、外国の安い輸入木材にたちうちできず、土地所有者たちの高齢化と重なり、植林、間伐などの手入れが行き届かなくなっているところが多くある。

その結果、林地価格が暴落、転売目的だけで土地を買おうとする人は少なくない。ちょうど3年前、中国人が横須賀にある海上自衛隊基地周辺の高台の土地を買収しようとした騒動が発生した。

同じ頃、三重県大台町にも一人の中国人が「立木を買いたい」といって現れた。

ここは日本の秘境100選にも選ばれ、吉野熊野国立公園にも指定されているが、山は個人のものだ。NHKの番組でも「雨の物語〜大台ケ原 日本一の大雨 を撮る〜」(NHKスペシャル・2008年11月30日)としても紹介された。毎年モリアオガエルの産卵期に水が沸き、草原に池が出来る。手付かずの自然が残る山だ。

60歳くらいの中国人が役場に「いい木がある」と言われてと、中国名の名刺を差し出した。役場の人は「ここは名木と言われるような立木はないし、伐採して運ぶのにも地形が急峻で搬出は不可能だ」と説明したら帰って行ったという。しばらくして役場の電話が鳴り、別の中国人からヘリコプターで山を見に行きたいがヘリポートがあるかと聞かれたので「ない」と答えるとそれきり連絡はなくかった。しかし話は消えていなかった。

その後、その山林の所有者が土地を売却したい、と情報公開した。広さ676ヘクタール(約204万坪)甲子園球場が169個分入る広さだ。それを知った中国系企業が昨年1月に土地を買いたいと名乗り出た。外国資本であることから所有者が警戒すると、すぐに引き下がった。その後何度か転売されて東京の不動産業者が7千万円で買い取ったという噂が流れた。地元関係者の間では、2億〜3億はするはずなのにあまりに安すぎると言われている。

このような事態に接し、日本熊森協会はイギリスのナショナルトラストに学んで、NPO法人奥山保全トラストを2006年に創立して現在まで1266ヘクタールの土地を取得した。さらに、三重県大台町の676ヘクタールの土地入手を計画している。

奥山保全トラストは、次のように呼びかけている。

 「文明を支える奥山は、本来、国が責任を持って手付かずで保全しておかなければなりません。私たちの祖先もそうしてきたし、外国でも国立公園を造り草1本抜かぬように保全しています。しかし、残念なことに、日本の国立公園は、レジャーランドであり、ホテルが林立するところです。私たちは、イギリスのナ ショナルトラスト(大自然保護団体)と連絡を取り合いながら、彼らがしているように国に代わって奥山を永久に手付かずで保全しようと2006年からトラ ストを開始しました」(2006年トラスト実績・1184ha) 

この永久保存計画は、今年10月4日の第3回東京熊森シンポジウムでも発表され、購入資金不足分あと9千万円を一般から募集することが決まった。ちなみに、イギリスのナショナルトラストは365万人に支えられているが、日本熊森協会の会員数はやっと2万余になったところである。

▲JanJanニュース 2009年11月16日(月)
by 市民記者 熊木秀夫
http://www.news.janjan.jp/living/0911/0911130136/1.php

△参考 
NPO法人奥山保全トラスト
http://homepage2.nifty.com/kumamori/okuyama-trust-top.htm
日本熊森協会
http://homepage2.nifty.com/kumamori/index.html

川崎南高跡地 3年の闘いのあと

■川崎南校跡地問題、座り込み627日でのピリオドとこれから


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写真はすでに消去された南高校舎(2008/3/28撮影)

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解体後のいまのすがた
手前が体育館跡地で、右のほうに校庭と野球場の跡地が広がる


座り込み627日(10月17日現在)、座り込み述べ人員6000人、南校跡地を壊さないで有効活用を求める署名4万1186筆、2回にわたる「人間の鎖」、500首を越える『南校万葉集』

配布したチラシ12万枚、800日のブログは2000ページ。新聞報道6社、テレビの全国放映4社、などの数々の疲れをしらない「川崎南校を活かそう会 と南校訴訟を支える会」の粘り強い活動を讃える記念集会が10月30日18時から、50人を越える参加者によってにぎやかに開かれた。

会は初めて座り込みの中で作られた替え歌4曲をアコーデオン伴奏で全員が歌い、囲んだテーブルには参加者たちがめいめい持ち込んだ料理があふれて乾杯となった。

足掛け3年のたたかいの動画が大型スクリーンで写しだされ、参加者は感動を新たにした。

その南校跡地は、写真で見るように、校舎の建物も緑の指定校となって育てられた木も残らず伐採されて校舎を囲む垣根だけが残されている。

商業用地として「UR都市開発機構」に売却が予定されているが、松沢神奈川県知事は先の記者会見で、川崎市から依頼されたと言う。

おかしなことに地域住民の要望に応えるとして高校跡地の利用を考えていたという神奈川県は、川崎市の病院や福祉施設を作れないという驚くべき用途地域の変更を認めていた。

川崎市議会は一部の反対があったがこれを認め、地域住民にはきわめて形式的な説明で解体を強行した。

加えてこの田島地域は全国5番目に空気汚染がひどく、晴天の空もいつもうす雲がかかっている。

・残された使い道はなにか?

かって京浜工業地帯の幾つもの大工場とその下請企業は次々に移転し、回りに住宅が立ち並んだが、遊興歓楽街ができたら慢性的な交通渋滞と排気ガスで付近住民の健康が心配される。

老人ホームを、保育園や幼稚園を、校庭は広い公園に、グラウンドはそのまま付近の住民が使える運動場として残すように、期待した市民要求は3期目を迎えた阿部市政では期待できない、というのが市民感情だ。

健康な市民生活に欠かせないこれらの要求をどのように実現していくか。国民の間の友愛を掲げる鳩山政権のもとで、その展開にいくつもの「???」がつづく。

今はまぼろしとなった南校校舎「08年3月28日JanJan掲載時(筆者撮影)」は、まだ20年は使えるといわれていた。市民のための将来に見通しを持たず、税金の無駄遣いをする知事や市長とのたたかいはこれからも続けてほしいとこの写真は強く訴えている。

▲JanJanニュース 2009年11月4日(水)
by 市民記者 熊木秀夫

二子玉川の取り組み 〜住民案がまちづくりに活かされるか〜

■二子玉川東地区住民まちづくり協議会が住民提案を披露


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写真は東急の計画に基づき作成した模型。
東急案では巨大な高層ビルで敷地のほとんどがおおわれる。

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写真は住民の賛成が多かった住民案B案の模型


東京都世田谷区の住民団体「二子玉川東地区住民まちづくり協議会」(飯泉善一郎会長)が2009年10月24日に「住民提案お披露目&意見交換会」を玉川町会会館で開催した。

協議会は二子玉川東地区第1種市街地再開発事業(主に第2期工事)に住民の声を反映させることを目的として結成された団体である。今回は7月から8月にかけて開催した意見交換会で出された住民意見を踏まえた提案を披露し、改めて住民の意見を集めた。住民提案は協議会に協力する卯月盛夫・早稲田大学芸術学校教授が説明した。

最初に卯月教授は意見交換会で出された住民意見を整理した。現状の再開発の問題は以下の7点になる。

• 第1に事業者(再開発組合)の説明不足である。説明や告知がほとんどなく、回答も不親切極まりない。

• 第2に高層ビルの悪影響である。建築中の二子玉川ライズ タワー&レジデンスにより既に日照、電波、プライバシー、ビルの照り返し、景観、通風の問題が生じている。これ以上、高層ビルが増えれば住民の被害は一層増大してしまう。

• 第3に水害の懸念である。再開発地域の人工地盤と盛り土で雨水がせき止められ、周辺地域が水浸しになりかねない。

• 第4に渋滞の激化である。既に駅も道路もパンク寸前である。

• 第5に都市計画公園への疑問である。公園を駅から最も離れた場所に移動する合理性がない。

• 第6に現状の再開発は二子玉川らしさを壊している。富士山、桜、花火、多摩川、崖線(坂道)など、水と緑と景観を大切にすることが二子玉川スタイルである。

• 第7に公共施設の少なさである。二子玉川は福祉と文化の谷間であり、住民の暮らしに役立つ公共施設を希望する。

住民提案では、これらの意見を踏まえ、5つのコンセプトを打ち出した。高さ、ボリューム配置、用途構成、自然環境、安全安心である。

 ○高さでは二子玉川の魅力である多摩川の水辺、及び国分寺崖線の緑の連なり、水平的な連続空間を断ち切らないようにするため、計画敷地内の建物の高さを国分寺崖線の高さ25m以下に制限する。

 ○ボリューム配置では周辺住宅地の魅力を損なわず、調和させるために、建物のボリュームをできるだけ小さくして分散配置する。大きな建物を集中して配置するのではなく、ヒューマンな雰囲気とする。

 ○用途構成では玉川地域の新たな生活文化拠点とするため、商業業務施設に特化せず、芸術文化施設や福祉保健施設を充実する。また、多世代で多様な区民が暮らせる街にする。

 ○自然環境では高層ビルの足元を彩る人工的な緑ではなく、多摩川の水辺から吹き渡る風を感じながら、土や緑に触れることのできる二子玉川らしい暮らしと自然の共存する姿を追求する。

 ○安全安心では自動車交通の過度の集中と水害に対する不安を取り除き、安全と安心を確保するため、分散を前提とした交通マネジメントを行う。また、雨水浸透率を向上させ、計画敷地内で周辺地域の治水にも貢献する。

この上で、卯月教授は住民提案の具体的な内容を模型と共に披露した。まず比較のために東急電鉄・東急不動産が2008年12月に出した第2期事業基本計画を説明する。ここでは再開発地域2-a街区には約137mの超高層ビルが立ち、それ以外の敷地のほとんどを約30〜20mのビルが覆う。建物の用途はオフィス・ホテル・商業施設である。

この2-a街区は容積率200%、建ぺい率60%と定められていた。ところが容積率520%、建ぺい率80%に変更されたために東急案が可能になった。 高層ビルを建てる場合は通常、空き地を広く取るため、容積率は高くても建ぺい率は少なくする。このため、建ぺい率が80%という高い値に変更されたことを卯月教授は疑問視した。住民からも「このような勝手が通っていいのか」との声が出た。

住民提案はA案とB案の2パターンを用意した。A案は2-a街区に公共施設(図書館、多目的ホール)、商店、オフィス、住居、緑地を配置する。東急案と異なり、建物の規模を小さくし、分散させた。これによって様々な機能が適度に混在するミックス・コミュニティを実現する。

B案では2-a街区に都市計画公園を充てる。2-a街区の建物は公共施設と3棟ほどの商業施設(レストランなど)だけで、残りは緑地とする。2-a街区を公園としたため、公園予定地の西半分を4街区として住宅とする。

住民の反応はB案への支持が圧倒的であった。そのB案に対しても、これ以上の住宅は不要との意見が出された。また、高さ制限の25m以下については反論が出た。風致地区であった二子玉川の歴史を踏まえると25mでも高過ぎ、第2種風致地区の制限である15m以下とすべきとする。この点は再検討することに なった。

協議会では住民提案を確定後に世田谷区や事業者に説明する方針である。住民の声が街づくりに活かされるか、二子玉川の取り組みが注目される。

▲JanJanニュース 2009年10月27日(火)
http://www.news.janjan.jp/area/0910/0910252196/1.php
by 市民記者 林田 力

林田 力 氏は、みずから原告として闘った体験を詳細に記録した新刊「東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った」(ロゴス社)を7月1日に刊行しています。
〜東急不動産(販売代理・東急リバブル)から不利益事実を隠して問題物件をだまし売りされた著者(=原告)が消費者契約法に基づき売買契約を取り消し、裁判で売買代金を取り戻した闘いの記録〜
また、ご自分で運営するホームページ上で、「湘南なぎさプロムナードの環境を守る会」の運動に多くのページを割いてくださっています。

生物多様性の宝庫 泡瀬干潟が守られるか

■泡瀬埋め立て訴訟 高裁も公金差し止め判決

沖縄市の泡瀬干潟を埋め立て開発する東部海浜開発事業に反対する市民ら516人が、県知事と沖縄市長に事業への公金の支出差し止めを求めた訴訟の控訴審判決が15日、福岡高裁那覇支部で言い渡された。河邉義典裁判長は、「現時点で経済的合理性を欠く」として知事と市長に公金支出の差し止めを命じた一審・ 那覇地裁判決を支持し、調査費および人件費を除く一切の公金支出を差し止めた。

原告側は「生物多様性の宝庫」の泡瀬干潟が守られると喜んだ。

県とともに埋め立て事業を進めてきた国は、新政権になり公共事業の見直しを進めている。今月、泡瀬干潟を視察した前原誠司沖縄担当相は「1区中断、2区 中止」の方針を明示。控訴審判決を踏まえて、県や市に事業の再検証を求めている。判決は事業を推進したい市や県にとって厳しい結果となった。

同事業は、中城港湾新港地区の港湾で浚渫(しゅんせつ)した土砂で泡瀬沖合を埋め立て、第1区域と第2区域に分けて、計187ヘクタールの人工島を造る 計画。これに対し、市民グループらが「埋め立てで貴重な干潟の生き物が失われる」と主張し、事業の中止を求め、2005年5月に市と県を提訴。

昨年11月の一審・那覇地裁判決は、07年12月の東門美津子市長による事業計画の見直し表明を受けて、「現時点においては経済的合理性を欠き、公金支出は違法」として、県知事と市長に一切の公金差し止めを命じていた。

▲沖縄タイムズ 2009年10月16日(金)

計画推進を求める住民 控訴求めて県に要望書提出

■鞆の浦訴訟、広島県が控訴へ 「景観利益認定に誤り」

広島県福山市の「鞆(とも)の浦」の埋め立て・架橋計画をめぐり、住民が埋め立て免許の差し止めを求めていた訴訟で、広島県が、藤田雄山知事に免許を交 付しないよう命じた1日の広島地裁判決を不服とし、広島高裁に控訴する方針を固めたことが10日わかった。控訴期限の15日までに正式な手続きをとる方針。

県の関係者によると、「景観利益や計画内容の事実認定に誤りがある」などの理由で控訴を決めたという。幹部の一人は「地裁判決は原告の主張を広く認めすぎている。高裁では違う結果が出ると思っている」と話している。

鞆の浦は、宮崎駿監督の映画「崖(がけ)の上のポニョ」の舞台となった景勝地。1日の地裁判決は、鞆の浦の景観を「国民の財産ともいうべき公益」 と位置づけ、県や同市が計画している架橋道路などについて、景観保護を犠牲にしてまで実施することに「大きな疑問が残る」と指摘していた。

原告団の住民は6日、県庁を訪れ、控訴断念を求める藤田知事あての要望書を提出。計画推進を求める住民も9日、控訴を求めて県に要望書を提出していた。

▲朝日新聞 2009年10月11日(日)

消失した砂浜 二宮町袖ヶ浦海岸

■消失した砂浜 二宮町袖ヶ浦海岸
〜鞆の浦判決を受けて二宮町町会議員の返信〜

景観は大切に育てなければならない。当に同感です。

現在、西湘バイパスの復旧工事は景観を無視し事業効率を求めた土木作業です。
かつては赤海がめが産卵し砂浜には浜ヒルガオやコウボウ麦など砂丘植物も自生していた砂浜が消失し更にテトラポットが積み重ねられた海岸に変わろうとしています。

この原因は何か、我々世代が先のことは考慮せず機能重視の無謀な土木工事を優先した結果です。

多くの人は景観がいかに人間社会に重要なものか理解せず、失ってしまってから気が付く愚行を繰り返しています。

西湘バイパスの復旧工事を行っている国土交通省・中日本高速道路に再三、景観に配慮した方法を講じるよう抗議を申し込んでいますが単独意見では通らないのが現状です。

二宮町では海があり、川があり、山に恵まれた住みよい町だと言うなら、それをよりよくして、子々孫々まで受け継ぐ必要があります。

それが、将来二宮町の大きな財産になると思います。

▲しお風つうしんブログより 2009年10月10日(土)
http://shiokaze.hama1.jp/e397208.html

京町屋 文化遺産と位置づけられ 世界にも認められた

■「京町家群」危機遺産に、米民間組織が登録

京都の伝統的な住宅様式「京町家群」について、文化遺産の保護活動を行っているアメリカの民間組織「ワールド・モニュメント財団」(本部・ニューヨーク)が7日、危機遺産リスト「ワールド・モニュメント・ウォッチ・リスト」に登録したと発表した。

国内では、景観保護を理由に公共工事を差し止める判決が出された広島県福山市の景勝地「鞆(とも)の浦」に次いで2か所目。

同財団日本事務局の稲垣光彦代表は同日、京都市役所で記者会見し、登録理由について、「歴史的な木造建築物としての重要性を持つが、経済成長の中で減少している」と説明した。

同財団は1996年から2年ごとに街並みや建物など約100か所を選定、更新しており、これまで「万里の長城」(中国)など500か所以上が登録されている。

京町家は出格子や虫籠(むしこ)窓が特徴で約5万軒あるが、生活様式の変化などで年間約2%ずつ減少。同財団に登録申請していた京町家再生研究会の小島冨佐江・事務局長は「文化遺産と位置づけられ、世界にも認められた。町家の保全、再生を進めたい」と喜んだ。今後、同財団から寄付金が配分されるという。

▲読売新聞 2009年10月8日(木)



景観と利便性のどちらを重視するか

■鞆の浦判決 景観の重みが増した  一度決まったら止まらない大型公共事業の問題点

「景観の価値」を重視した判決が出た。



瀬戸内海の景勝、鞆(とも)の浦(広島県福山市)の埋め立て架橋工事をめぐり、反対派住民らが知事の埋め立て免許差し止めを求めた訴訟である。



広島地裁は「鞆の浦の景観は、国民の財産というべき公益で、事業はこれを侵害する」と差し止めを命じた。景観のために大型公共事業を止める初の司法判断だ。



客観的に判断するのが難しい景観の価値について、公共事業での軽視を戒めた意義を評価したい。



鞆の浦は、奈良時代からの寄港地として知られる。江戸・明治の商家や史跡があり、年間約100万人が訪れる観光地である。



問題の事業は、1983年に持ち上がった。狭い道が多い港町の混雑緩和や下水道を整備する狙いがある。



地元地区から出た市長が、5年前、推進を訴えて初当選し、県とともに着手しようとした。しかし国の段階で、前の金子一義国土交通相が慎重な姿勢を示して、審査が棚上げになっている。



一方で、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の諮問機関が中止を勧告し、文化人らが反対を表明するなど波紋が広がっていた。



景観と利便性のどちらを重視するか−。判断は難しい。下水道がほしい、渋滞から解放されたい、という住民の願いも理解できる。



鞆の浦の場合、行政に両方の折り合いを付ける努力が足りなかったのではないか。



判決は「計画の必要性や公共性の根拠について、調査や検討が不十分」と結論づけた。反対派が提案した、橋の代わりに山側にトンネルを通す案や、ほかの工法による下水道の整備を排除した−とも指摘している。



計画策定から26年もたつ。この間に土木技術は進んでいる。なのに、一度決まったら止まらない大型公共事業に特有の問題点が、ここにもあったようだ。



町並みは、そこに暮らす人々の高い自治意識によってこそ守ることができる。自らの利益や便利さは少し犠牲にしても、地域共通の価値観を大切にする意識だ。



賛成、反対に分かれて対立しては、展望は開けない。この際、広島県は控訴をやめるべきだ。架橋に代わる新たな方策を考え、住民が一体となって町づくりに向かえる環境を整えてほしい。



景観保護は長野県にとっても身近な問題である。自治体にも民間事業者にも、いっそうの配慮が求められる時代になったことを肝に銘じたい。

▲信濃毎日新聞 2009年10月2日(金)

景観利益について非常に漠然と範囲を広げている

■鞆の浦計画「変更しない」 判決受け広島県と福山市

瀬戸内海の景勝地・鞆の浦(広島県福山市)の埋め立て架橋事業をめぐる訴訟で、知事の埋め立て免許差し止めを命じた広島地裁判決について、県や市は1日、 「納得できない」と、いずれも不満を表明。計画変更の考えがないことを強調したが、控訴については「両者で協議して決めたい」と明言しなかった。

福山市役所で記者会見した羽田皓市長は「生活者の視点が考慮されていない判決だ」と批判。「多くの住民の思いが受け止められず、非常に残念」と述べた。

広島県の丸山隆英空港港湾部長も県庁で会見し、判決が認定した景観利益について「非常に漠然と範囲を広げているし、判例と照らしても適切さを欠いている」と指摘。

「歴史的な鞆の町の保全には架橋案しかなく、現在の計画を推し進めるのが最良との気持ちは全く変わりない」として、中止や変更を否定した。

県は昨年6月の免許認可申請後、事業による利益と損失の比較に関する説明を国土交通省中国地方整備局に求められたが回答しておらず、審査は宙に浮いている。

▲共同通信 2009年10月1日(木)


景観を理由に公共事業の差し止めが認められる

■「鞆の浦」工事差し止め=景観「国民の財産」と初判断−調査、検討不十分・広島地裁

広島県福山市の景勝地「鞆(とも)の浦」の埋め立て・架橋計画について、住民ら約160人が歴史的景観が損なわれるとして、県を相手取り、埋め立て免許交 付の差し止めを求めた訴訟の判決が1日、広島地裁であった。能勢顕男裁判長は鞆の浦の景観は「国民の財産というべき公益」と指摘、事業の必要性に関する調 査、検討が不十分だとして、被告側に許可しないよう命じた。


景観を理由に公共事業の差し止めが認められるのは初めて。判決は開発と環境保護をめぐる議論にも大きな影響を与えるとみられる。


能勢裁判長は、事業について「景観に及ぼす影響は決して軽視できず重大」と指摘。山側にトンネルを掘る案でも道路の混雑は解消される可能性があるとし、埋め立てについて「景観保全を犠牲にしてまでもしなければならないか大きな疑問が残る」とした。


駐車場不足の解消など他の事業実施の根拠についても調査、検討が不十分とし、埋め立ての必要性を認めることは合理性を欠き、許可は知事の「裁量権の範囲を超える」と認定した。


万葉集にも詠まれ、江戸時代の港湾施設も残る鞆の浦は、宮崎駿監督が映画「崖(がけ)の上のポニョ」の構想を練った地ともいう。

▲時事通信 2009年10月1日(木)

「何でもあり」のインフラ整備に疑問抱く

■研究の現場から:地域のデジタルマップ作製−−四国学院大・伊藤松雄教授 /高知

町の歴史や文化に沿った景観づくりを−−。
四国学院大の伊藤松雄・社会学部教授(50)は、地域の景観に対する理解を深めようと体験型のデジタルマップを作製。ホームページ(http://www.shigakuweb.com/mizu/)で公開している。第1弾は香川県琴平町、丸亀市などが対象で、今後は西讃や高松エリアも手がける。

マップにカーソルを合わせると湧(ゆう)水、建造物の写真や図を表示。過去と現在の様子を対比している場所もある。実際に町を歩いているような感覚で、エリア全体の歴史や現状を知ってもらうのが狙いだ。

もともと園芸・植物生態学が専門の農学博士。歴史や文化を顧みない「何でもあり」のインフラ整備を目にするたび疑問を抱いた。ポイントだけを改造して利用するのではなく、全体像を見る必要があると考え、マップ作製に至った。

伊藤教授は「町には町の顔がある。景観を文化、歴史、自然の集合体としてとらえる意識づけになれば」と、よりよい景観の保全と改良を目指す。

▲毎日新聞 2009年9月30日(水)

区都市計画マスタープランに反する

■浅草寺提訴 「130メートルマンション景観損なう」

東京都台東区西浅草で建設予定の高層マンションは、浅草周辺の下町の景観を損なうとして、浅草寺と地元住民5人が24日、東京都に容積率などの緩和許可の取り消しを求めて東京地裁に提訴した。

訴状などによると、マンションは浅草寺境内から約4百メートル西の位置に計画。37階建て、高さ約130メートル。大手マンション分譲会社が、歩行者らが自由に通れる公開空地を設けることで容積率が緩和される総合設計制度を活用して計画を提出。

都は2月に総合設計を許可した。高さ制限も緩和されている。既に着工している。

原告側は「マンションは浅草寺からの眺めを阻害し、寺周辺の景観に悪影響を与える」とし、許可は市街地の環境整備をうたう建築基準法や都市計画法違反と主張。一帯を3〜5階建て程度の高さの中低層地と定めた台東区の「区都市計画マスタープラン」にも反するとしている。

原告側は「地域性を考えず、やみくもに高層建築を可能にする総合設計制度のあり方を問いたい」と話している。

浅草寺は「都市開発に関する制度の乱用で、大規模建築が無計画に行われれば街のたたずまいの急激な変質を招き、寺の荘厳さも損なわれ、東京のまちづくりや観光にも悪影響を及ぼす」とのコメントを発表した。

東京都都市整備局建築指導課の話 訴状を見た上で必要な対応をする。

▲東京新聞 2009年9月24日(木)

地域性を考慮しない総合設計制度は違法

■「高層マンションが景観阻害」=浅草寺が都を提訴−東京地裁

東京・浅草に建設中の37階建て高層マンション(高さ約130メートル)をめぐり、景観や住環境を損ねるとして、浅草寺と地元住民5人が24日、東京都を相手に、建設許可の取り消しを求める訴えを東京地裁に起こした。


訴状などによると、建設現場は浅草寺に近い5階建てまでの高さ制限地域。建築主は一定以上の敷地を空き地にすることで制限が緩和される「総合設計制度」適用を申請し、都が2月に許可を出した。


原告側は、浅草寺は国際的な観光資源で、高層マンションは周辺の景観などを破壊すると指摘。地域性を考慮しない総合設計許可は違法と訴えている。


▲時事通信 2009年9月24日(木)

里地里山保全地域:石川丸山谷戸が選定

■住宅地に隣接する斜面緑地と田畑を保全地域に選定

神奈川県藤沢市の石川丸山谷戸(やと)が15日、県条例に基づく里地里山保全地域に選定された。県農地課によると、住宅地に隣接する土地の保全地域選定は初めて。

選定されたのは、市中央部の新興住宅地に隣接する斜面緑地と田畑の計約11ヘクタール。住宅隣接地では珍しく貴重な里山景観が残る地域として知られている。

地元住民やボランティア団体が、ホタルや緑の保全、休耕田の復元などに取り組んでおり、活動が認められれば、県から活動費の支援が得られるという。

▲毎日新聞 2009年9月16日(水)

古民家に鎌倉らしい景観上の価値

■手広の古民家「成瀬家住宅」が「景観重要建築物」に

鎌倉らしい景観づくりに重要な役割を果たしているとして、鎌倉市は1日、同市手広2丁目の古民家「成瀬家住宅」を「景観重要建築物」に指定した。指定は32例目となる。



成瀬家住宅は、旧江の島街道沿いに残るかやぶき屋根の平屋建築物。江戸末期から明治初期の建造とみられ、「田」の字型の間取りや農作業をしやすいための開放的な縁側など、同時期の民家の特徴を複数兼ね備えている。



道路側に残る鎌倉石の石積みと高垣のほか、周囲を取り囲む斜面緑地が一体となって景観を形成している点などが評価された。一般公開はしていないが、現在は日本料理店として使われている。



景観重要建築物は、鎌倉らしい街並みを保全するため、1990年に導入された、建築物や工作物を対象とする指定制度。建築物の歴史的価値などを評価する文化財指定と違い、主に景観上の価値で判断する。



所有者に使用制限は課されないが、指定された建築物を修繕・改修する場合は市への届け出が必要。修繕や改築では、市から費用の半額(上限300万円)の助成も受けられる。

▲カナロコ神奈川新聞 2009年9月1日(火)

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